3 / 8
3
しおりを挟む
不思議に思ってアレルに質問する。
「彼女になにを仰ったのですか?」
「周囲を見てごらん、みんな大切な場で礼儀も知らず大声で叫ぶ令嬢を好奇の目で見ているよ? とね。あれでは彼女が礼儀知らずと周囲に言われても仕方がないと思う」
ジョゼフィーヌは苦笑しながらも思う。こうしてアレルとマリーが接触して、今後恋愛に発展して行くのだろう。
そんなジョゼフィーヌを見てアレルも笑っていたが、それが落ち着くと少しためらいながら真剣な眼差しでジョゼフィーヌに言った。
「ところで、社交界では王太子殿下とある令嬢との噂で持ちきりと聞いています」
「そうなんですのね、それならば私の婚約者候補としてのお役目はもうそろそろ卒業ですわね。王太子殿下には幸せになっていただきたいものですわ」
そう言って微笑む。ヒロインも今は不安定で礼儀を欠いたことをしてしまっているかも知れないが、これからは落ち着くだろう。
そんなジョゼフィーヌをアレルは不思議そうに見つめた。
「ジョゼフィーヌ、君は王太子殿下と婚約したかったのではないのですか?」
ジョゼフィーヌはゆるゆると横に首を振る。
「いいえ。だって無理ですもの」
「なぜそう思うのですか?」
「王太子殿下が私を選ぶということが絶対にないからですわ」
アレルはそう答えるジョゼフィーヌの真意を探るように瞳の奥をじっと見つめると言った。
「それは、私との婚約を前向きに考えてくださっていると考えてもよろしいでしょうか?」
ジョゼフィーヌは思わず失笑した。
「あら、公爵令息もそのうち意中の方が現れますわ」
ジョゼフィーヌはそう言ってあしらうと、サミュエルに挨拶をするためにアレルに断ってその場を離れた。
婚約者候補一人一人がサミュエルの前に出て、挨拶を交わす。顔合わせなので、挨拶以外はほとんど言葉を交わさずにすむのはありがたかった。
細かな彫刻の装飾に、よくなめした革張りのアームチェアにゆったり座っているサミュエルの前に進み出ると、膝を折った。
「やぁ、ジョゼフィーヌ」
「こんにちは、王太子殿下。本日はお招きありがとうございます」
それだけ言うと前の令嬢にならって、ジョゼフィーヌは顔をあげ少し微笑んでその場を去ろうとした。
だが、サミュエルはそんなジョゼフィーヌに声をかける。
「ジョゼフィーヌ、先ほどアレルと何を話していた?」
足を止め驚きながら振り向きサミュエルの方へ向き直ると、質問に答える。
「ご挨拶をしてました」
「そうは見えなかった」
そう言うサミュエルは口元は笑っているが、目が笑っていなかった。きっと変な噂でも聞いて誤解しているに違いないと思いながら答える。
「立場をわきまえず誤解を与えるような振る舞いをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。今後はそのような軽率な行いはいたしません」
サミュエルはジョゼフィーヌをじっと見つめたあと、視線を逸らした。
「それはもういい」
「はい」
ジョゼフィーヌはもう下がって良いのだと思い、もう一度頭を下げると立ち去ろうとするが再度呼び止められる。
「待て、まだ話が終わっていない。一つ質問がある」
「なんでしょうか?」
「そのドレスは誰からプレゼントされたものだ?」
予想していなかった質問に一瞬驚いたが、慌てて答える。
「これはプレゼントされたものではありません。以前新調したものを着てまいりました」
「そうか、アレルからのプレゼントではないのだな。ならいい。私もドレスのプレゼントが間に合わなかったしな」
なにを言っているのだろう? それよりも早くこの場を去らなければ、他の令嬢に逆恨みされかねないわ。
そう思いながらちらりと後ろを見ると、案の定待っている令嬢たちが鬼の形相でジョゼフィーヌを睨んでいる。
ジョゼフィーヌは慌てて頭を下げる。
「では、失礼いたします」
そう言うとその場から退くと、素早く人混みに紛れた。
しばらくしてすべての令嬢と挨拶を終えたサミュエルは、早速令嬢たちに囲まれていた。ジョゼフィーヌはぼんやりそれを見つめながら思う。
どの令嬢も自分の人生がかかっているのですもの、必死なんですわ。私も昔はあの令嬢たちと同じでしたけれど。
するとサミュエルの横に立っていたマリーと目が合った。マリーはサミュエルの腕に手をからめるとニヤリと笑った。
ジョゼフィーヌは二人の仲が深まっていると認識し、微笑んで返した。
この前サミュエルはとても悩んでいる様子だったが、自分の中で答えが見つかったのだろう。あとはそれを邪魔せず後押しするのみだと考えた。
先ほどサミュエルに婚約者候補としての立場をわきまえるようたしなめられたばかりだったジョゼフィーヌは、仕方なしに壁際でひとり誰にも話しかけられないよう俯いてやり過ごしていた。
