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朝目が覚めれば旦那様はもういなかった。侍女に手伝われて身支度をする。よし、今日から旦那様にひっつこう。そう約束したんだし。
朝食を食べて旦那様の執務室に向かった。
「アディ、どうかしたのか?」
「旦那様、約束したでしょう? 私はあなたのお側にいると」
「体は平気なのか?」
「はい」
ソファに腰掛けて持って来た本を開いた。これで時間を潰すのだ。
「古典か。それは原文だろう。読めるのか」
旦那様が感心したように言うのが少しおかしかった。
「旦那様が家庭教師を用意してくださったではありませんか」
そう、前世では古典なんてちんぷんかんぷんだったが今は旦那様のおかげで読めるのである。教養をありがとう旦那様。
「優秀だとは聞いていたがそこまでとは想像もしていなかった」
「賢しい女はお好みではありませんか」
私は旦那様の理想の紫の上になると気合を入れて勉学に勤しんだがもしや好みではない? という可能性に気付いてしまった。
「そんなことはない。それは君が努力をした証なのだから」
旦那様は優しく微笑んでそう言ってくれたから私も笑みを返した。
昼食を一緒に食べて午後からはレースを編んだ。レース編みは完全に下手の横好きだ。刺繍は上手なのになぜかレースは綺麗に編めない。たぶん上手にできないから何度も挑戦しているんだと思う。
夕飯も一緒に食べて夜はなにもせず一緒に眠った。嘘、額にキスしてくれた。愛せないと言われた割には愛されてる気がする。
そんな感じで三ヶ月暮らして、近くに旦那様がいるのが当たり前になった頃、お茶会の誘いが届いた。学園時代の知人からだった。さほど親しくないのだがなぜ? と思い断った。だって旦那様のいない外出なんて不貞のチャンスではないか。そういう機会は全力で潰したい。と思っていたのだが今度は親しかった友人から誘いが来た。正直行きたい。というわけで旦那様に相談した。旦那様は行って来ればいいと言ってくれた。
「アデライン!」
「アンジェラ!」
礼儀作法なんてどこかに投げ捨てて私たちは再会を喜んだ。伯爵令嬢だった彼女は今子爵夫人である。無事恋人と一緒になれたそうだ。よかった。
「アデライン、あなた親子ほど歳の離れた人に嫁いだらしいじゃないの。どうして相談してくれなかったの?」
「私が旦那様と一緒になることは学園に入る前から決まっていたから。それに私今幸せよ? 旦那様はとてもお優しいの」
にっこり笑ってそう言えばアンジェラはホッとしたようだった。
「それならいいんだけど。でもあのソールズベリー伯爵でしょ? 正直心配だわ」
「ああ、アンジェラも知ってるのね。ソールズベリー伯爵は妻は若ければ若いほどいいと思ってるってやつ」
「そんな人と友人が一緒になったのよ。心配するわよ」
「……実は、旦那様に学費の援助を頼んだことがあるの。旦那様は了承してくれたわ。噂通りの人ならすぐに嫁いで来いっていうはずでしょう? だから大丈夫よ」
「なら、大丈夫なのかしら」
アンジェラはいまいち納得していないようだった。そんなわけで私はアンジェラに旦那様がどれだけお優しく素晴らしい人かを語ることにした。困窮した我が家に神様が現れたところからなに不自由ない生活と教養を与えてくれたところまで話した。そこでストップが入った。待って、まだお嫁に行く前の話よ。
「アデラインが旦那様に夢中ってことは分かったわ。もしも歳を取って捨てられたらうちで雇ってあげるから真っ先に連絡してね」
「もしもの時はよろしく頼むわ。ああ、でもアンジェラも旦那様と別れたくなったら相談して。その時は私が雇うから」
「くすくす、そんな日は来ないわ」
「くすくす、そうね」
笑いながら私たちは別れた。
「ただいま戻りました」
「お帰り、アディ。楽しかったか?」
「はい、久々に親しい友人と会いましたから」
そう言って微笑んだ私を眩しいものでも見るような目で旦那様は見ていた。
「……時々なら、自由に外出してもらってかまわない」
「ありがとうございます旦那様」
そうは言っても旦那様のいない外出は不貞のチャンスである。私としては全力でそのような機会は潰したいのでほとんど外出することはなかった。
