28 / 48
28
しおりを挟む
「もちろんでございます。翡翠様が私たちに、いつもお心を砕いてくれていることは承知しております。ですから、私たちはいつも翡翠様になにか恩返しができればと思っておりました。ここは翡翠様のためだけの晩餐会の場でございます。気兼ねなくごゆるりとお過ごしください」
驚いてファニーを見上げると、ファニーは満面の笑みを向けた。
「エンジェルってさぁ、みんなにはできないような……。う~ん、なんていうの? 気遣い? 人の心を読む? ようなことができる人だよねぇ。それってぇ、とぉってもすごいことなんだよ? いつも感心するもん! それでみんながさぁ~、感謝の気持ちを伝えたいって思うのはぁ、当然じゃない?」
ファニーのその発言に、周囲の使用人たちは大きくうなずく。それを見て翡翠は頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
自分には、こんなにも優しい目を向けてくれる人たちがいる。翡翠はそれが嬉しくて、思わず大粒の涙をこぼした。
そんな翡翠をみんなが取り囲む。
「最近は特に元気がなくていらっしゃるので、とても心配していました」
「元気を出してくださいね? なにがあっても私どもは翡翠様の味方です」
「あまり接点のない私たち一人一人の名前まで覚えてくださっていて私は感激しました」
そう口々に翡翠を励ます言葉をかけられ、翡翠は感激し心から感謝した。
「本当にありがとうございます。私から一つみなさんにお願いがあるのですが、よいでしょうか?」
翡翠がそう言うと、みんな黙って翡翠を見つめた。
「今日は一緒にこの場を楽しんでいただけないでしょうか?」
するとみんな翡翠に笑顔を返した。
「もちろんです!」
そう言ってみんな楽しそうに翡翠を取り囲み、様々な話をしてくれた。
屋敷の者は自慢の美術品を見せてくれたり、希少なオートマタを見せ説明してくれる者もいて楽しい時間を過ごした。
「翡翠! ここにいたのか」
そのとき突然部屋の入口からそう声がかかり、翡翠は驚いてそちらを見るとそこにカーレルが立っていた。
その姿を見て、今度こそ怒られると思った翡翠は慌てて頭を下げた。
「すみませんでした。私が我が儘を言って勝手にここの準備をさせました」
そこでファニーが翡翠を庇うように言った。
「違うよ翡翠! ここにいるみんなはさぁ、翡翠にそんなことを言わせるためにこんなことをしたわけじゃないんだよ? ってかさぁ、エンジェルを放っておくほうが悪いんじゃん? エンジェルは悪くないんだからさぁ、頭さげる必要ないじゃん。それに勝手に準備したのは僕だしぃ、連れ出したのも僕!」
それを聞いてカーレルは無言で翡翠の前に出ると跪いた。
「翡翠、すまなかった。君をないがしろにするつもりはない」
翡翠は驚いて、カーレルに立つよう促す。
「殿下、止めてください。悪いのは私です。そんな、跪くなんてとんでもないことです。とにかく立ってください」
するとカーレルは立ち上がり、翡翠の手を取ると自分の方へ引き寄せその胸に抱いた。
「私は君を傷つけてばかりだ。こんなつもりじゃないんだ、君を大切にしたいだけなのに。すまない。本当にすまない。私は君を大切に思っている」
翡翠はその台詞に涙があふれ、思わず、素直にカーレルの胸に顔をうずめようとした。が、その気持ちを既所でグッと抑える。
カーレルの胸にあのペンダントがあったからだ。
勘違いしてはダメ、カーレル殿下の心にはミリナがいる。
翡翠は自分にそう言い聞かせなんとか涙をこらえると、カーレルに笑顔を向けた。
「殿下は本当に心配性なのですね、私は大丈夫ですよ?」
そう言ってカーレルに微笑むと話を続ける。
「それにこうして自分の好き放題させてもらっていますし、これ以上なにか言えばそれは我が儘になってしまいます」
そして、カーレルから体を離した。カーレルは翡翠の顔を覗き込むと頬を指で拭った。
「だが、泣いた跡が残っている」
「違います、これはみなさんが優しくて、それが嬉しかったからです。とても感動しました」
カーレルはそう言う翡翠の顔をじっと見つめた。
「君はいつも……」
「いつも? なんでしょうか?」
「いや、なんでもない」
そう返すと、カーレルは周囲を見渡して言った。
「私もこの場に混ぜてもらえないだろうか?」
使用人たちは困惑気味にお互いの顔を見合わせると微笑みうなずく。
「殿下、もちろんでございます」
