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アリスは上目遣いになり、瞳を潤ませると慌ててシルヴァンに訴える。
「殿下、違うのです。私はそこの、アレクサンドラに話があるのです。殿下に楯突こうなんて思ってませんわ」
それを聞いてシルヴァンはアリスを下賤なものでも見るかのように見つめた。
「僕は、愛するアレクサンドラを必ず守ると誓っている。それがどんな相手だろうとな。だから君がアレクサンドラに対してなにか言いたいのなら、まずはこの僕が相手をしよう」
シルヴァンのこの反応にアレクサンドラは余計に話がややこしくなってしまうと思い、慌ててシルヴァンを制した。
「殿下、お気持ちは嬉しいのですがこれは私の問題ですわ。しっかりと解決してみせますので、私を信じていただけないでしょうか?」
するとシルヴァンはアレクサンドラに優しく微笑み頰を撫でた。
「君は、強い女性だ。そんなところも愛すべきところなんだが。それに、見守ることも守ることになるかもしれないな」
そう言ってアレクサンドラの肩を抱き寄せ、自分の横へ来るように促した。
「ありがとうございます」
アレクサンドラはそう言うと、あらためてアリスに尋ねる。
「それで、アリス。私になにをされたと言うの?」
「はい。先日のデュバル公爵令嬢が開催したお茶会でのことですわ。私とても酷い嫌がらせを受けましたの」
「そうですの? 私、そんなことをした覚えはまったくありませんけれど」
「とぼけるんですのね。私のドレスにわざとお茶をかけたではありませんか!」
「そう。じゃあそのお茶会の主催者に訊いてみましょう」
そう言うとアレクサンドラは笑顔でイライザに手を振った。
するとイライザらそれに応えるように微笑み、軽く手を挙げてこちらにやってきた。
「ハ~イ! アレクサンドラ。なんだか大変なことになってるわね」
イライザのその様子に、周囲がどよめく。
長年不仲だと思われていた二人の令嬢が、仲良く話始めたのだから当然だろう。
アレクサンドラはそんな周囲の反応を気にすることなく話を続ける。
「そうなのよ。ところで質問があるんだけど、先日のあなたのお茶会で私が彼女に嫌がらせをしたそうなの。なにか御存知?」
すると、イライザはアリスを一瞥する。
「なによそれ、そんなこと知らないわ。そもそもここ数日、私はお茶会なんてしてませんもの。どうやって嫌がらせなんかするの?」
それを聞いてアリスは目を白黒させた。
アリスはなぜこんな直ぐにバレてしまうような嘘をついたのか。
それはイライザとアレクサンドラが不仲だと噂されていたので、嘘がバレそうになってもイライザは自分の味方をすると思っていたのだろう。
これがクールナン伯爵夫人であればアリスを庇ったかもしれなかった。
アリスは選ぶ相手を間違えたのだ。
だが、ここまで追い詰められてもアリスはなおも食い下がる。
「お、お二人は仲がよろしいから庇ってらっしゃるんですのね!」
イライザはムッとしたように尋ねる。
「あなた、私が嘘をついているとでも? そこまで言うならいつの出来事なのか教えてくださる?」
「そ、それは確か……5日前ですわ」
そこでイライザはわざとらしく大きくため息をついた。
「その頃お茶会なんてしていませんわ」
そのとき、シルヴァンが口を挟んだ。
「それに付け加えておこう。5日前のその日、アレクサンドラは、その、王宮で僕とずっと一緒だった。嫌がらせなどできるはずはない」
そこでアレクサンドラは間髪入れずに叫ぶ。
「殿下、その言い方は誤解を招きますわ! ち、違いますの! その、私その日殿下に呼び出されて、少しお話しただけですのよ? 誤解しないでくださいませ」
そうは言ったものの、周囲の貴族たちはやはり誤解をしたようで、何人か恥ずかしそうにこちらを見ている。
これ以上言い訳をすれば、余計に怪しまれてしまうだろう。アレクサンドラはそれ以上言い訳をすることを諦めた。
だか、そういう目で見られていると思うとアレクサンドラも恥ずかしくなってしまい、思わず俯く。
その様子を見たアリスも誤解したようで、こちらは怒りに顔を赤くした。
