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プロローグ
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私は神殿で佇んでいた、どうも頭がはっきりせず眩暈がした。ぼやける視界の向こうで王太子殿下が何事か言いながら駆け寄ってくる。
その瞬間背中から大剣が私を貫いた。生暖かいものが腹部へ滴り落ちる。王太子殿下は泣きながら何かを叫んでいるが、私はもう返事をすることもできずに、そのまま目を閉じた。
すると突然真っ白ななにもない音もない空間にでた。痛みもないがなんの感覚もない。立っているのか浮いているのかもよくわからない。
周囲をよく見ると、キラキラした砂状の物が消えながら上へ登ってゆく。と、その空間の中に長髪の中性的な人が立っていた。酷く悲しげなその人は消え行く最後の瞬きを握りしめながら誰にともなくつぶやく。
「今回もまた、駄目だった」
そしてその人は顔を上げると私に気がつき驚いた顔をして言った。
「やはり君が……」
アザレア・ファン・ケルヘール公爵令嬢は今日もカルミア王太子殿下のために殿下の好きなアンモビウムの花と、手作りの差し入れを持ち王城へと向かう馬車に揺られていた。
今日の差し入れはスコーンにした。王太子殿下は甘いものがあまり好きではないのでなるべく甘くなく、忙しい執務の合間に片手でも食べられる物にしている。
もちろん毒見をしてから王太子殿下の口に入る為、毒見される分も含め多めに作ってきた。
なんなら側近も含めみんなに食べてもらい、忙しい執務の間に一息入れて欲しい。という気持ちも含まれている。
差し入れが手作りであることは王太子殿下には隠していた。公爵令嬢ともあろう者が、料理をするなどはしたないことだからだ。
アンモビウムは白く花弁の小さな花なのだが、庭師のクロフォードと一緒に品種改良を重ね、昨年に花弁はより大きくそれが幾重にも重なった、大輪の花を咲かせるものへと品種改良することに成功した。
今年の春に蒔いた種が、ようやく花を咲かせたため持参したのだ。
アンモビウムの咲いていない時期でも、アザレアは婚約者候補なので、王宮内の王太子殿下の目に触れる場所に持参した花を飾ることを許可されている。なので、庭で育てた四季折々の花々を、手作りの差し入れとともに持ってきていた。
いつも忙しい王太子殿下に、執務中のちょっとした時間ぐらいは花を見て、少しでもリラックスしてもらいたかったからだ。
手に持ったアンモビウムの花を眺めていたが、ふいに聞こえた外の喧騒が気になり、窓から外を覗いた。馬車は城下町まで来ていた。王宮まではあと10分ほどであろう。
城下町では威勢よく物売りが声を張り上げ客の関心を集め、通りはその声に誘われる客や、これから何処かへ行こうとしている家族、楽しそうにおしゃべりをしながら歩く女の子たち、仕入れ等で足早に配達や荷物の運搬をしているものたちで賑わいを見せている。
空を見上げると、雲ひとつない快晴で、先代の聖女様の結界石により張られた結界が、青空にうっすら輝く虹色に輝いて見えた。ここサイデューム王国は今日も平和である。
その瞬間背中から大剣が私を貫いた。生暖かいものが腹部へ滴り落ちる。王太子殿下は泣きながら何かを叫んでいるが、私はもう返事をすることもできずに、そのまま目を閉じた。
すると突然真っ白ななにもない音もない空間にでた。痛みもないがなんの感覚もない。立っているのか浮いているのかもよくわからない。
周囲をよく見ると、キラキラした砂状の物が消えながら上へ登ってゆく。と、その空間の中に長髪の中性的な人が立っていた。酷く悲しげなその人は消え行く最後の瞬きを握りしめながら誰にともなくつぶやく。
「今回もまた、駄目だった」
そしてその人は顔を上げると私に気がつき驚いた顔をして言った。
「やはり君が……」
アザレア・ファン・ケルヘール公爵令嬢は今日もカルミア王太子殿下のために殿下の好きなアンモビウムの花と、手作りの差し入れを持ち王城へと向かう馬車に揺られていた。
今日の差し入れはスコーンにした。王太子殿下は甘いものがあまり好きではないのでなるべく甘くなく、忙しい執務の合間に片手でも食べられる物にしている。
もちろん毒見をしてから王太子殿下の口に入る為、毒見される分も含め多めに作ってきた。
なんなら側近も含めみんなに食べてもらい、忙しい執務の間に一息入れて欲しい。という気持ちも含まれている。
差し入れが手作りであることは王太子殿下には隠していた。公爵令嬢ともあろう者が、料理をするなどはしたないことだからだ。
アンモビウムは白く花弁の小さな花なのだが、庭師のクロフォードと一緒に品種改良を重ね、昨年に花弁はより大きくそれが幾重にも重なった、大輪の花を咲かせるものへと品種改良することに成功した。
今年の春に蒔いた種が、ようやく花を咲かせたため持参したのだ。
アンモビウムの咲いていない時期でも、アザレアは婚約者候補なので、王宮内の王太子殿下の目に触れる場所に持参した花を飾ることを許可されている。なので、庭で育てた四季折々の花々を、手作りの差し入れとともに持ってきていた。
いつも忙しい王太子殿下に、執務中のちょっとした時間ぐらいは花を見て、少しでもリラックスしてもらいたかったからだ。
手に持ったアンモビウムの花を眺めていたが、ふいに聞こえた外の喧騒が気になり、窓から外を覗いた。馬車は城下町まで来ていた。王宮まではあと10分ほどであろう。
城下町では威勢よく物売りが声を張り上げ客の関心を集め、通りはその声に誘われる客や、これから何処かへ行こうとしている家族、楽しそうにおしゃべりをしながら歩く女の子たち、仕入れ等で足早に配達や荷物の運搬をしているものたちで賑わいを見せている。
空を見上げると、雲ひとつない快晴で、先代の聖女様の結界石により張られた結界が、青空にうっすら輝く虹色に輝いて見えた。ここサイデューム王国は今日も平和である。
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