「どうしたんだこんなところで。なにかあったのか?」
声の主を見上げると、サミュエルが立っていた。周囲には婚約者候補の令嬢たちとマリーもいる。自分が話しかけられたことに驚きながら、慌てて膝を折る。
そこでマリーが口を挟んだ。
「私がいけないのですわ。先ほどアルシェ侯爵令嬢にご忠告申し上げましたの。あまり端ないことはなさらない方が良いって」
ここでマリーに言い返せば面倒臭いことになるだろうと思ったジョゼフィーヌは、その話に乗ることにした。
「そうなんですの。ですから、王太子殿下に気にかけてもらえる立場にありませんわ」
すると、マリーは上機嫌で答える。
「あら、そんなこと仰らないで? 私怒っている訳ではありませんのよ? 貴女も楽しんで?」
マリーが男爵令嬢でありながら、侯爵令嬢であるジョゼフィーヌに礼儀知らずなものの言い方をすることにも腹が立ったが、それを今咎めてしまえば後でなにを言われるかわからないと思ったジョゼフィーヌは、グッとこらえた。
そして、これを口実にして今日は帰ることにした。
「オドラン男爵令嬢ありがとうございます。でも、なんだか不快にさせてしまったようですから、私は失礼しますわね」
そう言って微笑んでそのまま会場をあとにした。争いは避けるに限る。
次の日、朝起きるとエントランスがやけに騒がしかった。何事かと降りて行くと、プレゼントが次々に運び込まれていた。
驚いてその場にいたメイドに話しかける。
「これはどなたから?」
「お嬢様、大変です! 王太子殿下からプレゼントがこんなに!!」
「これ、王太子殿下からですの?!」
なぜ突然プレゼントを?!
しばらく考えて婚約者候補全員に贈り物をしているのだと思い至る。
ジョゼフィーヌはとりあえず失礼のないようお礼状を書くために、プレゼントに添えてある手紙に目を通す。
そこには『愛するジョゼフィーヌへ、心を込めて』と、歯の浮くような内容と共に明後日、散歩に行こうとお誘いが書かれていた。
名前と日付を変えて一体何人の令嬢たちにこの内容の手紙を書いたのだろう? 大変だったに違いない。
そんなことを思いながら、プレゼントの内容を確認する。その中にはドレスも含まれていたので、散歩にはこれを着てこいということなのだろう。
プレゼントのドレスの中から、散歩の時に身につける一式を選ぶと明後日はこれを着ることをサニアに伝えた。
散歩の当日、待ち合わせ時間より早く屋敷に来たサミュエルを見て、失礼のないように早めに準備していて良かったと胸を撫で下ろす。
サミュエルはジョゼフィーヌに気づくと、優しく微笑んで言った。
「待っていた」
「お待たせいたしました」
そう答えて差し出された手をとると、王太子殿下はじっとジョゼフィーヌを見つめて言った。
「そのドレス、やはり思った通り君に似合っている。君はとても愛らしい」
社交辞令がうまいと思いながら微笑む。
「ありがとうございます。私もとても気に入ってますの」
「彼女になにを仰ったのですか?」
「周囲を見てごらん、みんな大切な場で礼儀も知らず大声で叫ぶ令嬢を好奇の目で見ているよ? とね。あれでは彼女が礼儀知らずと周囲に言われても仕方がないと思う」
ジョゼフィーヌは苦笑しながらも思う。こうしてアレルとマリーが接触して、今後恋愛に発展して行くのだろう。
そんなジョゼフィーヌを見てアレルも笑っていたが、それが落ち着くと少しためらいながら真剣な眼差しでジョゼフィーヌに言った。
「ところで、社交界では王太子殿下とある令嬢との噂で持ちきりと聞いています」
「そうなんですのね、それならば私の婚約者候補としてのお役目はもうそろそろ卒業ですわね。王太子殿下には幸せになっていただきたいものですわ」
そう言って微笑む。ヒロインも今は不安定で礼儀を欠いたことをしてしまっているかも知れないが、これからは落ち着くだろう。
そんなジョゼフィーヌをアレルは不思議そうに見つめた。
「ジョゼフィーヌ、君は王太子殿下と婚約したかったのではないのですか?」
ジョゼフィーヌはゆるゆると横に首を振る。
「いいえ。だって無理ですもの」
「なぜそう思うのですか?」
「王太子殿下が私を選ぶということが絶対にないからですわ」
アレルはそう答えるジョゼフィーヌの真意を探るように瞳の奥をじっと見つめると言った。
「それは、私との婚約を前向きに考えてくださっていると考えてもよろしいでしょうか?」
ジョゼフィーヌは思わず失笑した。
「あら、公爵令息もそのうち意中の方が現れますわ」
ジョゼフィーヌはそう言ってあしらうと、サミュエルに挨拶をするためにアレルに断ってその場を離れた。
