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第四十四話
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シラーがアザレアを呼びに来たので、部屋を出る。するとフランツとコリンが立って待っていた。コリンはアザレアの姿を観ると微笑む。
「久しぶりだね、元気にしてたか?」
そう言ったかと思うと首を振る。
「そうじゃないな、アザレ、会いたかった」
コリンはそんなことを言うタイプではないので面食らって顔を見つめた。
「アザレ、俺はいつまで君のお兄さんでいなければならないんだ?」
そう言うと、アザレアの手を取り手の甲にキスをした。とそこにフランツが待ったをかける。
「コリウス、君は後から出てきてふてぶてしいな」
アザレアの腕を取って、コリンから引き離した。コリンは苦笑いをする。
「確かにね、でもそんなことはアザレが決めることだろう。遅いも早いもないさ。俺だって諦めてないからね。それに……」
そう言うと、アザレアに向き直る。
「正式に王宮からアザレの護衛の任命をされているしね、これからは堂々とそばにいられるよ」
フランツはアザレアとコリンの間に割って入り、アザレアを背中に隠す。
「貴様に護衛されたら逆に危険だ。このことは後で父上と相談する」
コリンは笑う。
「王宮からの任命だからね、簡単に覆すことはできないと思うけど。それより、もうそろそろ行かないとまずいのでは?」
アザレアは慌てた。
「お二人が私とパレードをご一緒しますの? なら、早く参りましょう」
そう言うと、二人とも苦虫を噛み潰したような顔をして首を振った。そしてフランツが言う。
「僕たちではありません。とりあえず、行けばわかります」
二人はアザレアを王宮のエントランスまでエスコートし、そこで待つように指示すると後ろに控えた。どういうことなのかと待っていると、二階から国王陛下が現れ微笑む。
「アザレア、私では不満かもしれないが行こうか」
そう言って、アザレアの手を取ると門まで続くレッドカーペットの上を歩き出した。アザレアは混乱しつつも、なんとかこの大役をはたさねばと自分を落ち着かせる。
門の周囲に集まった観衆が『わっ!』と沸き、アザレアを見ようと押し合い圧し合いしている民衆を、兵士達が必死に抑えている。
「聖女様!」
「女神様だ!!」
「ありがたい、ありがたい」
泣き出している者までいて、アザレアは聖女ではないのに。と、申し訳ない気持ちになった。
アザレアの後ろにはフランツとコリンが続いて歩いている。そのまま門まで歩いてゆくと、そこに赤いクラミスを羽織ったカルがこちらを向いて立っていた。
一緒にいるはずの栞奈はどうしたのかと目を凝らして見ると、遥か彼方の前方に教会の司祭達一団とその中をゆく馬車があり、その馬車に乗っているようだった。
国王陛下はカルの前までアザレアをエスコートすると
「未來の国王、若き王子に宮廷魔導師を託すとする!!」
そう声高らかに言って、アザレアの手をカルに託した。すると一層民衆が沸き歓喜した。アザレアは、とんでもない展開に気を失いそうになるのを必死にこらえた。
そして、門の前に止めてあるオープン馬車にカルのエスコートで乗車した。聖女すらオープン馬車でないのに、まるで主役のようではないか。
しかも馬車の側面には王宮の紋章まで入っている。アザレアはカルに小声で若干避難するように言う。
「この馬車はどういうことですの?」
そう聞くと、カルはアザレアを見て微笑む。
「聖女の馬車は教会が、君の馬車は王宮が準備した。宮廷魔導師なのだから王宮が君の馬車の準備をするのは当然だと思う。それに聖女のドレスを見たかい? あのドレスではアゲラタムもオープン馬車に聖女を乗せる訳にはいかなかったのだろう」
前方に王宮騎士団、後方にフランツとコリンを伴い国王、皇后両陛下に見送られながらゆっくりと馬車は動き出した。アザレアは民衆に手を振りながら小声でカルに訊く。
「聖女とご一緒しなくてよろしかったんですの?」
カルも民衆に手を振りながら小声で答える。
