死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。

みゅー

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第五十九話

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 聖女の断罪劇のあと、カルやリアトリスたちは事後処理に追われることになった。

 ノクサは、結局教皇として教会に戻ることになり、今回チューザレ大司教と聖女が起こした騒ぎの沈静化を図ることとなった。

 ノクサの本名はノウクスサ・フォン・ブオール教皇。アングレカム大司教は息子なのだと、断罪劇の直後にノクサは語った。

 更にノクサはアザレアの祖母を知っており、マユリさんのお店でアザレアを見た瞬間にすぐに正体がわかったそうだ。

「君のお祖母様は私の初恋の人でね。君を見ると当時を思い出す」

 と、遠い目をした。

「次にあったときも、以前のように接して欲しい」

 そう言うと、ノクサは教会へ帰って行った。 

 色々落ち着いたとき、カルにあの手紙に何が書いてあったのか訊いた。

「あの手紙には、私の字であのあと起こることが書いてあった。聖女が謁見に来ると、マフィンが毒入りだと騒ぎ、崩落事件も全て君が犯人だと騒ぎだしたそうだ。まぁ、そこは先日の展開と大差ないな。そこへマフィンを食べたケルヘール公爵が倒れたと報告がはいる。その混沌の中あの箱のことを思い出した君は、ケルヘール公爵を助けるために手紙を書いて、時間を巻き戻すことにした。そんなことが書いてあった」

 アザレアは質問した。

「あのマフィンは誰が用意したものなのでしょう?」

 カルは答える。

「もちろんチューザレと聖女だ。だから毒が入っているのも知っていた」

 アザレアは驚きながら言う。

「もしもマフィンをカルが食べてしまったら、どうするつもりだったのでしょう? それに未来のカルは、何故毒入りのマフィンを食べなかったのかしら?」

 カルは頷く。

「聖女はなぜか絶対に計画は失敗しないと思っていたようだし、チューザレは間違えて私がマフィンを食べてしまっても良い。と思っていたのだろう。もしそうなった場合は、君か、聖女に罪をなすりつける腹積もりだったのではないかな?」

 アザレアはゾッとした。チューザレ大司教はどこまでも冷酷なのだろう。そしてカルは微笑むと続ける。

「たぶんあの手紙がなくとも、マフィンに毒が入っているのは直ぐにわかっただろう。君があんなふうにマフィンを届けるわけがない、と言うのも怪しむ理由の一つだが……」

 そう言ったあと、カルはアザレアからもらった胸元のフラワーホルダーを指差した。

「これが反応したんだよ。以前庭を散歩していて、レッドマジックリリーの花の前でこのブローチの魔石が反応したのは覚えているかい?」

 そう言われ、そんなことがあったのを思い出した。カルは楽しそうに話を続ける。

「レッドマジックリリーと毒入りマフィン、共通点は?」

 アザレアは気づく。

「まさか、毒ですの!?」

 と大きな声を出した。そして続けて言う。

「もしかして、わたくしがそのブローチをつけたまま、いつも毒スキャンをしていたから、ブローチに毒スキャンの魔力付与がされていたと言うことですの?」

 カルは頷く。

「そう言うことのようだ。君の魔力は甚大だからね、ブローチのダイヤモンドにその作用が付加されたのだろう。僕がマフィンのかごを手にしたときに、このブローチが反応した。それで気がついた。僕はまた君に助けられたね」

 そう言って微笑んだ。そして、カルは話を続ける。

「それともう一つ君に助けられたことがある。君がチャンスをくれたことだ」

 アザレアは不思議そうにカルを見つめる。

「チャンスってなんですの?」

 そう訊くと

「時間を巻き戻したことで、敵の先手を取れるチャンスをくれた。せっかくなのだから、この機会を逃す手はないだろう? 一気に攻め込むことにした。君がケルヘール家に行ったあと、手紙を読み終わる頃に聖女が予定通りやってきた。だからそれを待たせて、フランツと全て準備して包囲した。言い逃れができないようにな。下手をすれば、相手はあのチューザレ大司教だ、上手いこと立ち回って逃げてしまうだろう。だが、あの手紙で教皇が来るのを知っていたからこそ、アングレカム大司教を呼ぶことを思いつき、最終的にチューザレ大司教を追いこむことができた」

 すると後ろにいたフランツが口を開く。

「でも、アングレカム大司教に神のウロコを持って今すぐ来るよう説得するのは、骨が折れました。神のウロコは門外不出ですし、発見した大司教しか見ることのできない物です。もしこれで本当に神のウロコが偽物でなければ、処罰されるのはアングレカム大司教と僕でした」

 そう言って苦笑した。アザレアはフランツにも質問した。

「そう言えば、なぜ神のウロコが偽物だとわかりましたの?」

 フランツは苦笑した。

「全てがおかしかったからです。いや、逆にタイミングが良すぎたとも言えますね。そもそも教皇が先代の聖女を召喚してからまだ数十年しかたっていません。しかも先代の聖女はかなり魔力の高い方でしたから、現在の結界石は非常に完成されたものです。あと300年は余裕でもつはずなのです。なのに結界石が限界と言う噂が独り歩きし始めた。調べてみたら、チューザレ大司教の派閥の者たちが噂を流していることがわかりました。そして結界石の限界予兆として、稲妻のような現象を数回観測すると言うことなのですが、それを見たと言ったのも、いつもチューザレ大司教だけでした」

 アザレアはそれを受けて言った。

「そしてわたくしが倒れた直後に、神のウロコを発見したと報告があったのですね?」

 フランツは大きく頷いた。

「そうです。まぁ、偽物だという確証はありませんでしたから、あれが偽物でほっとしました」

 と微笑んだ。カルも頷く。

「それでも君のおかげで、君が時間を巻き戻してくれたおかげで、今がある」

 そう言うと、フランツも頷き言った。

「本当に、貴女には感謝しかありませんね」

 そこで、カルはふと何かを思い出したかのように言う。

「そう言えば、君に話していないことがある」

 わたくしは、不安に思いながら訊く。

「なんですの?」

 カルは満面の笑みで答える。

「君を正式に聖女だと発表すると教会から報告があった。前の聖女は地位剥奪のもと、教会の管理下に置かれるらしい。そもそも公の場で教皇が君を聖女様って呼んでしまったからね、教会の認識でも君は今までと違う特別な力をもった奇跡の聖女様。という認識でかたまったらしい。これで君は大手を振って聖女だと名乗れるね」

 そう楽しそうに言った。フランツも微笑みながら言う。

「本当に素晴らしいことですね」

 アザレアは叫んだ。

「それだけは嫌です!!」

 そして頭を抱える。そんなアザレアの意思とは関係なく、アザレアはこれから大聖女様と呼ばれることになるのだった。
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