婚約者候補一人一人がサミュエルの前に出て、挨拶を交わす。顔合わせなので、挨拶以外はほとんど言葉を交わさずにすむのはありがたかった。
細かな彫刻の装飾に、よくなめした革張りのアームチェアにゆったり座っているサミュエルの前に進み出ると、膝を折った。
「やぁ、ジョゼフィーヌ」
「こんにちは、王太子殿下。本日はお招きありがとうございます」
それだけ言うと前の令嬢にならって、ジョゼフィーヌは顔をあげ少し微笑んでその場を去ろうとした。
だが、サミュエルはそんなジョゼフィーヌに声をかける。
「ジョゼフィーヌ、先ほどアレルと何を話していた?」
足を止め驚きながら振り向きサミュエルの方へ向き直ると、質問に答える。
「ご挨拶をしてました」
「そうは見えなかった」
そう言うサミュエルは口元は笑っているが、目が笑っていなかった。きっと変な噂でも聞いて誤解しているに違いないと思いながら答える。
「立場をわきまえず誤解を与えるような振る舞いをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。今後はそのような軽率な行いはいたしません」
サミュエルはジョゼフィーヌをじっと見つめたあと、視線を逸らした。
「それはもういい」
「はい」
ジョゼフィーヌはもう下がって良いのだと思い、もう一度頭を下げると立ち去ろうとするが再度呼び止められる。
「待て、まだ話が終わっていない。一つ質問がある」
「なんでしょうか?」
「そのドレスは誰からプレゼントされたものだ?」
予想していなかった質問に一瞬驚いたが、慌てて答える。
「これはプレゼントされたものではありません。以前新調したものを着てまいりました」
「そうか、アレルからのプレゼントではないのだな。ならいい。私もドレスのプレゼントが間に合わなかったしな」
なにを言っているのだろう? それよりも早くこの場を去らなければ、他の令嬢に逆恨みされかねないわ。
そう思いながらちらりと後ろを見ると、案の定待っている令嬢たちが鬼の形相でジョゼフィーヌを睨んでいる。
ジョゼフィーヌは慌てて頭を下げる。
「では、失礼いたします」
そう言うとその場から退くと、素早く人混みに紛れた。
しばらくしてすべての令嬢と挨拶を終えたサミュエルは、早速令嬢たちに囲まれていた。ジョゼフィーヌはぼんやりそれを見つめながら思う。
どの令嬢も自分の人生がかかっているのですもの、必死なんですわ。私も昔はあの令嬢たちと同じでしたけれど。
するとサミュエルの横に立っていたマリーと目が合った。マリーはサミュエルの腕に手をからめるとニヤリと笑った。
ジョゼフィーヌは二人の仲が深まっていると認識し、微笑んで返した。
この前サミュエルはとても悩んでいる様子だったが、自分の中で答えが見つかったのだろう。あとはそれを邪魔せず後押しするのみだと考えた。
先ほどサミュエルに婚約者候補としての立場をわきまえるようたしなめられたばかりだったジョゼフィーヌは、仕方なしに壁際でひとり誰にも話しかけられないよう俯いてやり過ごしていた。
「どうしたんだこんなところで。なにかあったのか?」
声の主を見上げると、サミュエルが立っていた。周囲には婚約者候補の令嬢たちとマリーもいる。自分が話しかけられたことに驚きながら、慌てて膝を折る。
そこでマリーが口を挟んだ。
「私がいけないのですわ。先ほどアルシェ侯爵令嬢にご忠告申し上げましたの。あまり端ないことはなさらない方が良いって」
ここでマリーに言い返せば面倒臭いことになるだろうと思ったジョゼフィーヌは、その話に乗ることにした。
「そうなんですの。ですから、王太子殿下に気にかけてもらえる立場にありませんわ」
すると、マリーは上機嫌で答える。
「あら、そんなこと仰らないで? 私怒っている訳ではありませんのよ? 貴女も楽しんで?」
マリーが男爵令嬢でありながら、侯爵令嬢であるジョゼフィーヌに礼儀知らずなものの言い方をすることにも腹が立ったが、それを今咎めてしまえば後でなにを言われるかわからないと思ったジョゼフィーヌは、グッとこらえた。
そして、これを口実にして今日は帰ることにした。
「オドラン男爵令嬢ありがとうございます。でも、なんだか不快にさせてしまったようですから、私は失礼しますわね」
そう言って微笑んでそのまま会場をあとにした。争いは避けるに限る。
次の日、朝起きるとエントランスがやけに騒がしかった。何事かと降りて行くと、プレゼントが次々に運び込まれていた。
驚いてその場にいたメイドに話しかける。
「これはどなたから?」
「お嬢様、大変です! 王太子殿下からプレゼントがこんなに!!」
「これ、王太子殿下からですの?!」
なぜ突然プレゼントを?!
