光のもとで1

葉野りるは

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Side View Story 05

01 Side 司 02話

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 簾条が持ってきた案はかなり具体的なプランだった。
 さらには、すでに各方面への打診済みのものが多く目に付く。
 それだけではなく、先ほど茜先輩が言い出した生徒会就任式までもがしっかりと組み込まれていた。つまり、口にはしていなかったが最初からそのつもりで提案したのだろう。



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●御園生翠葉誕生パーティー●
(姫と王子のお披露目会兼生徒会就任式)

 ・第一条件……一年B組は全員参加
 ・第二条件……翠葉に気づかれないように行動すること

 ・場所……桜香苑手前の芝生広場(雨天時は桜林館に変更)

 ・時間……四時開始(準備期間は午後の三時間)
        大会前以外の部には協力を得られる予定

 ・登場の仕方……テラスのセンター階段より広場へ
            会場では立食パーティー

    料理 → 調理部に打診済み
    テーブルクロス → 手芸部洋裁部門に打診済み

 ・仮説ステージにて姫によるリサイタル(翠葉:ピアノ 茜先輩:声楽)
  (※ 姫の共演があるとなお良し)

 ・一年B組からプレゼント贈呈

 ・立食パーティー再開

<必要になるもの>

 ・テラスのテーブルを芝生広場へ移動(運動部に協力要請)
 ・仮説ステージとピアノ
  (ステージの台は第一倉庫にて確認済み。ピアノを運ぶ業者調律師を手配)
 ・調理部と手芸部へ材料費の補助金
 ・衣装の用意(個人、または演劇部からの貸し出し)
 ・BGMには吹奏楽部の演奏(打診済み。当日パイプ椅子を会場にセッティング)

<動いてもらう委員会/部>

 ・写真部(写真部以外の撮影は不可とする)
 ・広報委員、クラス委員(姫たちが歩く道の人員規制兼撮影規制)
 ・放送委員(主には司会進行、実況中継混み→打診済み)

 関係者には腕章を配布予定。


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「いいんじゃないかしら?」
 茜先輩の言葉に朝陽が相槌を打ちながら、
「内容は悪くないね。けど、いきなり翠葉ちゃんにピアノ演奏振って大丈夫なの?」
「先日彼女の家に行ったとき、本棚の楽譜を拝見してきました。ショパンのエチュードを弾ける相当の腕は持っていますよ。それに、翠葉は即興演奏くらい難なくできるはずです」
 簾条は明確に言い切ったが、周りは少し不安そうな顔をしていた。
「……翠のピアノの腕は俺が保証する。実際に演奏を聞いたことはない。でも、即興演奏もできるしオリジナル曲も持ってる。これは兄の御園生さん情報だから間違いなし」
 そこまで口にしてはっとした。
「この案にひとつ補足提案なんだけど、外で使うピアノにベーゼンドルファーを使いたい」
「どうして?」
 茜先輩に尋ねられ、
「翠はそのピアノを弾くことが憧れらしいから。たぶん、そのピアノを前にすれば断わりはしないと思う」
 これも御園生さん情報だった。
「ベーゼンドルファーか……。そしたら蓮井はすい先生の許可が必要になるわね。わかったわ、ピアノの件は私に任せて」
 茜先輩はそう言うと、簾条が持ってきたプリントに自分が担当する旨を書き記した。
「ね、ドレスなら私が用意しようか? 私の家、結婚式の貸衣装店なの」
 と、嵐が口を挟む。
「わっ! 嵐子先輩助かりますっ」
 すると、すぐにそこにも嵐担当と書き込まれる。
「運動部はこの時期だと――あぁ、陸部だけは翌日大会があるな。それ以外は協力得られるんじゃない? 吹奏楽部のパイプ椅子はバスケ部やバレー部あたりに打診してみるわ。外会場のテーブルはその他の運動部を駆使すればなんとかなるだろ。そっちは俺が」
 と、優太。
「問題はさ、調理部と手芸部にかかる費用とウェイトだよね。手芸部は出来上がっている作品を使うことが可能でも、調理部は当日しか使えない。だとしたら、会場入りできる人間をセーブする必要がある。あとの人間は会場外からの観覧っていうのが妥当だとは思うんだけど……。そしたら遠くから見る人間には双眼鏡くらい貸し出ししたいところ。写真部と双眼鏡に関しては俺が動く」
 と、会長が言い切った。
「なるほどね……。調理部は確か三十人くらいだったわよね? そうすると、一〇〇人くらいが限度かしら?」
 茜先輩が電卓をはじきだした。ここまで話が詰まってしまえば自分も話し合いに参加しないわけにはいかなかった。
「一年B組と生徒会役員、姫と王子を入れて三十六人。残り六十四人はどうやって決める?」
 俺が口を開くと、
「男女三十二人ずつに分けて抽選会でもすればいいんじゃない?」
 嵐の言葉に、
「それ、いいですね! ちょっとしたイベントにもなるし」
 簾条が同意する。
「肝心の生徒会就任式の内容は? まだ人選は終わってないけど」
 俺の言葉は茜先輩にあえなく却下される。
「もう決まったも同然でしょ? 中間考査の結果からして海斗と千里、翠葉ちゃん。ここまでは打診どおり。それに桃、やってくれるわよね?」
「藤宮司に使われるくらいなら、翠葉の助けになるほうが何百倍もいいです」
 ということは、漣を入れると一〇一人か……。そのくらいは融通が利く範囲だろう。
「そうと決まればバックアップ体制も整ったわけで、問題は抽選をやる日とその時間の翠葉ちゃんの動向、か……」
 朝陽の言葉に皆が一度口を閉じた。
 全校生徒で抽選会ともなれば、いくら鈍感な翠でも気がつくだろう。誰かが学校外に連れ出す必要がある。海斗あたりにでも頼むか……。
「適任がいるじゃん。司、責任持って翠葉ちゃんを連れ出すよね?」
 会長に言われて唖然とする。
 なんで、俺?
「ただでさえ出遅れてるんだから、少しくらい努力しろよ」
 朝陽に言われて愕然とする。
「金曜日あたりがいいんじゃない?」
 と、優太が言えば、
「そのくらいには衣装のサイズ知りたいわね」
 と、嵐が言い出す。
「あ、翠葉のサイズは私が聞きだします」
「助かる!」
「で、藤宮司。往生際が悪いわよ」
 真正面に座る簾条に思わず舌打ちをする。
「じゃ、その役は司に決定ね」
 茜先輩に「決定」の烙印を押されたらもう拒否権はないし覆ることもない。
 なんと言って連れ出すか少し考え、ちょうどいい用事を思いついた。
「わかった……。放課後すぐに学校外に出る。簾条は海斗と漣に生徒会メンバーが確定したことを伝えておくように」
「了解」
 優太が、簾条が持ってきたプリントをまじまじと見て、
「本当に簾条さんって手慣れてるよね? プランニングも無駄なし。うちでいうところの司っぽい」
「一緒にするな」
「一緒にしないでください」
 声がかぶるとその場に笑いが起きる。
 最悪だ……。でも、これを翠は喜ぶだろうか。
 翠が喜ぶなら、簾条と結託するのも悪くはない。むしろ、これ以上にない戦力だ。
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