主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい

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3話

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「会長」
……あ、なるほど。少し戸惑ったようなカスミンの声が聞こえると同時にそう思う。
視界に入った、この世界でも珍しい銀髪と、どこか猛禽類を彷彿とさせる鋭い目つきの男を見上げて納得しかなかった。
大抵、僕の暴走を止めるのはハルカ先輩の役目だったわけだけど、毎日毎日ちっちゃい嫌がらせを続けていた性悪の僕がハルカ先輩の不在時を狙うのは当然といえば当然の流れで。
先輩の姿がグラウンドにあるときに、わざわざカスミンのクラスまで嫌味を言いに行った際とか、そういう時。たまたま居合わせて、僕をそこから追い払うのはほとんどの場合この人だった。
生徒会長の有明貴文ありあけたかふみ。文武両道でおまけに家柄までいいとか、どんな完璧超人だよ。と思いながらも、同じ学年のハルカ先輩に成績では負けているってとこが笑いを誘う。完璧超人度でいったら、もしかしてハルカ先輩がぶっちぎりかも。たまに邪険にはされるけど、邪魔者の僕をいまだに切り捨ててないとことかね。
「ああ、またアンタ?言いがかりも甚だしいんですけど。それにたった今、仲直りしたし」
「おっまえ、相変わらず生意気だな。媚びへつらって会長と呼べ。しかも仲直りだァ?今度はなに企んでやがる」
「最初から疑ってかかるとか、人の上に立つ会長らしからぬお言葉じゃないですか?普通に、読んでる本の話をしてただけです」
会長ルートももちろん好きだったが、この人あんまり人の気持ちとか考えないんだよね。そういう人がカスミンに関してだけ心を砕くってギャップがハート撃ち抜きポイントではあるんだけど。
だからというか、普段の僕との相性はすこぶる悪かった。この人、的確に僕の嫌がる部分を突いてくるから……。
万が一、会長ルートだった場合はマジで遠くから堪能するだけにして近づかないでおこうと思ってただけに、むしろ向こうから寄ってこられて困惑してる。
「香純、ほんとの話か?こいつになんかされたんだったら、正直に言え」
好きな相手に話しかけてるとは到底思えない、恫喝じみた声色とともににじり寄った会長の気迫のせいでカスミンがちょっと怯えてた。疑われてる今、ここで僕がなにを言おうと逆効果にしかならなさそうでどうしたもんかと頭を悩ます。実際、これまで数ヶ月の間キツくあたってたのは事実だし。
「今までの……、あの。謝ってくれて、これからは友達に。……ね?」
そうこうしているうちに、聞こえてきた『カスミン、ちょっと言葉足らず。……カワイ』なセリフと、それに足されて微笑みと一緒に小首を傾げられて……これでオチない奴とか存在するのでしょうか……いや、いるわけがないッ。
キュンキュンしながら、自分も微笑みを返すので精一杯だった僕を誰が責められよう。間近で被弾した会長も、自分に向けられたんじゃない笑顔にも関わらず頬を染めてるし。その笑顔をもらったのは僕だぞ、厚かましい。
「……じゃあ、僕お昼まだだったから。またあとで、さっきの続き話せるかな?」
どうにも会長が離れそうもないし、多分このあと図書室までついて行きそうな気配すらしたため一旦こちらが引くことにした。
それに心底驚いたような間抜けヅラでパチパチ目を瞬かせる会長と、目元口元を嬉しそうに綻ばせるカスミンと。態度が対照的で見てて面白いし、なによりその微笑みは……眼福です。
心の中で手を合わせてた僕に、カスミンが声を弾ませて提案を持ちかける。
「うん。放課後とか、どう?よかったら談話室で」
「じゃあ、オススメのお菓子持ってくね。僕、今日なんにも予定はないし先戻って席取っとく」
「そう?そうしてくれると……」
「おい、どういう心境の変化だ」
着々と放課後の予定を組み立てていく僕たちの会話をぶった斬る会長の声がして、次の瞬間。頭の上に雑に置かれた手によって、無理矢理会長と視線を合わせられた。
「心境の変化もなにも。……ただ、今までの僕の態度があまりにヒドかったから反省しただけです」
「なんか裏が……」
「あるわけないでしょ。本心からなの、見てわかりませんか?人を見る目はあるって、前に豪語してたじゃないですか」
刺々しく睨んでくる相手の目をまっすぐ見つめて静かにそう告げてやると、しばらくして頭の上に乗ってた重石が消えた。
「また前みたいな態度とってみろ、ただじゃすまさねぇからな」
どこのアウトローだよ、と思うような捨てゼリフを吐かれて軽く眉を顰める。一人だけ置いてけぼりのカスミンもどうしていいかわからない。って顔で僕たちの様子を窺ってたため『大丈夫』の意を込めて口元を緩めた。
「放課後、待ってるから」
無骨な手に押さえつけられたせいで乱れた髪を手櫛で整えたあと、下ろした手をひらひらと振るとホッとした様子で彼の顔に穏やかな笑みが戻る。
「うん。あとで」
「香純くん、このあと図書室でしょ?引き止めてごめんね」
「あ、そう。今日入荷の新刊があって」
「その話もぜひ聞かせて?じゃあね」
カスミンが図書室に向かいやすいように先に背を向けてから数歩歩き、そのあと後ろの様子を確かめた。
時間が押してしまったからかちょっと急足になって先を行くカスミンと、当然のような顔をして図書館方面へと歩いていく会長。素直に後を追うのが気まずいのか、悠然とした歩みと急足の相手とではだんだん距離が離れてく。僕の推しの姿が見えなくなってから、小走りで会長に近づいた。
「会長、会長」
「あ??」
思っても見ない相手から突然腕を引かれたからか、僕を見下ろしひっくり返った一音を口からもらした会長が怪訝そうに眉根を寄せる。
「なんだよ、やっぱなんか……」
完全に勢いをなくした言葉がそこまで紡いだのを耳にして、慌てて首を振った。
「そうじゃなくてっ、……そういうんじゃなくて。あの。真面目な話……」
「……早く言え」
お前に付き合ってる暇はないとでも言いたげな嫌そうな声が上から降ってきたため、取り急ぎ口を開く。
「あの……香純くんて。正直、可愛いですよね。すっごい、ものすごく、可愛くないです?」
「…………お前、なに言ってんだ??」
優に10秒ほどの間があいて、ようやくかけられた言葉は期待はずれも甚だしい。
ついでに言うなら、上から注がれる『頭、どうかしたか??』みたいな失礼すぎる哀れみの視線がどうにもムカついた。
「……いいです。会長とだったらなんか語り合えそうな気がしただけなんで。どうやら気のせいだったみたいです」
パッと離した相手の腕を、無意識なんだろう仕草でさすってた当人が相変わらず唖然としたツラのまま不思議そうに首を傾げる。
「語り合うって……。なにについてだよ」
「そりゃ……香純くんのカッコ可愛さについて。ですけど……も、いいです。忘れてください」
……まあ、あれだけ嫌な態度を取ってた僕がいきなりこんなことを言い出したなら、その反応は間違ってないんだろうけど。
僕一人で抱え込むには勿体無いほどの可愛さ・カッコよさを兼ね備えたカスミンについて、共に語り合えるとしたら攻略キャラの面々ほど最適な相手はいないんじゃないだろうか……。なんて軽い思いつきだったため、会長からの反応が色良くなかったことへのショックより、スベった失敗したの落ち込みの方が幾分強い。
……じゃあ、誰となら話せるかな。
また考えつつ、は??みたいな顔をして固まってる会長をその場に残し、なによりだいぶお腹も減っていたので学食まで急足で移動した。
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