冤罪により婚約破棄されて国外追放された王女は、隣国の王子に結婚を申し込まれました。

香取鞠里

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 ◇

 目が覚めると、私はどこかのお屋敷のベッドで眠っていた。

 ここは……?

 見渡す限り、私の居た国のお屋敷の雰囲気に近いことから、かなり格の高い人か裕福層の人たちの部屋なのだろう。

 けれど、なぜ?

 思い返してみても、馬とぶつかったところまでしか思い出せない。

 死んだにしてはいやに現実味を帯びているし、だいたい頬をつねっても痛い。


「やっと目覚めたか」

「あ……」


 低い声に促されるようにして顔を向けると、すぐそばに端正な顔の青年がいた。

 シルバーの髪に深い緑の瞳が印象的だ。


「ああ、僕はこの国の王子のウィリアムだ。きみはもしかして隣国のマーガレット王女では?」

「ひ、人違いです……!」


 私は思わず自分にかけられていた布団を鼻までかけた。

 さすがにここで隣国の王女だなんて気づかれるわけにはいかないだろう。

 思わずそう思ったが、国外追放を受けた自分はすでに王女でも何でもないのではないかと思った。


「ワケありかな? どうした?」


 けれど、ウィリアム王子にはそんな私の嘘は全くもって通用しなかった。


「……私は国外追放を受けた身なんです」


 姉の策略にはまった周りに悪に仕立てたげられた話、私には帰る場所もなければすでに王女ではない話をした。

 ウィリアム王子は少し考えるように首をかしげると、名案を閃いたとばかりに口を開く。


「では、こうしましょう。マーガレット、きみを僕のものにしよう」

 は?
 一瞬思考がフリーズした。

「どういうことですか?」

「きみは僕の嫁になるんだ。僕もきみと同じ二十歳だ。そろそろ結婚の話が出てる。ただ父が決めてくる婚約者は好みな人がいなくてね、ちょうど隣国のマーガレット王女とかいいなと思っていたから」

 そんな子どもがお気に入りのおもちゃを決めるような感覚で決めないでほしい。
 
「不満なの?」

 すると不意に距離を詰められて顎を持ち上げられた。至近距離で甘く囁かれて、思わずドキンと胸が跳ねた。

 何だかんだで私を助けてくれた恩人。そしてイケメン。今の時点では、何も悪いことはない。

 それに、婚約破棄された上に国を追い出された私が、隣国の王子と結婚だなんて、私を陥れた姉や私を信じてくれなかった両親や婚約者を見返す大チャンスだ。
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