「ありがとう」
使用人たちにお礼を言うと、カーレルは翡翠の腰を引き寄せ熱っぽく見つめる。
「翡翠、もう一人にはしない」
翡翠はカーレルのこの言葉に意味などないとわかっていても、思わずドキリとして目を逸らした。
「わかりました。私も気をつけます」
そう言って周囲を見ると、ファニーやエミリアたちに温かい眼差しを向けられていることに気づき、恥ずかしくなりうつむいた。
「旦那様!」
エミリアのその声に振り向くと、そこにはラファエロとニクラスが立っていた。
「翡翠、一人にして申し訳ありませんでした。私も混ぜてもらえませんか?」
「翡翠、遅くなって悪かった。そばを離れてすまない」
「お二人とも謝らないでください。ファニーやエミリアたちがいてくれたので、私は大丈夫です」
そう答えると、ニクラスとラファエロは申し訳無さそうに部屋に入ってきた。
だが、翡翠は他の参加者を放っておいてよいのだろうかと心配になり、ニクラスに訊いた。
「あの、晩餐会にはブック首相とカーレル殿下がいらっしゃらなくて大丈夫なのですか?」
するとニクラスは微笑む。
「大丈夫です。後のことはスローンにまかせてありますから」
そう答え、大きく手を叩いた。するとそれを合図に楽団が入ってきた。
「今日は立場は関係なく、みな大いに楽しんでくれ!」
そのニクラスの言葉を合図に楽団が即興で陽気な音楽を奏で始めると、みんな音楽に合わせてダンスを踊り始めた。
その後、カーレルたちが翡翠から離れることはなく、カーレルにいたっては気がつくとずっと翡翠を見つめ続け、翡翠はどう対応したらよいか困ってしまうほどだった。
「翡翠、私と踊らないか?」
カーレルに誘われ翡翠はびっくりして顔を見上げた。なぜなら、カーレルはどんなときも絶対に誰かと踊ることはなかったからだ。
「私と、ですか?」
「そうだ。私は君と踊りたい」
ジェイドだったころ、一度だけでもカーレルと踊るれることがあるかもしれない。そんな期待を持ってダンスの練習を重ねたことがあった。
驚いてファニーを見上げると、ファニーは満面の笑みを向けた。
「エンジェルってさぁ、みんなにはできないような……。う~ん、なんていうの? 気遣い? 人の心を読む? ようなことができる人だよねぇ。それってぇ、とぉってもすごいことなんだよ? いつも感心するもん! それでみんながさぁ~、感謝の気持ちを伝えたいって思うのはぁ、当然じゃない?」
ファニーのその発言に、周囲の使用人たちは大きくうなずく。それを見て翡翠は頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
自分には、こんなにも優しい目を向けてくれる人たちがいる。翡翠はそれが嬉しくて、思わず大粒の涙をこぼした。
そんな翡翠をみんなが取り囲む。
「最近は特に元気がなくていらっしゃるので、とても心配していました」
「元気を出してくださいね? なにがあっても私どもは翡翠様の味方です」
「あまり接点のない私たち一人一人の名前まで覚えてくださっていて私は感激しました」
そう口々に翡翠を励ます言葉をかけられ、翡翠は感激し心から感謝した。
「本当にありがとうございます。私から一つみなさんにお願いがあるのですが、よいでしょうか?」
翡翠がそう言うと、みんな黙って翡翠を見つめた。
「今日は一緒にこの場を楽しんでいただけないでしょうか?」
するとみんな翡翠に笑顔を返した。
「もちろんです!」
そう言ってみんな楽しそうに翡翠を取り囲み、様々な話をしてくれた。
屋敷の者は自慢の美術品を見せてくれたり、希少なオートマタを見せ説明してくれる者もいて楽しい時間を過ごした。
「翡翠! ここにいたのか」
そのとき突然部屋の入口からそう声がかかり、翡翠は驚いてそちらを見るとそこにカーレルが立っていた。
その姿を見て、今度こそ怒られると思った翡翠は慌てて頭を下げた。
「すみませんでした。私が我が儘を言って勝手にここの準備をさせました」
そこでファニーが翡翠を庇うように言った。
「違うよ翡翠! ここにいるみんなはさぁ、翡翠にそんなことを言わせるためにこんなことをしたわけじゃないんだよ? ってかさぁ、エンジェルを放っておくほうが悪いんじゃん? エンジェルは悪くないんだからさぁ、頭さげる必要ないじゃん。それに勝手に準備したのは僕だしぃ、連れ出したのも僕!」
それを聞いてカーレルは無言で翡翠の前に出ると跪いた。
