むかしむかしあるところに

あやの しのぶ

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魔神は?(一つだけ読めば次に進めます)

笑っていた

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「あっはっはっはっは」
 壺から出てきた、魔神は笑っていました。
「今日はぼくの誕生日‼︎」
「おめでとう魔神くん」
「おめでとう魔神」
 小人と勇者は魔神にお祝いの言葉を言いました。魔神はお礼を言いますが、一つの疑問を抱きます。
「あれ?他の招待客は?」
 魔神が二人に聞きました。
 その言葉に勇者と小人はハッとして、昨年、魔神が「来年のプレゼントはたくさんの招待客がいいなあ」って言っていたことを思い出しました。

「も、もうすぐ来るはずだよ!ねえ、小人くん」
「お、おう! 招待客が来るのは夕方だからな!」
 勇者と小人は汗をダラダラとかいて誤魔化します。
「ホント⁉︎ 楽しみだなぁ」
 魔神は無邪気に笑いました。
「じゃあ僕たちは、招待客を呼んでくるよ」
「そうだな! でも、その前に、オイラからのプレゼントを渡すな」
「それはいいね!」
 小人は先程作った首飾りを、勇者は湖で使った花の置物を魔神に渡しました。
「二人とも、素敵なプレゼントありがとう! いってらっしゃーい」
 勇者と小人は魔神に手を振り、洞穴を出ました。

 すぐに勇者は小人に「さて、どうしようか?」と聞きました。
「二手に別れて招待客をたくさん集めるぞ」と小人は返しました。
 期限は夕方まで、そうして二人は招待客を探す旅に出かけます。

 小人は洞穴近くの泉を使って移動をします。
「ちちんぷいぷい誕生パーティーに来れる人のところへ!」
 小人はちゃぷんと泉に飛び込みました。

 ざばん!
「ぎゃぁ!」
「虫⁉︎」
 小人がでた先はとある村の洗濯場。そこでは二人のおばあさん、月さんと花さんが洗濯をしていました。
「虫じゃねぇー! なあ、友達の魔神が今日誕生日なんだ。誕生パーティーに来てくれないか?」
 小人は月さんと花さんにお願いをします。
 月さんも花さんも、突然現れた小人にびっくりしたけれども、小人が困っていることがわかりました。

「どうして知らない人をパーティーに招待するのさ」
 と花さんが聞きました。
「実は、魔神の欲しい誕生日プレゼントが招待客だったんだ。でも、俺と勇者は忘れててさ。来てくれそうな人を探してんだ」
「誕生パーティーってことは食事の準備は必要よね。わたしに任せなさい!」
 小人の困った顔を見て、にっこり笑顔で月さんは言いました。
「ちょっと‼︎ わたしもできるわ‼︎」と花さんも言います。
 そこへせっかちじいさんとのんびりじいさんがやってきました。

「おい、何かあったのか!」
「なにがあったの?」
 と、せっかちじいさんとのんびりじいさんは月さんと花さんを心配しています。
「小人さんが突然やってきたから驚いただけさ」
「素敵な誕生パーティーをしますよ」
 と月さんと花さんは言いました。
「ありがとな!じゃあ、この川から魔神の洞穴まで行くぞ!」
 と小人は飛び跳ねながら言います。

「おい! 誕生パーティーなんだろ、すぐ戻る」
 とせっかちじいさん。
「そうそう! たくさんの準備が必要さ」
 と月さん。
 せっかちじいさんと月さんがすぐに戻るとその場を離れました。
「わたしも準備するわ!」
 と花さんも慌てて二人の方へ向かいます。
「行っちゃったねー」
 とのんびりじいさんが小人を抱きかかえながら言います。

 数十分後、大荷物のせっかちじいさんと月さん、花さんが戻ってきました。
「ありがとな! じゃあ、行くぜ!」
 小人が呪文を使い、四人も一緒に川の中に入ります。
 ざばん‼︎
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