朝食を食べて旦那様の執務室に向かった。
「アディ、どうかしたのか?」
「旦那様、約束したでしょう? 私はあなたのお側にいると」
「体は平気なのか?」
「はい」
ソファに腰掛けて持って来た本を開いた。これで時間を潰すのだ。
「古典か。それは原文だろう。読めるのか」
旦那様が感心したように言うのが少しおかしかった。
「旦那様が家庭教師を用意してくださったではありませんか」
そう、前世では古典なんてちんぷんかんぷんだったが今は旦那様のおかげで読めるのである。教養をありがとう旦那様。
「優秀だとは聞いていたがそこまでとは想像もしていなかった」
「賢しい女はお好みではありませんか」
私は旦那様の理想の紫の上になると気合を入れて勉学に勤しんだがもしや好みではない? という可能性に気付いてしまった。
「そんなことはない。それは君が努力をした証なのだから」
旦那様は優しく微笑んでそう言ってくれたから私も笑みを返した。
昼食を一緒に食べて午後からはレースを編んだ。レース編みは完全に下手の横好きだ。刺繍は上手なのになぜかレースは綺麗に編めない。たぶん上手にできないから何度も挑戦しているんだと思う。
夕飯も一緒に食べて夜はなにもせず一緒に眠った。嘘、額にキスしてくれた。愛せないと言われた割には愛されてる気がする。
そんな感じで三ヶ月暮らして、近くに旦那様がいるのが当たり前になった頃、お茶会の誘いが届いた。学園時代の知人からだった。さほど親しくないのだがなぜ? と思い断った。だって旦那様のいない外出なんて不貞のチャンスではないか。そういう機会は全力で潰したい。と思っていたのだが今度は親しかった友人から誘いが来た。正直行きたい。というわけで旦那様に相談した。旦那様は行って来ればいいと言ってくれた。
「アデライン!」
「アンジェラ!」
礼儀作法なんてどこかに投げ捨てて私たちは再会を喜んだ。伯爵令嬢だった彼女は今子爵夫人である。無事恋人と一緒になれたそうだ。よかった。
「アデライン、あなた親子ほど歳の離れた人に嫁いだらしいじゃないの。どうして相談してくれなかったの?」
「私が旦那様と一緒になることは学園に入る前から決まっていたから。それに私今幸せよ? 旦那様はとてもお優しいの」
にっこり笑ってそう言えばアンジェラはホッとしたようだった。
「それならいいんだけど。でもあのソールズベリー伯爵でしょ? 正直心配だわ」
「ああ、アンジェラも知ってるのね。ソールズベリー伯爵は妻は若ければ若いほどいいと思ってるってやつ」
「そんな人と友人が一緒になったのよ。心配するわよ」
「……実は、旦那様に学費の援助を頼んだことがあるの。旦那様は了承してくれたわ。噂通りの人ならすぐに嫁いで来いっていうはずでしょう? だから大丈夫よ」
「なら、大丈夫なのかしら」
アンジェラはいまいち納得していないようだった。そんなわけで私はアンジェラに旦那様がどれだけお優しく素晴らしい人かを語ることにした。困窮した我が家に神様が現れたところからなに不自由ない生活と教養を与えてくれたところまで話した。そこでストップが入った。待って、まだお嫁に行く前の話よ。
「アデラインが旦那様に夢中ってことは分かったわ。もしも歳を取って捨てられたらうちで雇ってあげるから真っ先に連絡してね」
「もしもの時はよろしく頼むわ。ああ、でもアンジェラも旦那様と別れたくなったら相談して。その時は私が雇うから」
「くすくす、そんな日は来ないわ」
「くすくす、そうね」
笑いながら私たちは別れた。
「ただいま戻りました」
「お帰り、アディ。楽しかったか?」
「はい、久々に親しい友人と会いましたから」
そう言って微笑んだ私を眩しいものでも見るような目で旦那様は見ていた。
「……時々なら、自由に外出してもらってかまわない」
「ありがとうございます旦那様」
そうは言っても旦那様のいない外出は不貞のチャンスである。私としては全力でそのような機会は潰したいのでほとんど外出することはなかった。
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