「翡翠、すまなかった。君をないがしろにするつもりはない」
翡翠は驚いて、カーレルに立つよう促す。
「殿下、止めてください。悪いのは私です。そんな、跪くなんてとんでもないことです。とにかく立ってください」
するとカーレルは立ち上がり、翡翠の手を取ると自分の方へ引き寄せその胸に抱いた。
「私は君を傷つけてばかりだ。こんなつもりじゃないんだ、君を大切にしたいだけなのに。すまない。本当にすまない。私は君を大切に思っている」
翡翠はその台詞に涙があふれ、思わず、素直にカーレルの胸に顔をうずめようとした。が、その気持ちを既所でグッと抑える。
カーレルの胸にあのペンダントがあったからだ。
勘違いしてはダメ、カーレル殿下の心にはミリナがいる。
翡翠は自分にそう言い聞かせなんとか涙をこらえると、カーレルに笑顔を向けた。
「殿下は本当に心配性なのですね、私は大丈夫ですよ?」
そう言ってカーレルに微笑むと話を続ける。
「それにこうして自分の好き放題させてもらっていますし、これ以上なにか言えばそれは我が儘になってしまいます」
そして、カーレルから体を離した。カーレルは翡翠の顔を覗き込むと頬を指で拭った。
「だが、泣いた跡が残っている」
「違います、これはみなさんが優しくて、それが嬉しかったからです。とても感動しました」
カーレルはそう言う翡翠の顔をじっと見つめた。
「君はいつも……」
「いつも? なんでしょうか?」
「いや、なんでもない」
そう返すと、カーレルは周囲を見渡して言った。
「私もこの場に混ぜてもらえないだろうか?」
使用人たちは困惑気味にお互いの顔を見合わせると微笑みうなずく。
「殿下、もちろんでございます」
「ありがとう」
使用人たちにお礼を言うと、カーレルは翡翠の腰を引き寄せ熱っぽく見つめる。
「翡翠、もう一人にはしない」
翡翠はカーレルのこの言葉に意味などないとわかっていても、思わずドキリとして目を逸らした。
「わかりました。私も気をつけます」
そう言って周囲を見ると、ファニーやエミリアたちに温かい眼差しを向けられていることに気づき、恥ずかしくなりうつむいた。
「旦那様!」
エミリアのその声に振り向くと、そこにはラファエロとニクラスが立っていた。
「翡翠、一人にして申し訳ありませんでした。私も混ぜてもらえませんか?」
「翡翠、遅くなって悪かった。そばを離れてすまない」
「お二人とも謝らないでください。ファニーやエミリアたちがいてくれたので、私は大丈夫です」
そう答えると、ニクラスとラファエロは申し訳無さそうに部屋に入ってきた。
だが、翡翠は他の参加者を放っておいてよいのだろうかと心配になり、ニクラスに訊いた。
「あの、晩餐会にはブック首相とカーレル殿下がいらっしゃらなくて大丈夫なのですか?」
するとニクラスは微笑む。
「大丈夫です。後のことはスローンにまかせてありますから」
そう答え、大きく手を叩いた。するとそれを合図に楽団が入ってきた。
「今日は立場は関係なく、みな大いに楽しんでくれ!」
そのニクラスの言葉を合図に楽団が即興で陽気な音楽を奏で始めると、みんな音楽に合わせてダンスを踊り始めた。
その後、カーレルたちが翡翠から離れることはなく、カーレルにいたっては気がつくとずっと翡翠を見つめ続け、翡翠はどう対応したらよいか困ってしまうほどだった。
「翡翠、私と踊らないか?」
カーレルに誘われ翡翠はびっくりして顔を見上げた。なぜなら、カーレルはどんなときも絶対に誰かと踊ることはなかったからだ。
「私と、ですか?」
「そうだ。私は君と踊りたい」
ジェイドだったころ、一度だけでもカーレルと踊るれることがあるかもしれない。そんな期待を持ってダンスの練習を重ねたことがあった。
54
あなたにおすすめの小説
【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!
風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」
第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。
夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!
彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります!