しばらく考えて婚約者候補全員に贈り物をしているのだと思い至る。
ジョゼフィーヌはとりあえず失礼のないようお礼状を書くために、プレゼントに添えてある手紙に目を通す。
そこには『愛するジョゼフィーヌへ、心を込めて』と、歯の浮くような内容と共に明後日、散歩に行こうとお誘いが書かれていた。
名前と日付を変えて一体何人の令嬢たちにこの内容の手紙を書いたのだろう? 大変だったに違いない。
そんなことを思いながら、プレゼントの内容を確認する。その中にはドレスも含まれていたので、散歩にはこれを着てこいということなのだろう。
プレゼントのドレスの中から、散歩の時に身につける一式を選ぶと明後日はこれを着ることをサニアに伝えた。
散歩の当日、待ち合わせ時間より早く屋敷に来たサミュエルを見て、失礼のないように早めに準備していて良かったと胸を撫で下ろす。
サミュエルはジョゼフィーヌに気づくと、優しく微笑んで言った。
「待っていた」
「お待たせいたしました」
そう答えて差し出された手をとると、王太子殿下はじっとジョゼフィーヌを見つめて言った。
「そのドレス、やはり思った通り君に似合っている。君はとても愛らしい」
社交辞令がうまいと思いながら微笑む。
「ありがとうございます。私もとても気に入ってますの」
278
あなたにおすすめの小説
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
僕の婚約者は今日も麗しい
蒼あかり
恋愛
公爵家嫡男のクラウスは王命により、隣国の王女と婚約を結ぶことになった。王家の血を引く者として、政略結婚も厭わないと覚悟を決めていたのに、それなのに。まさか相手が子供だとは......。
婚約相手の王女ローザもまた、国の安定のためにその身を使う事を使命としていたが、早い婚約に戸惑っていた。
そんなふたりが色々あって、少しづつ関係を深めていく。そんなお話。
変わり者の作者が、頑張ってハッピーエンドを目指します。
たぶん。きっと。幸せにしたい、です。
※予想外に多くの皆様に読んでいただき、驚いております。
心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
ご覧いただいた皆様に幸せの光が降り注ぎますように。
ありがとうございました。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
侯爵令嬢はざまぁ展開より溺愛ルートを選びたい
花月
恋愛
内気なソフィア=ドレスデン侯爵令嬢の婚約者は美貌のナイジェル=エヴァンス公爵閣下だったが、王宮の中庭で美しいセリーヌ嬢を抱きしめているところに遭遇してしまう。
ナイジェル様から婚約破棄を告げられた瞬間、大聖堂の鐘の音と共に身体に異変が――。
あら?目の前にいるのはわたし…?「お前は誰だ!?」叫んだわたしの姿の中身は一体…?
ま、まさかのナイジェル様?何故こんな展開になってしまったの??
そして婚約破棄はどうなるの???
ほんの数時間の魔法――一夜だけの入れ替わりに色々詰め込んだ、ちぐはぐラブコメ。
【完結】お荷物王女は婚約解消を願う
miniko
恋愛
王家の瞳と呼ばれる色を持たずに生まれて来た王女アンジェリーナは、一部の貴族から『お荷物王女』と蔑まれる存在だった。
それがエスカレートするのを危惧した国王は、アンジェリーナの後ろ楯を強くする為、彼女の従兄弟でもある筆頭公爵家次男との婚約を整える。
アンジェリーナは八歳年上の優しい婚約者が大好きだった。
今は妹扱いでも、自分が大人になれば年の差も気にならなくなり、少しづつ愛情が育つ事もあるだろうと思っていた。
だが、彼女はある日聞いてしまう。
「お役御免になる迄は、しっかりアンジーを守る」と言う彼の宣言を。
───そうか、彼は私を守る為に、一時的に婚約者になってくれただけなのね。
それなら出来るだけ早く、彼を解放してあげなくちゃ・・・・・・。
そして二人は盛大にすれ違って行くのだった。
※設定ユルユルですが、笑って許してくださると嬉しいです。
※感想欄、ネタバレ配慮しておりません。ご了承ください。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです
珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。
でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。
加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる