追い出されたら、何かと上手くいきまして

雪塚 ゆず

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ユニコーン編

第百十ニ話 敵襲あり?

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ユニコーン信仰の村。
何だか物騒な気配を感じて、アレク達は顔を見合わせた。

「村……行っておく?」
「いやでもよ、ちょっと怖いじゃんか」
「何か手がかりがあるかも」
「村の人達がどう思うか」

四人でわちゃわちゃと話していれば、先陣を切ってアリスが歩き出す。

「アリス!?」
「早く行こう。何かあったらその時」

たくましい考えである。
それもそうだと納得し、アレク達は村に足を踏み入れた。

「え……」

そして、その村の有り様に絶句する。
まるで何かに襲われた後だ。
全てを踏み荒らされたような状況に、アレク達は息を呑んだ。

「誰だよ!」

横から少年の声がした。
こちらを警戒しているようで、槍のようなものを突きつけている。

「あいつの仲間か!? もう村には何も残っちゃいない! いい加減にしろ!」
「ちっ、ちが、僕らは」
「この村から出てけーっ!」

そして槍を持って突進してくるものだから、アレクはほとほと困ってしまった。
怪我をさせずに抑え込めるか、と考えた瞬間、アリスが思い切り少年に向かって蹴りを食らわせた。

「ぐえっ」
「あ、アリスーーーーっ!?」

倒れ込む少年に、村人達が集まってくる。
皆訝しげにこちらを観察しているようであった。

「侵入者か!?」
「もうやめて……私達を傷つけないで!」
「っ」

被害者から放たれる独特の圧に、シオンが怯んで一歩後ろへと下がる。
アレクが慌てて弁明をした。

「違います! 僕達は、サファを……ユニコーンを助けに来ただけなんです!」

その言葉に、村人達に動揺が走った。

「ユニコーン様がいるのか……?」
「さっきの奴と関係があるのか」

その時、先程の少年が前に出て叫んだ。

「お前達が本当にさっきの奴の仲間じゃないなら、証明してくれよ!」
「証明って」
「早く!」

疑心に煽られ、アレクは眉を八の字に下げる。
ユリーカが懐から学生証を取り出し、村人達に突きつけた。

「これは私の学生証です。私達は、英雄学園に通っている生徒です」
「英雄学園だと?」
「何か不備があれば、必ず学園側に伝わります。今はどうか、私達を信じてください」

ユリーカの真摯な物言いに、心が動かされたらしい。
少年は構えていた槍を下げ、顰めっ面のまま状況を説明する。

「さっき……よくわからない女がここに来て、村を荒らしていった。そいつは今、ユニコーン様が祀られてる洞穴にいる」
「洞穴って」
「サファの封印されてるとこじゃ」

ここに来て、こんな繋がりが湧いて出るとは思いもしなかった。
少年は続ける。

「俺達は、ユニコーン様に助けられた過去があるんだ。それからユニコーン様を祀ってる。そんな神聖な場所を、外敵に荒らされるわけにはいかねぇ……」

「ただ……」と少年は言い淀んで、後ろを見る。
その視線は、一つの建物にあった。

「あそこに負傷者が寝てる。村のみんなを置いて行くわけにはいかない」
「あ、あの!」

そこでシオンが顔を出した。

「私達に、治させてくれませんか……!? 治癒魔法が使えるんです!」
「! 本当か! 頼む……みんなを助けてくれ!」

こういった村では、魔法を使える者が少ない。
治癒魔法使いがいないのも、珍しくはなかった。
建物に案内され、怪我人の数に瞠目する。

「これは……」
「っ」

シオンが前に出て、真っ先に治療を始める。
アレクもそれに続いて、怪我人を治していった。

「こんなにやられたって、その襲ってきた女って何者なんだよ」

ライアンが少年に尋ねれば、少年は握った拳を震わせながら答えた。

「ツノが生えてたんだ……ヤギみたいな。それと、蝙蝠みたいな翼!」
「それって」
「悪魔……」

アリスが厳しげな表情をして、少年の横で唇を噛み締めた。







「なにかいらっしゃいましたわね、どれどれ」

女は指で輪を作り、自身の目元へとそれを当てる。
輪の中には、村の様子が映し出された。

「ふむふむ~、人の子が三人……まあ人の子にしては優秀? それと……!」

思わず女は前のめりになり、ケラケラと笑い声を上げる。

「まあっ、姫さま! なぜこのようなところに! それに……天使!?」

ブワッと女の足元から風が巻き起こり、女の服をバタバタと揺らす。
どうやら興奮しているようだった。

「悪魔と天使が行動……それに、協力しているなんて! とても興味深いですわ! 決めましてよ……最大限、おもてなしして差し上げますわ!」

「これもあることですし」と口にして、女は手の中で球体を転がす。
その球体は、光を受けて淡く黄色に光った。

「ユニコーンの封印物……このアイテムは、どういった効果をもたらすのでしょう」

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