アレクサンドラは猛烈に恥ずかしかったが、なんとか立ち直ると大きく咳払いして言った。
「そ、そもそも、なぜ私があなたに嫌がらせなんてする必要がありますの?」
その質問に、アリスは水を得た魚のようにほほ笑んだ。
「その理由は、みなさん御存知だと思いますけれど。アレクサンドラがしらを切るようなので説明させていただきますわ。あれはデュドネ公爵夫人のお茶会のことでしたわ」
アレクサンドラはアリスの話が長くなりそうだと思い、アリスが話すのを遮る。
「待ってアリス。それって占い師のルイーズがあなたのことを『国母になる』と予言した話をしようとしてますの?」
「なっ! や、やっぱり御存知でしたのね。それなのに知らない振りをするなんて。そうですわ、それからアレクサンドラは私を目の敵にしてますの!」
それを聞いてアレクサンドラは後ろに控えていたセバスチャンに目配せする。
すると、兵士によってルイーズがみんなの前に連れてこられた。
アリスは息を呑むと叫ぶ。
「ルイーズ、あなた生きてたの?!」
それに対してアレクサンドラが答えた。
「そうですわ。私、変なうわさを立てられて困っていましたから、彼女を探しましたのよ? さぁ、ルイーズ。なにがあったのか話してちょうだい」
ルイーズはそう言われると、顔色をなくし少し震えながらも話し始めた。
「わ、私はシャトリエ男爵令嬢に言われてあんなに大胆なことをしてしまいました。本当は少し稼げればよかったんです。人並みに生活ができれば……。でも、調子に乗ってとんでもないことをしました」
「ちょ! ちょっと、黙りなさい! そんな嘘ばっかり、いい加減にしなさいよ!!」
アリスはそう叫ぶとルイーズに飛びかかろうとしたが、兵士によりそれを制止される。
ルイーズはそんなアリスを恐怖の眼差しでみつめながら、さらに続ける。
「シャトリエ男爵令嬢はとても恐ろしいかたです。私、怖くなったんです。シャトリエ男爵令嬢が国母になるなんて、とんでもない発言をしたことを。それに私は知ってしまったんです。シャトリエ男爵令嬢の狂気を! アリス様、知っているんです。あなたが私を奴隷商人に売ろうとしたこと」
「だ、黙りなさい! あれは、そう、アレクサンドラに言わされているんですわ!」
「いいえ、いいえ。私は真実を言っています。もう嘘なんかつきたくありません。私には未来を占うことはできないんです。言ったことは全部でたらめでした」
ルイーズはそう叫ぶとその場に泣き崩れた。
その場にいたものは全員が息を呑み、無言でそんなルイーズを見つめ、アリスは呆然と立ち尽くしていた。
ホールにはルイーズのすすり泣く声だけが響いていた。
そこでシルヴァンが兵士に合図し、ルイーズを下がらせると言った。
「もういいだろう。これで満足したか?」
するとしばらくアリスは俯いていたが、顔を上げると薄ら笑いを浮かべて言った。
「いいえまだです。私は、アレクサンドラが、デュカス家がとんでもない事件を起こしていることを知っているんです」
そう言うと懐から一枚の紙を取り出す。
「これをみてください。これは真珠のネックレスの盗難についての決定的な証拠です」
そうして、アレクサンドラの面前にそれを突きつける。それは夢で見た、デュカス公爵家のサインが入ったパール・オブ・プリンセスの売買契約書だった。
「これ、この売買契約書。どう説明しますの?」
アリスが自信たっぷりにアレクサンドラをそう言って問い詰めたとき、背後からアルナウトがネックレスケースを手にアリスに近づいた。
「お嬢さん、君の言っている真珠のネックレスとは、このパール・オブ・プリンセスのことかな?」
アルナウトは手に持っていたケースを開けて見せた。
アリスは怪訝そうな顔をしてケースの中にあるパール・オブ・プリンセスを確認すると、顔色をなくし呟いた。
「なぜこれがここに……」
アルナウトは自慢げに答える。
「聡明なるアレクサンドラ様がすべての事件の謎を解いてくださったんだ。この意味がわかるか? すべての謎、つまり誰がどのようにこの事件に関わったのか、その黒幕もすべてを暴いたということだ」
するとアリスは叫ぶ。
「その件に私は関係ありませんわ! すべて、アレクサンドラが私を陥れるためにやったんです!」
「殿下、違うのです。私はそこの、アレクサンドラに話があるのです。殿下に楯突こうなんて思ってませんわ」
それを聞いてシルヴァンはアリスを下賤なものでも見るかのように見つめた。
「僕は、愛するアレクサンドラを必ず守ると誓っている。それがどんな相手だろうとな。だから君がアレクサンドラに対してなにか言いたいのなら、まずはこの僕が相手をしよう」
シルヴァンのこの反応にアレクサンドラは余計に話がややこしくなってしまうと思い、慌ててシルヴァンを制した。
「殿下、お気持ちは嬉しいのですがこれは私の問題ですわ。しっかりと解決してみせますので、私を信じていただけないでしょうか?」
するとシルヴァンはアレクサンドラに優しく微笑み頰を撫でた。
「君は、強い女性だ。そんなところも愛すべきところなんだが。それに、見守ることも守ることになるかもしれないな」
そう言ってアレクサンドラの肩を抱き寄せ、自分の横へ来るように促した。
「ありがとうございます」
アレクサンドラはそう言うと、あらためてアリスに尋ねる。
「それで、アリス。私になにをされたと言うの?」
「はい。先日のデュバル公爵令嬢が開催したお茶会でのことですわ。私とても酷い嫌がらせを受けましたの」
「そうですの? 私、そんなことをした覚えはまったくありませんけれど」
「とぼけるんですのね。私のドレスにわざとお茶をかけたではありませんか!」
「そう。じゃあそのお茶会の主催者に訊いてみましょう」
そう言うとアレクサンドラは笑顔でイライザに手を振った。
するとイライザらそれに応えるように微笑み、軽く手を挙げてこちらにやってきた。
「ハ~イ! アレクサンドラ。なんだか大変なことになってるわね」
イライザのその様子に、周囲がどよめく。
長年不仲だと思われていた二人の令嬢が、仲良く話始めたのだから当然だろう。
アレクサンドラはそんな周囲の反応を気にすることなく話を続ける。
「そうなのよ。ところで質問があるんだけど、先日のあなたのお茶会で私が彼女に嫌がらせをしたそうなの。なにか御存知?」
すると、イライザはアリスを一瞥する。
「なによそれ、そんなこと知らないわ。そもそもここ数日、私はお茶会なんてしてませんもの。どうやって嫌がらせなんかするの?」
それを聞いてアリスは目を白黒させた。
アリスはなぜこんな直ぐにバレてしまうような嘘をついたのか。
それはイライザとアレクサンドラが不仲だと噂されていたので、嘘がバレそうになってもイライザは自分の味方をすると思っていたのだろう。
これがクールナン伯爵夫人であればアリスを庇ったかもしれなかった。
アリスは選ぶ相手を間違えたのだ。
だが、ここまで追い詰められてもアリスはなおも食い下がる。
「お、お二人は仲がよろしいから庇ってらっしゃるんですのね!」
イライザはムッとしたように尋ねる。
「あなた、私が嘘をついているとでも? そこまで言うならいつの出来事なのか教えてくださる?」
「そ、それは確か……5日前ですわ」
そこでイライザはわざとらしく大きくため息をついた。
「その頃お茶会なんてしていませんわ」
そのとき、シルヴァンが口を挟んだ。
「それに付け加えておこう。5日前のその日、アレクサンドラは、その、王宮で僕とずっと一緒だった。嫌がらせなどできるはずはない」
そこでアレクサンドラは間髪入れずに叫ぶ。
「殿下、その言い方は誤解を招きますわ! ち、違いますの! その、私その日殿下に呼び出されて、少しお話しただけですのよ? 誤解しないでくださいませ」
そうは言ったものの、周囲の貴族たちはやはり誤解をしたようで、何人か恥ずかしそうにこちらを見ている。
これ以上言い訳をすれば、余計に怪しまれてしまうだろう。アレクサンドラはそれ以上言い訳をすることを諦めた。
だか、そういう目で見られていると思うとアレクサンドラも恥ずかしくなってしまい、思わず俯く。
その様子を見たアリスも誤解したようで、こちらは怒りに顔を赤くした。
アレクサンドラは猛烈に恥ずかしかったが、なんとか立ち直ると大きく咳払いして言った。
「そ、そもそも、なぜ私があなたに嫌がらせなんてする必要がありますの?」
その質問に、アリスは水を得た魚のようにほほ笑んだ。
「その理由は、みなさん御存知だと思いますけれど。アレクサンドラがしらを切るようなので説明させていただきますわ。あれはデュドネ公爵夫人のお茶会のことでしたわ」
アレクサンドラはアリスの話が長くなりそうだと思い、アリスが話すのを遮る。
「待ってアリス。それって占い師のルイーズがあなたのことを『国母になる』と予言した話をしようとしてますの?」
「なっ! や、やっぱり御存知でしたのね。それなのに知らない振りをするなんて。そうですわ、それからアレクサンドラは私を目の敵にしてますの!」
それを聞いてアレクサンドラは後ろに控えていたセバスチャンに目配せする。
すると、兵士によってルイーズがみんなの前に連れてこられた。
アリスは息を呑むと叫ぶ。
「ルイーズ、あなた生きてたの?!」
それに対してアレクサンドラが答えた。
「そうですわ。私、変なうわさを立てられて困っていましたから、彼女を探しましたのよ? さぁ、ルイーズ。なにがあったのか話してちょうだい」
ルイーズはそう言われると、顔色をなくし少し震えながらも話し始めた。
「わ、私はシャトリエ男爵令嬢に言われてあんなに大胆なことをしてしまいました。本当は少し稼げればよかったんです。人並みに生活ができれば……。でも、調子に乗ってとんでもないことをしました」
「ちょ! ちょっと、黙りなさい! そんな嘘ばっかり、いい加減にしなさいよ!!」
アリスはそう叫ぶとルイーズに飛びかかろうとしたが、兵士によりそれを制止される。
ルイーズはそんなアリスを恐怖の眼差しでみつめながら、さらに続ける。
「シャトリエ男爵令嬢はとても恐ろしいかたです。私、怖くなったんです。シャトリエ男爵令嬢が国母になるなんて、とんでもない発言をしたことを。それに私は知ってしまったんです。シャトリエ男爵令嬢の狂気を! アリス様、知っているんです。あなたが私を奴隷商人に売ろうとしたこと」
「だ、黙りなさい! あれは、そう、アレクサンドラに言わされているんですわ!」
「いいえ、いいえ。私は真実を言っています。もう嘘なんかつきたくありません。私には未来を占うことはできないんです。言ったことは全部でたらめでした」
ルイーズはそう叫ぶとその場に泣き崩れた。
その場にいたものは全員が息を呑み、無言でそんなルイーズを見つめ、アリスは呆然と立ち尽くしていた。
ホールにはルイーズのすすり泣く声だけが響いていた。
そこでシルヴァンが兵士に合図し、ルイーズを下がらせると言った。
「もういいだろう。これで満足したか?」
するとしばらくアリスは俯いていたが、顔を上げると薄ら笑いを浮かべて言った。
「いいえまだです。私は、アレクサンドラが、デュカス家がとんでもない事件を起こしていることを知っているんです」
そう言うと懐から一枚の紙を取り出す。
「これをみてください。これは真珠のネックレスの盗難についての決定的な証拠です」
そうして、アレクサンドラの面前にそれを突きつける。それは夢で見た、デュカス公爵家のサインが入ったパール・オブ・プリンセスの売買契約書だった。
「これ、この売買契約書。どう説明しますの?」
アリスが自信たっぷりにアレクサンドラをそう言って問い詰めたとき、背後からアルナウトがネックレスケースを手にアリスに近づいた。
「お嬢さん、君の言っている真珠のネックレスとは、このパール・オブ・プリンセスのことかな?」
アルナウトは手に持っていたケースを開けて見せた。
アリスは怪訝そうな顔をしてケースの中にあるパール・オブ・プリンセスを確認すると、顔色をなくし呟いた。
「なぜこれがここに……」
アルナウトは自慢げに答える。
「聡明なるアレクサンドラ様がすべての事件の謎を解いてくださったんだ。この意味がわかるか? すべての謎、つまり誰がどのようにこの事件に関わったのか、その黒幕もすべてを暴いたということだ」
するとアリスは叫ぶ。
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