/「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。
基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。
「結婚しよう」
まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。
一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。
【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします
稲垣桜
恋愛
エリザベス・ファロンは黎明の羅針盤(アウローラコンパス)と呼ばれる伝説のパーティの一員だった。
メンバーはすべてS級以上の実力者で、もちろんエリザベスもSS級。災害級の事案に対応できる数少ないパーティだったが、結成してわずか2年足らずでその活動は休眠となり「解散したのでは?」と人は色々な噂をしたが、今では国内散り散りでそれぞれ自由に行動しているらしい。
エリザベスは名前をリサ・ファローと名乗り、姿も変え一般冒険者として田舎の町ガレーヌで暮らしている。
その町のギルマスのグレンはリサの正体を知る数少ない人物で、その彼からラリー・ブレイクと名乗る人物からの依頼を受けるように告げられる。
それは彼女の人生を大きく変えるものだとは知らずに。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義なところもあります。
※えっ?というところは軽くスルーしていただけると嬉しいです。
拾った指輪で公爵様の妻になりました
奏多
恋愛
結婚の宣誓を行う直前、落ちていた指輪を拾ったエミリア。
とっさに取り替えたのは、家族ごと自分をも売り飛ばそうと計画している高利貸しとの結婚を回避できるからだ。
この指輪の本当の持ち主との結婚相手は怒るのではと思ったが、最悪殺されてもいいと思ったのに、予想外に受け入れてくれたけれど……?
「この試験を通過できれば、君との結婚を継続する。そうでなければ、死んだものとして他国へ行ってもらおうか」
公爵閣下の19回目の結婚相手になったエミリアのお話です。
婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のオニキスは大好きな婚約者、ブラインから冷遇されている事を気にして、婚約破棄を決意する。
意気揚々と父親に婚約破棄をお願いするが、あっさり断られるオニキス。それなら本人に、そう思いブラインに婚約破棄の話をするが
「婚約破棄は絶対にしない!」
と怒られてしまった。自分とは目も合わせない、口もろくにきかない、触れもないのに、どうして婚約破棄を承諾してもらえないのか、オニキスは理解に苦しむ。
さらに父親からも叱責され、一度は婚約破棄を諦めたオニキスだったが、前世の記憶を持つと言う伯爵令嬢、クロエに
「あなたは悪役令嬢で、私とブライン様は愛し合っている。いずれ私たちは結婚するのよ」
と聞かされる。やはり自分は愛されていなかったと確信したオニキスは、クロエに頼んでブラインとの穏便な婚約破棄の協力を依頼した。
クロエも悪役令嬢らしくないオニキスにイライラしており、自分に協力するなら、婚約破棄出来る様に協力すると約束する。
強力?な助っ人、クロエの協力を得たオニキスは、クロエの指示のもと、悪役令嬢を目指しつつ婚約破棄を目論むのだった。
一方ブラインは、ある体質のせいで大好きなオニキスに触れる事も顔を見る事も出来ずに悩んでいた。そうとは知らず婚約破棄を目指すオニキスに、ブラインは…
婚約破棄をしたい悪役令嬢?オニキスと、美しい見た目とは裏腹にド変態な王太子ブラインとのラブコメディーです。
数多の令嬢を弄んだ公爵令息が夫となりましたが、溺愛することにいたしました
鈴元 香奈
恋愛
伯爵家の一人娘エルナは第三王子の婚約者だったが、王子の病気療養を理由に婚約解消となった。そして、次の婚約者に選ばれたのは公爵家長男のリクハルド。何人もの女性を誑かせ弄び、ぼろ布のように捨てた女性の一人に背中を刺され殺されそうになった。そんな醜聞にまみれた男だった。
エルナが最も軽蔑する男。それでも、夫となったリクハルドを妻として支えていく決意をしたエルナだったが。
小説家になろうさんにも投稿しています。
逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした
ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。
なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。
ザル設定のご都合主義です。
最初はほぼ状況説明的文章です・・・
冷酷な旦那様が記憶喪失になったら溺愛モードに入りましたが、愛される覚えはありません!
香月文香
恋愛
家族から虐げられていた男爵令嬢のリゼル・マギナは、ある事情によりグレン・コーネスト伯爵のもとへと嫁入りすることになる。
しかし初夜当日、グレンから『お前を愛することはない』と宣言され、リゼルは放置されることに。
愛はないものの穏やかに過ごしていたある日、グレンは事故によって記憶を失ってしまう。
すると冷たかったはずのグレンはリゼルを溺愛し始めて――!?
けれどもリゼルは知っている。自分が愛されるのは、ただ彼が記憶を失っているからだと。
記憶が戻れば、リゼルが愛されることなどないのだと。
(――それでも、私は)
これは、失われた記憶を取り戻すまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる