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第19章 ティーチャーズ&クリーチャーズ
毒蜘蛛救出大作戦前夜
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「人生、やってみれば意外と何とかなるもんだなあ」
ひとりごちつつ舞奈はほくそ笑む。
澄み渡った早朝の空を、白い雲がゆっくりとたゆたう。
一時は微妙に難航し、くじけそうにもなった引率の大人探しは首尾よく完了。
園香父からもお墨付きをもらい、週末の蜘蛛探しに向けた準備も万端。
しかも大人探しの最中ではヴィランのキャロル&メリルと再会。
翌日には県の支部の執行人レインと再会し、友人の白樫梢と知り合った。
思い返せば実り多い数日間だった。
そんな色々な事があった翌日。
意気揚々と登校してきた校門前。
「あっ舞奈様おはようございます」
「おはようっす。舞奈様は今日も楽しそうっすねー」
「2人ともおはようさんっす。っていうか楽しそうって何だよ?」
警備員室でのんびりしていたクレアとベティにほがらかに挨拶し……
「……こいつは誰かと思えばムクロザキ先生じゃないすか」
妙齢の女教師を見つけて声をかける。
声色がいきなり低くなったのは、彼女が週末の毒蜘蛛探しの元凶だからだ。
「あら志門さん、おはよう」
「外に1匹逃げた奴を探しに行く算段が、ようやくついたぞ」
ぶっきらぼうに伝えながらムクロザキをジト目で見やる。
先日に無責任な生物教師が毒蜘蛛を逃がし、うち1匹が校外に逃げた。
そいつを舞奈は今週中に捕らえなければならない。
何故なら極彩色の大きな蜘蛛は小さな牙に、催淫効果のある毒を持つ。
そして雨が降ると産卵する。
天気予報によると、来週の月曜日のこの時分は雨だ。
それが色とりどりの傘が並んだ平和な雨になるか、○まみれのアレで凄惨な雨になるかは舞奈たちが今週末に蜘蛛を捕獲できるか否かにかかっている。
つまり週末の蜘蛛探しも、引率の大人探しも、すべて彼女の尻拭いだ。
「……忘れてねぇだろうな? 蜘蛛の事」
「そんな事ないわ! ブラボーちゃんの安否が気がかりで夜も眠れなかったのよ」
「よく言うぜ」
大仰に泣きまねなどしてみせる女教師をジト目で見やる。
引率の大人を探す中、今週末にムクロザキが講演会を予定していると聞いた。
しかも本人からじゃなく楓から。
この女、毒蜘蛛探しを舞奈たちに丸投げして自分の仕事に専念してたのだ。
悪びれもせず。
これも舞奈が釈然としない理由のひとつだ。
そもそもムクロザキは昔からこうだ。
舞奈や明日香を体のいい便利屋くらいにしか思っていない。
なので目前で露骨に不満そうな舞奈の表情にも特に思うところはなさそうだ。
そんな舞奈とムクロザキを、警備員室の窓ごしに子猫のルージュが見やっている。
警備員の制服と同じ色の首輪をつけたサバトラの子猫だ。
無邪気で可愛らしい子猫から、信頼できない人間の大人と辟易する人間の子供の関係はどのように見えているのだろうか?
子猫は不思議そうな表情をしながらクリクリした目で2人を交互に見やる。
やがて理解を諦めたように大あくびする。
まったく猫は呑気でうらやましい。
その一方で、人間の警備員ベティも渋面の舞奈を面白そうに見物していた。
畜生!
こいつはこいつで……!
「にしてもずいぶんゆっくりなのね? あなたたち2人なら昨日一昨日でピューっと捕まえてきてくれると思ったのに」
ムクロザキは言いつつ首をかしげてみせる。
ピューっとあんたが行けよ。他人を便利屋代わりに使いやがって。
という言葉を舞奈は飲みこんで、
「昨日、引率の大人がようやく見つかったんだよ」
あんたが同行すれば済む話だったんだがな。
という言葉も飲みこむ。
言っても仕方ないからだ。
そんな舞奈の諦観など素知らぬ様子で、
「工藤さんから聞いたけど、街はずれの林でしょ?」
ムクロザキは再びわざとらしく首をかしげる。
「別に私有地でもないし、勝手に入って探しても問題ない気がするんだけど」
「チャビーや園香がつき合ってくれるから、引率として親父さんのお眼鏡に叶う立派な大人を探してたんだ。あいつらに会ったら礼言っとけよ」
「何でまた日比野さんたちが?」
「飼ってた蜘蛛がいなくなって悲しんでる動物想いな先生が可哀想なんだと。あたしには誰の話だか見当もつかんがな」
舞奈は事情を説明しがてらムクロザキを睨みつける。
だが嫌味なんかムクロザキに効くはずもない。
「まあいいわ。急いでないし」
「心配で眠れないんじゃなかったのかよ」
いけしゃあしゃあとほざいた女教師に舞奈は再び冷たい視線を向けて、
「あの子ってば雨が降ると産卵するから、早めにお願いするわね」
「知ってるよ」
「そういえば来週の頭に雨が降るそうじゃない?」
「らしいな! あんたも講演会がんばれよ」
口をへの字に曲げたままムクロザキに背を向ける。
そして視界の端でニヤニヤ笑ってたベティを睨みつけてから教室に向かった。
いつもと同じように、ムクロザキと話しても何も良いことはなかった。
単に気分が悪くなっただけだった。
まったくロクなもんじゃない。
それでも上履きに履き替えて初等部校舎の廊下を歩くうち、ムクロザキなんかにいちいちイラついてても仕方がないと思える程度には気分も落ち着いてきた。
あの女教師が無責任で適当なのは昨日今日に始まった事じゃないし。
舞奈の人生でありがちな無常観と諦めだ。
そんなこんなでホームルーム前の教室のドアをガラリと開けると、
「あ、舞奈。おはよう」
「週末の面子、増えたんですってね」
「おはようさん。ま、頭数が増えて悪いこたないだろう」
先に来ていたテックと明日香が出迎えた。
テックの席でタブレットを見ながら週末の蜘蛛探しに備えていたのだろう。
こういう時に、頼れるのは生真面目で責任感のある仲間たちだ。
「蜘蛛はあのまま林にいるわ。健在よ」
「そんな事までわかるのか。流石はテック様だぜ」
テックの言葉に口元に笑みを浮かべて答えつつ、自分の席に通学鞄を投げ置く。
ついでに近くの椅子を拝借して2人と一緒にタブレットを囲む。
「発信機の位置と動きのパターンは変わってないから」
「なるほどな」
再びテックの答えにニヤリと笑う。
どんな仕組みか知らないが蜘蛛には発信機が埋めこまれているらしい。
蜘蛛が鳥や獣に食べられれば発信機の動きのパターンが変わる。
あるいは死ねば動かなくなる。
どちらでもないのなら健在だという訳だ。
そういう事を調べたり分析するのもテックほどのハッカーなら容易い事だ。
まあ蜘蛛は催淫効果のある毒液を身を守るために使うとも聞いている。
アウェーに放り出されて数日間も生存するガッツは認めるし、それがわかっていたから捕獲はのんびり週末に予定した。
だが、そいつを捕まえるとなると苦労させられそうではある。
相手は噛んだ相手を淫乱にする能力だけを頼りに数日間を生き抜いた猛者だ。
捕まえるつもりでこちらが噛まれ、ストリップを始める惨事は阻止しなければ。
いや、せっかく面子は女子ばかりなのだから、おっぱいが大きい娘がひとりくらい噛まれても……いやいや、阻止しなければいけない。
怪訝そうに見てくるテックと明日香から目をそらす。
教室の隅で、みゃー子がカニカニ言いながら踊って(?)いる。
腕の動きでハサミを表現してるのかな、とか考えながら何となく眺めていると、
「この携帯、持って行って」
「おっさんきゅ」
テックから何かを手渡された。
予備の携帯だ。
こいつには蜘蛛を追跡する便利なアプリがインストールされている。
蜘蛛に仕込まれた発信機の位置と距離を表示できる優れものだ。
難点は、そのアプリを信用ならないムクロザから預かったという事実。
「他のパソコンとかにも入れてるのか?」
「……まさか。わたしの仕事はこれで本当に終わりよ」
問いにテックは苦笑で答える。
ムクロザキ由来の胡散臭いアプリを警戒しているのだ。
まあ気持ちはわからなくもない。
現に舞奈や明日香の携帯にもインストールはされていない。
つまり舞奈がこいつを受け取ると、もうテックに蜘蛛の位置を調べる手段はない。
いざという時に電話をかけてどうこうという事もできなくなる。
だが舞奈的には問題ない。
蜘蛛が数日前と変わらず林にいるのは確認済み。
現地でこいつがあれば蜘蛛の場所目指して一直線だ。
そういう意味ではテックが家のパソコンに得体の知れない追跡アプリをインストールする必要なんてないのは事実だ。
彼女は週明けの吉報を待っていればいい。
吉報を持ち帰るのは舞奈たちの役目だ。
「この調子なら明日までに蜘蛛がどうかなることはないと思うから、後はまかせたわ」
「了解」
言いつつ携帯をジャケットの内側に仕舞ったところで、
「あっ! マイおはよう! 安倍さんもおはよう! テックもおはよう!」
「おはよう。みんな早いね」
チャビーと園香がやってきた。
「週末の探検、楽しみだね!」
「……お前の中では探検って事になってるのか。本来の目的を忘れてないだろうな?」
「もーマイったら! 忘れてないよ! 迷子になったブラボーちゃんをみんなでたすけに行くんだよ!」
「ふふっ、お弁当もたくさん用意するね」
「そいつは楽しみだ」
「黒崎先生、心配してるよね。しっかり探して見つけてあげなきゃ!」
(そんな事はなさそうだったけどな……)
はしゃぐチャビーに苦笑する。
だが皆も舞奈同様、週末の探索に各々の想いを抱いているのは確かだと思う。
そんな皆のところに、みゃー子が身をくねらせながらやってきた。
「みゃー子ちゃん、エビかな?」
相手してあげた園香をスルーして踊り(?)続けるみゃー子の腕の動きを見やり、
「……ひょっとしてザリガニって言いたいのか?」
「カニカニ! エビ!」
ボソリと言った途端にみゃー子は嬉しい時のリコみたいに飛び跳ね始めた。
「わっ、マイちゃん凄い」
「けどあれ別に、蟹と海老の合いの子とかじゃないだろ?」
園香の賛辞に苦笑する。
次の瞬間、ガラリとドアが開いて、
「皆様方! おはようございますわ!」
「あっ麗華ちゃんおはよー! デニスちゃんとジャネットちゃんもおはよー!」
麗華様御一行が元気にやってきた。
彼女は蜘蛛のストリップ毒の被害者だ。
だが特に気にせず今日も元気で、いっそ羨ましいくらいの精神的タフさだ。
そんな麗華様のところにもみゃー子がやってきて、
「カニカニ!」
「キャー! カニですわ!」
「落ち着いてください麗華様。カニは美味しいですよ」
「エビ!」
「キャー! エビですわ!」
「落ち着くンす麗華様! エビも美味いンす!」
「エビカニ!」
「キャー! ザリガニは食べられませんわ!」
「いえ食べられない事は……」
「美味しいんスよ?」
楽しそうに戯れ始めた。
……そんなこんなで放課後。
舞奈は下校のルートを新開発区の直前で少しそれ、スミスの店に寄ることにした。
週末の準備のためだ。
相変わらず『画廊・ケリー』のネオン文字が消えかけた看板の下で、
「しもんだ!」
「ようリコ。いい子にしてたか?」
「もちろんだ!」
楽しそうに飛び跳ねながらやってきたリコの頭をなでる。
頭の両サイドからぴょこん飛び出たバードテールが心地よさげにゆれる。
「スミスはいるか?」
「すぐくるぞ! しもん! いよいよはやしのカイイをたいじしにいくのか!?」
「林の怪異だと?」
店主の所在を尋ねた途端のリコの言葉に訝しみ、
「……ああ」
納得する。
先日、店に寄った際に、件の林は危険だから近づかないように言ったのだ。
もちろん今はいろいろ問題のある毒蜘蛛が潜んでいるという理由もある。
だが、それ以前にもリコたちは件の林にツチノコ探しにいって脂虫に襲われた事もあるし、子供たちだけや少人数で立ち入って欲しくないというのも本音だ。
それを怪異と結びつけたのだろう。
まあ間違った感覚じゃ無いと思う。なので、
「ま、そんな感じだ」
毒蜘蛛の脅威は怪異に匹敵すると言えなくもない。
だからリコの誤解をそのままにしておこうと舞奈が心に決めた途端、
「志門ちゃん、いらっしゃい」
店の奥からハゲマッチョの店主がしなをつくりながらやってきた。
「ようスミス。……奈良坂さんの調子はどうだ?」
「追試の勉強は順調だって言ってたけど……」
「だと良いけどな」
出会い頭の問いに対するスミスの答えに苦笑する。
奈良坂は何かのテストで赤点をぶちかまし、今週末は追試らしい。
戦闘センスも皆無だが学校の勉強も苦手な奈良坂である。
勉強は順調だと言うが、スミスの口調からすると額面通りに受け取って良いやら。
そもそも、まともに勉強する気があるなら遊びに来ないと思うし。
だが舞奈も他所様の追試に一喜一憂している暇はない。
「まあそれはいいや。ちょっと週末に出かけるんで、準備をしたい」
「あら、キャロルちゃんと何処かにお出かけ?」
「まあな」
店に来た本題を切り出す。
週末の蜘蛛探しはチャビーや園香を連れて行くくらい安全なハイキングだ。
引率に形ばかりの大人を要するだけの……まあ遠足みたいなものだ。
テックから借りたアプリの誘導どおりに蜘蛛を追いかけて捕まえれば済む。
だが舞奈のこれまでの人生で、楽だと思った仕事が楽に終わった事はあまりない。
なので念のために用意をしておこうと思ったのだ。
だが、その前に……
「……っていうか、あんたにキャロルちゃんたちのこと話したっけ?」
「あの子から得物の修理を請け負ってるのよ」
「仕事だと? あのデカいクローか?」
「あら、よくわかるわね」
「まあな……」
ふと出てきたキャロルの名に、疑問に思って問いかけた答えがこれだ。
舞奈はスミスとの身長差を利用してこっそり目をそらす。
先日の決戦で、舞奈は彼女のスラッシュクローを破壊して勝った。
例のクローはファイヤーボールとイエティの超能力をリンクする機能もある。
そいつの修理をスミスは請け負ったらしい。
でもってキャロルが何かやらかすなら舞奈も一緒だろうと見当をつけたのだ。
いつも舞奈がトラブルの中心にいるような思われようだ。
まったく。
なまじ今回に関しては半分くらいは本当なので余計に釈然としない。
「……仕事は選べよ。あいつ、いちおうヴィランなんじゃないのか?」
いろいろ誤魔化しがてらの軽口に、
「正式な紹介状があったのよ。【組合】からの」
「【組合】からだと?」
返された言葉に再び訝しむ。
キャロルは【組合】からペナルティーを与えられていたのではなかったのか?
他県で派手に超能力を使ったのを見咎められたからだと舞奈は聞いている。
まあ、確かに【組合】は術者を保護する組織ではある。
だが仕事を押しつけた術者の備品の面倒を見るくらい至れり尽くせりな組織だっただろうか?
かく言う舞奈も、以前に魔道具を含む装備一式を融通してもらったことがある。
だが、あの時は……。
嫌な予感がする。
具体的には普段のトラブルと同じような。
だが舞奈がここで考えても何も変わらないのは事実だ。
「……まあいい」
気を取りなおし、
「基本ただのハイキングだから、こいつがあれば十分なはずだが……」
内側に拳銃を忍ばせたジャケットを一瞥し、
「裏で分解整備でもしてく?」
「そうさせてもらうよ」
そのまま工房を借りようとして……
「……いや待て」
ふと思い直す。
梢が預言した大型の何かの事が、どうしても気になったのだ。
正直、先日は話し半分くらいに聞いていた。
だが先ほど【組合】の話を聞いて嫌な予感がした理由のひとつもこれだ。
だから……
「長物の準備も必要かしら?」
「そこまではいい」
しなをつくって首をかしげるハゲマッチョの言葉に苦笑する。
園香やチャビーの手前で露骨に武装する訳にもいかない。
それが必要なほど事態が切羽詰まっている事を証明できるなら、そもそも彼女らを置いて戦闘できる人間だけで調査に臨むべきだ。
だが、流石に何の対策もしないのも迂闊が過ぎるので、
「予備のジェリコとポウチを頼む。今度はは普通に45口径でいく」
少し考えてから、そう告げた。
付与魔法による銃の負担に耐えられる改造拳銃。
そいつをジャケットの裏のホルスターとは別に持ち運べるポウチ。
それらがあれば、いざという時に明日香の力を借りやすい。
「わかったわ。明日までに完璧に準備しておくわね」
スミスは自慢のカイゼル髭をゆらせて答える。
隣のリコも訳がわからないなりにワクワクした表情で舞奈とスミスを見ていた。
そして、その夜。
新開発区の片隅に建つ古びたアパートの一室。
そこで舞奈は普段と同じように踊っていた。
ステージは天井と壁と床しかない殺風景な自室。
左右の手には、それぞれ拳銃と改造拳銃。
引き締まった肢体を飾るはキュロットにブラウス。
その上に掛けられたショルダーホルスター。
銃を握った両腕を両翼の如く左右にピンと伸ばす。
次の瞬間、両腕を交差させる。
両手の銃を前に向けて構える。
研ぎ澄まされた動作は銃の撃鉄の様に鋭い。
ポーズは鋳抜かれた鉄のように正確で力強い。
舞奈の肌には玉の汗が浮かんでいる。
だが口元にあいまいな笑みすら浮かべた童顔には息の上がった様子はない。
静寂の中に、四肢が風を切る音と筋肉が軋む音、少女がたまに発する「はっ」という鋭い声だけが響き渡る。
そんな舞奈を、タンスの上から額縁が見守る。
収められた写真には、幼い舞奈とかつての仲間が写っている。
今週末の、新しい仲間たちとの、一見すると平和で楽しい蜘蛛探しのハイキング。
だが表向きの平穏が本当の安全を保障するものではないことを舞奈は知っている。
今回もまた後ろ暗い影が見え隠れし始めた。
それでも、そんなことはいつものことだ。
舞奈はただ、守るべきものを守ればいい。
いつもしているのと同じように。
ひとりごちつつ舞奈はほくそ笑む。
澄み渡った早朝の空を、白い雲がゆっくりとたゆたう。
一時は微妙に難航し、くじけそうにもなった引率の大人探しは首尾よく完了。
園香父からもお墨付きをもらい、週末の蜘蛛探しに向けた準備も万端。
しかも大人探しの最中ではヴィランのキャロル&メリルと再会。
翌日には県の支部の執行人レインと再会し、友人の白樫梢と知り合った。
思い返せば実り多い数日間だった。
そんな色々な事があった翌日。
意気揚々と登校してきた校門前。
「あっ舞奈様おはようございます」
「おはようっす。舞奈様は今日も楽しそうっすねー」
「2人ともおはようさんっす。っていうか楽しそうって何だよ?」
警備員室でのんびりしていたクレアとベティにほがらかに挨拶し……
「……こいつは誰かと思えばムクロザキ先生じゃないすか」
妙齢の女教師を見つけて声をかける。
声色がいきなり低くなったのは、彼女が週末の毒蜘蛛探しの元凶だからだ。
「あら志門さん、おはよう」
「外に1匹逃げた奴を探しに行く算段が、ようやくついたぞ」
ぶっきらぼうに伝えながらムクロザキをジト目で見やる。
先日に無責任な生物教師が毒蜘蛛を逃がし、うち1匹が校外に逃げた。
そいつを舞奈は今週中に捕らえなければならない。
何故なら極彩色の大きな蜘蛛は小さな牙に、催淫効果のある毒を持つ。
そして雨が降ると産卵する。
天気予報によると、来週の月曜日のこの時分は雨だ。
それが色とりどりの傘が並んだ平和な雨になるか、○まみれのアレで凄惨な雨になるかは舞奈たちが今週末に蜘蛛を捕獲できるか否かにかかっている。
つまり週末の蜘蛛探しも、引率の大人探しも、すべて彼女の尻拭いだ。
「……忘れてねぇだろうな? 蜘蛛の事」
「そんな事ないわ! ブラボーちゃんの安否が気がかりで夜も眠れなかったのよ」
「よく言うぜ」
大仰に泣きまねなどしてみせる女教師をジト目で見やる。
引率の大人を探す中、今週末にムクロザキが講演会を予定していると聞いた。
しかも本人からじゃなく楓から。
この女、毒蜘蛛探しを舞奈たちに丸投げして自分の仕事に専念してたのだ。
悪びれもせず。
これも舞奈が釈然としない理由のひとつだ。
そもそもムクロザキは昔からこうだ。
舞奈や明日香を体のいい便利屋くらいにしか思っていない。
なので目前で露骨に不満そうな舞奈の表情にも特に思うところはなさそうだ。
そんな舞奈とムクロザキを、警備員室の窓ごしに子猫のルージュが見やっている。
警備員の制服と同じ色の首輪をつけたサバトラの子猫だ。
無邪気で可愛らしい子猫から、信頼できない人間の大人と辟易する人間の子供の関係はどのように見えているのだろうか?
子猫は不思議そうな表情をしながらクリクリした目で2人を交互に見やる。
やがて理解を諦めたように大あくびする。
まったく猫は呑気でうらやましい。
その一方で、人間の警備員ベティも渋面の舞奈を面白そうに見物していた。
畜生!
こいつはこいつで……!
「にしてもずいぶんゆっくりなのね? あなたたち2人なら昨日一昨日でピューっと捕まえてきてくれると思ったのに」
ムクロザキは言いつつ首をかしげてみせる。
ピューっとあんたが行けよ。他人を便利屋代わりに使いやがって。
という言葉を舞奈は飲みこんで、
「昨日、引率の大人がようやく見つかったんだよ」
あんたが同行すれば済む話だったんだがな。
という言葉も飲みこむ。
言っても仕方ないからだ。
そんな舞奈の諦観など素知らぬ様子で、
「工藤さんから聞いたけど、街はずれの林でしょ?」
ムクロザキは再びわざとらしく首をかしげる。
「別に私有地でもないし、勝手に入って探しても問題ない気がするんだけど」
「チャビーや園香がつき合ってくれるから、引率として親父さんのお眼鏡に叶う立派な大人を探してたんだ。あいつらに会ったら礼言っとけよ」
「何でまた日比野さんたちが?」
「飼ってた蜘蛛がいなくなって悲しんでる動物想いな先生が可哀想なんだと。あたしには誰の話だか見当もつかんがな」
舞奈は事情を説明しがてらムクロザキを睨みつける。
だが嫌味なんかムクロザキに効くはずもない。
「まあいいわ。急いでないし」
「心配で眠れないんじゃなかったのかよ」
いけしゃあしゃあとほざいた女教師に舞奈は再び冷たい視線を向けて、
「あの子ってば雨が降ると産卵するから、早めにお願いするわね」
「知ってるよ」
「そういえば来週の頭に雨が降るそうじゃない?」
「らしいな! あんたも講演会がんばれよ」
口をへの字に曲げたままムクロザキに背を向ける。
そして視界の端でニヤニヤ笑ってたベティを睨みつけてから教室に向かった。
いつもと同じように、ムクロザキと話しても何も良いことはなかった。
単に気分が悪くなっただけだった。
まったくロクなもんじゃない。
それでも上履きに履き替えて初等部校舎の廊下を歩くうち、ムクロザキなんかにいちいちイラついてても仕方がないと思える程度には気分も落ち着いてきた。
あの女教師が無責任で適当なのは昨日今日に始まった事じゃないし。
舞奈の人生でありがちな無常観と諦めだ。
そんなこんなでホームルーム前の教室のドアをガラリと開けると、
「あ、舞奈。おはよう」
「週末の面子、増えたんですってね」
「おはようさん。ま、頭数が増えて悪いこたないだろう」
先に来ていたテックと明日香が出迎えた。
テックの席でタブレットを見ながら週末の蜘蛛探しに備えていたのだろう。
こういう時に、頼れるのは生真面目で責任感のある仲間たちだ。
「蜘蛛はあのまま林にいるわ。健在よ」
「そんな事までわかるのか。流石はテック様だぜ」
テックの言葉に口元に笑みを浮かべて答えつつ、自分の席に通学鞄を投げ置く。
ついでに近くの椅子を拝借して2人と一緒にタブレットを囲む。
「発信機の位置と動きのパターンは変わってないから」
「なるほどな」
再びテックの答えにニヤリと笑う。
どんな仕組みか知らないが蜘蛛には発信機が埋めこまれているらしい。
蜘蛛が鳥や獣に食べられれば発信機の動きのパターンが変わる。
あるいは死ねば動かなくなる。
どちらでもないのなら健在だという訳だ。
そういう事を調べたり分析するのもテックほどのハッカーなら容易い事だ。
まあ蜘蛛は催淫効果のある毒液を身を守るために使うとも聞いている。
アウェーに放り出されて数日間も生存するガッツは認めるし、それがわかっていたから捕獲はのんびり週末に予定した。
だが、そいつを捕まえるとなると苦労させられそうではある。
相手は噛んだ相手を淫乱にする能力だけを頼りに数日間を生き抜いた猛者だ。
捕まえるつもりでこちらが噛まれ、ストリップを始める惨事は阻止しなければ。
いや、せっかく面子は女子ばかりなのだから、おっぱいが大きい娘がひとりくらい噛まれても……いやいや、阻止しなければいけない。
怪訝そうに見てくるテックと明日香から目をそらす。
教室の隅で、みゃー子がカニカニ言いながら踊って(?)いる。
腕の動きでハサミを表現してるのかな、とか考えながら何となく眺めていると、
「この携帯、持って行って」
「おっさんきゅ」
テックから何かを手渡された。
予備の携帯だ。
こいつには蜘蛛を追跡する便利なアプリがインストールされている。
蜘蛛に仕込まれた発信機の位置と距離を表示できる優れものだ。
難点は、そのアプリを信用ならないムクロザから預かったという事実。
「他のパソコンとかにも入れてるのか?」
「……まさか。わたしの仕事はこれで本当に終わりよ」
問いにテックは苦笑で答える。
ムクロザキ由来の胡散臭いアプリを警戒しているのだ。
まあ気持ちはわからなくもない。
現に舞奈や明日香の携帯にもインストールはされていない。
つまり舞奈がこいつを受け取ると、もうテックに蜘蛛の位置を調べる手段はない。
いざという時に電話をかけてどうこうという事もできなくなる。
だが舞奈的には問題ない。
蜘蛛が数日前と変わらず林にいるのは確認済み。
現地でこいつがあれば蜘蛛の場所目指して一直線だ。
そういう意味ではテックが家のパソコンに得体の知れない追跡アプリをインストールする必要なんてないのは事実だ。
彼女は週明けの吉報を待っていればいい。
吉報を持ち帰るのは舞奈たちの役目だ。
「この調子なら明日までに蜘蛛がどうかなることはないと思うから、後はまかせたわ」
「了解」
言いつつ携帯をジャケットの内側に仕舞ったところで、
「あっ! マイおはよう! 安倍さんもおはよう! テックもおはよう!」
「おはよう。みんな早いね」
チャビーと園香がやってきた。
「週末の探検、楽しみだね!」
「……お前の中では探検って事になってるのか。本来の目的を忘れてないだろうな?」
「もーマイったら! 忘れてないよ! 迷子になったブラボーちゃんをみんなでたすけに行くんだよ!」
「ふふっ、お弁当もたくさん用意するね」
「そいつは楽しみだ」
「黒崎先生、心配してるよね。しっかり探して見つけてあげなきゃ!」
(そんな事はなさそうだったけどな……)
はしゃぐチャビーに苦笑する。
だが皆も舞奈同様、週末の探索に各々の想いを抱いているのは確かだと思う。
そんな皆のところに、みゃー子が身をくねらせながらやってきた。
「みゃー子ちゃん、エビかな?」
相手してあげた園香をスルーして踊り(?)続けるみゃー子の腕の動きを見やり、
「……ひょっとしてザリガニって言いたいのか?」
「カニカニ! エビ!」
ボソリと言った途端にみゃー子は嬉しい時のリコみたいに飛び跳ね始めた。
「わっ、マイちゃん凄い」
「けどあれ別に、蟹と海老の合いの子とかじゃないだろ?」
園香の賛辞に苦笑する。
次の瞬間、ガラリとドアが開いて、
「皆様方! おはようございますわ!」
「あっ麗華ちゃんおはよー! デニスちゃんとジャネットちゃんもおはよー!」
麗華様御一行が元気にやってきた。
彼女は蜘蛛のストリップ毒の被害者だ。
だが特に気にせず今日も元気で、いっそ羨ましいくらいの精神的タフさだ。
そんな麗華様のところにもみゃー子がやってきて、
「カニカニ!」
「キャー! カニですわ!」
「落ち着いてください麗華様。カニは美味しいですよ」
「エビ!」
「キャー! エビですわ!」
「落ち着くンす麗華様! エビも美味いンす!」
「エビカニ!」
「キャー! ザリガニは食べられませんわ!」
「いえ食べられない事は……」
「美味しいんスよ?」
楽しそうに戯れ始めた。
……そんなこんなで放課後。
舞奈は下校のルートを新開発区の直前で少しそれ、スミスの店に寄ることにした。
週末の準備のためだ。
相変わらず『画廊・ケリー』のネオン文字が消えかけた看板の下で、
「しもんだ!」
「ようリコ。いい子にしてたか?」
「もちろんだ!」
楽しそうに飛び跳ねながらやってきたリコの頭をなでる。
頭の両サイドからぴょこん飛び出たバードテールが心地よさげにゆれる。
「スミスはいるか?」
「すぐくるぞ! しもん! いよいよはやしのカイイをたいじしにいくのか!?」
「林の怪異だと?」
店主の所在を尋ねた途端のリコの言葉に訝しみ、
「……ああ」
納得する。
先日、店に寄った際に、件の林は危険だから近づかないように言ったのだ。
もちろん今はいろいろ問題のある毒蜘蛛が潜んでいるという理由もある。
だが、それ以前にもリコたちは件の林にツチノコ探しにいって脂虫に襲われた事もあるし、子供たちだけや少人数で立ち入って欲しくないというのも本音だ。
それを怪異と結びつけたのだろう。
まあ間違った感覚じゃ無いと思う。なので、
「ま、そんな感じだ」
毒蜘蛛の脅威は怪異に匹敵すると言えなくもない。
だからリコの誤解をそのままにしておこうと舞奈が心に決めた途端、
「志門ちゃん、いらっしゃい」
店の奥からハゲマッチョの店主がしなをつくりながらやってきた。
「ようスミス。……奈良坂さんの調子はどうだ?」
「追試の勉強は順調だって言ってたけど……」
「だと良いけどな」
出会い頭の問いに対するスミスの答えに苦笑する。
奈良坂は何かのテストで赤点をぶちかまし、今週末は追試らしい。
戦闘センスも皆無だが学校の勉強も苦手な奈良坂である。
勉強は順調だと言うが、スミスの口調からすると額面通りに受け取って良いやら。
そもそも、まともに勉強する気があるなら遊びに来ないと思うし。
だが舞奈も他所様の追試に一喜一憂している暇はない。
「まあそれはいいや。ちょっと週末に出かけるんで、準備をしたい」
「あら、キャロルちゃんと何処かにお出かけ?」
「まあな」
店に来た本題を切り出す。
週末の蜘蛛探しはチャビーや園香を連れて行くくらい安全なハイキングだ。
引率に形ばかりの大人を要するだけの……まあ遠足みたいなものだ。
テックから借りたアプリの誘導どおりに蜘蛛を追いかけて捕まえれば済む。
だが舞奈のこれまでの人生で、楽だと思った仕事が楽に終わった事はあまりない。
なので念のために用意をしておこうと思ったのだ。
だが、その前に……
「……っていうか、あんたにキャロルちゃんたちのこと話したっけ?」
「あの子から得物の修理を請け負ってるのよ」
「仕事だと? あのデカいクローか?」
「あら、よくわかるわね」
「まあな……」
ふと出てきたキャロルの名に、疑問に思って問いかけた答えがこれだ。
舞奈はスミスとの身長差を利用してこっそり目をそらす。
先日の決戦で、舞奈は彼女のスラッシュクローを破壊して勝った。
例のクローはファイヤーボールとイエティの超能力をリンクする機能もある。
そいつの修理をスミスは請け負ったらしい。
でもってキャロルが何かやらかすなら舞奈も一緒だろうと見当をつけたのだ。
いつも舞奈がトラブルの中心にいるような思われようだ。
まったく。
なまじ今回に関しては半分くらいは本当なので余計に釈然としない。
「……仕事は選べよ。あいつ、いちおうヴィランなんじゃないのか?」
いろいろ誤魔化しがてらの軽口に、
「正式な紹介状があったのよ。【組合】からの」
「【組合】からだと?」
返された言葉に再び訝しむ。
キャロルは【組合】からペナルティーを与えられていたのではなかったのか?
他県で派手に超能力を使ったのを見咎められたからだと舞奈は聞いている。
まあ、確かに【組合】は術者を保護する組織ではある。
だが仕事を押しつけた術者の備品の面倒を見るくらい至れり尽くせりな組織だっただろうか?
かく言う舞奈も、以前に魔道具を含む装備一式を融通してもらったことがある。
だが、あの時は……。
嫌な予感がする。
具体的には普段のトラブルと同じような。
だが舞奈がここで考えても何も変わらないのは事実だ。
「……まあいい」
気を取りなおし、
「基本ただのハイキングだから、こいつがあれば十分なはずだが……」
内側に拳銃を忍ばせたジャケットを一瞥し、
「裏で分解整備でもしてく?」
「そうさせてもらうよ」
そのまま工房を借りようとして……
「……いや待て」
ふと思い直す。
梢が預言した大型の何かの事が、どうしても気になったのだ。
正直、先日は話し半分くらいに聞いていた。
だが先ほど【組合】の話を聞いて嫌な予感がした理由のひとつもこれだ。
だから……
「長物の準備も必要かしら?」
「そこまではいい」
しなをつくって首をかしげるハゲマッチョの言葉に苦笑する。
園香やチャビーの手前で露骨に武装する訳にもいかない。
それが必要なほど事態が切羽詰まっている事を証明できるなら、そもそも彼女らを置いて戦闘できる人間だけで調査に臨むべきだ。
だが、流石に何の対策もしないのも迂闊が過ぎるので、
「予備のジェリコとポウチを頼む。今度はは普通に45口径でいく」
少し考えてから、そう告げた。
付与魔法による銃の負担に耐えられる改造拳銃。
そいつをジャケットの裏のホルスターとは別に持ち運べるポウチ。
それらがあれば、いざという時に明日香の力を借りやすい。
「わかったわ。明日までに完璧に準備しておくわね」
スミスは自慢のカイゼル髭をゆらせて答える。
隣のリコも訳がわからないなりにワクワクした表情で舞奈とスミスを見ていた。
そして、その夜。
新開発区の片隅に建つ古びたアパートの一室。
そこで舞奈は普段と同じように踊っていた。
ステージは天井と壁と床しかない殺風景な自室。
左右の手には、それぞれ拳銃と改造拳銃。
引き締まった肢体を飾るはキュロットにブラウス。
その上に掛けられたショルダーホルスター。
銃を握った両腕を両翼の如く左右にピンと伸ばす。
次の瞬間、両腕を交差させる。
両手の銃を前に向けて構える。
研ぎ澄まされた動作は銃の撃鉄の様に鋭い。
ポーズは鋳抜かれた鉄のように正確で力強い。
舞奈の肌には玉の汗が浮かんでいる。
だが口元にあいまいな笑みすら浮かべた童顔には息の上がった様子はない。
静寂の中に、四肢が風を切る音と筋肉が軋む音、少女がたまに発する「はっ」という鋭い声だけが響き渡る。
そんな舞奈を、タンスの上から額縁が見守る。
収められた写真には、幼い舞奈とかつての仲間が写っている。
今週末の、新しい仲間たちとの、一見すると平和で楽しい蜘蛛探しのハイキング。
だが表向きの平穏が本当の安全を保障するものではないことを舞奈は知っている。
今回もまた後ろ暗い影が見え隠れし始めた。
それでも、そんなことはいつものことだ。
舞奈はただ、守るべきものを守ればいい。
いつもしているのと同じように。
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