「聖女と一緒に出るとは言ったが、一緒にパレードに参加するとは言ってないよ、それになぜ僕がアゲラタムの馬車に乗らないといけないんだ?」
そのとき沿道から会話が聞こえた。
「見て見てお二人の衣装、赤や青に変化してとても神秘的。まるでアザレア公爵令嬢の瞳のようね」
慌てて自分のドレスを見ると、日が当たっている部分が赤くなっていた。驚いてカルを見上げる。
「気がついた? 君と揃いで僕のクラミスも陽の光を浴びると赤くなる布とアレキサンドライトを使っていて、日に当たると赤くなる仕掛けだ。アレキサンドライトは君を意味する宝石だから、ふんだんに使ったよ」
と言った後イタズラっぽく笑った。
「それに私は、聖女から衣装の色やデザインの指定はされたが、装飾品の指定はなかったからね、クラミスぐらいは自由にさせてもらったよ」
沿道の民衆はあきらかに聖女ではなく、アザレアの方に向かって聖女様と叫んでいる。
先日のミツカッチャ洞窟の件が尾を引いているのだろう。頭が痛い。
聖女の馬車は大通りを抜けると左に曲がり職人通りを通って教会に戻るルートを取ったが、アザレア達の馬車は右に曲がり住宅街を通って王宮に戻るルートを取った。
これは集まる民衆を分断する目的であったが、民衆達がほとんどアザレアの馬車を追いかけて来てしまい、意味をなさなかった。
聖女の馬車は後ろ姿も寂しく、アゲラタムの協会に戻って行った。
住宅街に入ると人々が通りに花びらを撒いてくれた。思わずカルに言った。
「素敵な演出ですわ、カルありがとう」
すると、カルは首を振る。
「これは私はお願いしてないよ。きっと君に助けられた人達の計らいだろう。君は皆に愛されているってことだろう。それだけの行いをしたのだから素直に喜べばいい」
そう言われてアザレアは感極まって泣いてしまった。泣きながら懸命に皆に手を振る。
「ありがとう!」
それを見ていた沿道の人々も泣き始めてしまうのだった。
王宮に戻ると馬車を降り、なおもアザレアの名を呼ぶ民衆に振り替えって手を振って答えた。アザレアはカルに言う。
「こうして皆に感謝を言えるなら、パレードも悪くありませんわね」
そう言って微笑む。カルはそんなアザレアをじっと見つめ言った。
「そんな君だから一緒に歩んで行きたいと思う」
「久しぶりだね、元気にしてたか?」
そう言ったかと思うと首を振る。
「そうじゃないな、アザレ、会いたかった」
コリンはそんなことを言うタイプではないので面食らって顔を見つめた。
「アザレ、俺はいつまで君のお兄さんでいなければならないんだ?」
そう言うと、アザレアの手を取り手の甲にキスをした。とそこにフランツが待ったをかける。
「コリウス、君は後から出てきてふてぶてしいな」
アザレアの腕を取って、コリンから引き離した。コリンは苦笑いをする。
「確かにね、でもそんなことはアザレが決めることだろう。遅いも早いもないさ。俺だって諦めてないからね。それに……」
そう言うと、アザレアに向き直る。
「正式に王宮からアザレの護衛の任命をされているしね、これからは堂々とそばにいられるよ」
フランツはアザレアとコリンの間に割って入り、アザレアを背中に隠す。
「貴様に護衛されたら逆に危険だ。このことは後で父上と相談する」
コリンは笑う。
「王宮からの任命だからね、簡単に覆すことはできないと思うけど。それより、もうそろそろ行かないとまずいのでは?」
アザレアは慌てた。
「お二人が私とパレードをご一緒しますの? なら、早く参りましょう」
そう言うと、二人とも苦虫を噛み潰したような顔をして首を振った。そしてフランツが言う。
「僕たちではありません。とりあえず、行けばわかります」
二人はアザレアを王宮のエントランスまでエスコートし、そこで待つように指示すると後ろに控えた。どういうことなのかと待っていると、二階から国王陛下が現れ微笑む。
「アザレア、私では不満かもしれないが行こうか」
そう言って、アザレアの手を取ると門まで続くレッドカーペットの上を歩き出した。アザレアは混乱しつつも、なんとかこの大役をはたさねばと自分を落ち着かせる。
門の周囲に集まった観衆が『わっ!』と沸き、アザレアを見ようと押し合い圧し合いしている民衆を、兵士達が必死に抑えている。
「聖女様!」
「女神様だ!!」
「ありがたい、ありがたい」
泣き出している者までいて、アザレアは聖女ではないのに。と、申し訳ない気持ちになった。
アザレアの後ろにはフランツとコリンが続いて歩いている。そのまま門まで歩いてゆくと、そこに赤いクラミスを羽織ったカルがこちらを向いて立っていた。
一緒にいるはずの栞奈はどうしたのかと目を凝らして見ると、遥か彼方の前方に教会の司祭達一団とその中をゆく馬車があり、その馬車に乗っているようだった。
国王陛下はカルの前までアザレアをエスコートすると
「未來の国王、若き王子に宮廷魔導師を託すとする!!」
そう声高らかに言って、アザレアの手をカルに託した。すると一層民衆が沸き歓喜した。アザレアは、とんでもない展開に気を失いそうになるのを必死にこらえた。
そして、門の前に止めてあるオープン馬車にカルのエスコートで乗車した。聖女すらオープン馬車でないのに、まるで主役のようではないか。
しかも馬車の側面には王宮の紋章まで入っている。アザレアはカルに小声で若干避難するように言う。
「この馬車はどういうことですの?」
そう聞くと、カルはアザレアを見て微笑む。
「聖女の馬車は教会が、君の馬車は王宮が準備した。宮廷魔導師なのだから王宮が君の馬車の準備をするのは当然だと思う。それに聖女のドレスを見たかい? あのドレスではアゲラタムもオープン馬車に聖女を乗せる訳にはいかなかったのだろう」
前方に王宮騎士団、後方にフランツとコリンを伴い国王、皇后両陛下に見送られながらゆっくりと馬車は動き出した。アザレアは民衆に手を振りながら小声でカルに訊く。
「聖女とご一緒しなくてよろしかったんですの?」
カルも民衆に手を振りながら小声で答える。
「聖女と一緒に出るとは言ったが、一緒にパレードに参加するとは言ってないよ、それになぜ僕がアゲラタムの馬車に乗らないといけないんだ?」
そのとき沿道から会話が聞こえた。
「見て見てお二人の衣装、赤や青に変化してとても神秘的。まるでアザレア公爵令嬢の瞳のようね」
慌てて自分のドレスを見ると、日が当たっている部分が赤くなっていた。驚いてカルを見上げる。
「気がついた? 君と揃いで僕のクラミスも陽の光を浴びると赤くなる布とアレキサンドライトを使っていて、日に当たると赤くなる仕掛けだ。アレキサンドライトは君を意味する宝石だから、ふんだんに使ったよ」
と言った後イタズラっぽく笑った。
「それに私は、聖女から衣装の色やデザインの指定はされたが、装飾品の指定はなかったからね、クラミスぐらいは自由にさせてもらったよ」
沿道の民衆はあきらかに聖女ではなく、アザレアの方に向かって聖女様と叫んでいる。
先日のミツカッチャ洞窟の件が尾を引いているのだろう。頭が痛い。
聖女の馬車は大通りを抜けると左に曲がり職人通りを通って教会に戻るルートを取ったが、アザレア達の馬車は右に曲がり住宅街を通って王宮に戻るルートを取った。
これは集まる民衆を分断する目的であったが、民衆達がほとんどアザレアの馬車を追いかけて来てしまい、意味をなさなかった。
聖女の馬車は後ろ姿も寂しく、アゲラタムの協会に戻って行った。
住宅街に入ると人々が通りに花びらを撒いてくれた。思わずカルに言った。
「素敵な演出ですわ、カルありがとう」
すると、カルは首を振る。
「これは私はお願いしてないよ。きっと君に助けられた人達の計らいだろう。君は皆に愛されているってことだろう。それだけの行いをしたのだから素直に喜べばいい」
そう言われてアザレアは感極まって泣いてしまった。泣きながら懸命に皆に手を振る。
「ありがとう!」
それを見ていた沿道の人々も泣き始めてしまうのだった。
王宮に戻ると馬車を降り、なおもアザレアの名を呼ぶ民衆に振り替えって手を振って答えた。アザレアはカルに言う。
「こうして皆に感謝を言えるなら、パレードも悪くありませんわね」
そう言って微笑む。カルはそんなアザレアをじっと見つめ言った。
「そんな君だから一緒に歩んで行きたいと思う」
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