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オレはふくのために行く!
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イナホが息を切らしながらヴォルフの首周りの毛を掴み睨む。
それでもヴォルフは興味がないのか振り向きもしない。
「アンタ、なんでここにいんだよ!?アタシの村を助けてくれるんじゃないのかよ!?」
「……村なら、ふくと野狐のオスが解決するだろう……」
「できるわけないだろ!アンタも見ただろ!?あの大量の気持ち悪いヤツ!あの数を二人でこなせるわけないじゃないか!」
イナホは息を切らしながらヴォルフを責める。
何を言っても響かないヴォルフに見かねたコリーはイナホに詳しい話を聞く。
「キツネのお嬢さん、村のヒトに戦闘員はいたかな?」
「……殆ど戦闘員だよ。だから、あいつらは死ぬまで命令に背かない!でも、神のアンタが首領の命令を解いてくれれば違ったのに……」
「ん?ではヴォルフ様がいれば村人の避難ができると?」
「だからそう言ってるじゃないか!」
コリーはイライラしているイナホに背を向け、ヴォルフを見る。
目も合わせようとしないヴォルフに大きな声で告げる。
「氷狼:ヴォルフ!いつまでくじけているのだ!今すぐに野狐族の村に行き、民を助けるのだ!それがお前の使命であろう!それに話を聞く限り、ふく様もその男に命令されているかもしれない!早く行って、お助けしてくるのだ!ここにキサマの居場所はない!」
突然の大きな声でヴォルフはびっくりして耳を寝かせる。
そして、綱彦の魔法で操られている可能性があると聴き、立ち上がる。
コロンはヴォルフの首に抱きついて、呟く。
「ふく様はヴォルフ様のこと好きだって言ってたもん。見ず知らずの野狐のオスを好きになる事なんてないよ?」
「……みんなすまない。行ってくるよ。ちびちゃん、アリガト……」
ヴォルフは脚に力を入れて走っていった。
誰の目にも負えない速さで、瞬間移動のように消えていた。
§
ふくは焦っていた。
ヴォルフがいないだけでこれだけ戦闘ができなくなるものだと、痛感していた。
蟻のように集団で向かってくる習性はふくとは非常に相性が悪いものだった。
【守護】の魔法で攻撃こそ受けないものの、反撃できずに、いたずらに魔力を消費していく。
魔法の効果が切れ、攻撃が届きそうになった瞬間、綱彦が受け太刀をし、守る。
「お前は強いのではないのか?」
「お前がわしを守らぬからじゃろう」
「数が多いな。広範囲に強い魔法を放ってくれ」
「ならば時間を稼ぐのじゃ——」
綱彦に突然キスをされ、ふくの手はだらんと垂れ下がる。
濃厚で舌を絡ませ、ふくの思考を止めた。
「ふく、『一番強い魔法で奴らを殺せ』」
ふくはうつろな目で右手を出す。
そして、小声で詠唱していく。
「……『力の源よ、全てをわが指先に集め、それは何も染まらぬ純粋なものとなる。そして星の力を持ってわが敵を滅ぼせ。ヒトも物も敵も、全ては我の手により……消えよ』」
指先に黒くも白くも輝く魔力が集まり、小さな魔力塊が形成される。
そして指をパチンと鳴らすと、吹き飛んだ。
そう、文字通り村も【それ】も吹き飛ばしていった。
ヴォルフは【それ】に囲まれているところを見付け、全てを凍らせていく。
そして、すかさず吼える。
「ウウォォォォォォォォォォッ!」
その咆哮は簡単な洗脳を解くことができたようで、村人は正気に戻る。
それを確認したヴォルフは野狐たちの目の前に出る。
「背中に乗って!早く!」
「えっ!?えっ!?じゃ、邪神……!?」
「ええい!時間がないんだよ!」
狼狽える野狐たちを咥え、背中へ放り投げる。
すべての村人を乗せると、非常に速い速度で村の外の更に遠くの小川まで走った。
野狐族はそもそも数が少ないので、二十人ほど助けると、全員そろったようだ。
「な、なにが起こっているのですか?」
「早く離れて!犬族の村まで行ったら仲間がいるから!ふく……今行くよ!」
そう言ってヴォルフは再び野狐族の村まで走っていった。
「まだ、お礼も言えていないのに……」
「い、今はあの邪神様の言う通りにしましょう!きっと何かあって逃がしているんだわ!」
そう言うと、野狐族は犬族の村まで速足で向かっていくのであった。
今まで出してこなかった神速のような速さで走り、ヴォルフはふくのことで頭がいっぱいだった。
(ふくが操られているんだとしたら、あのオスは一体何が目的なんだ!?)
ヴォルフは凍らすだけ凍らせて、止めは刺さず、あえて再生の余地を与えていた。
それはどす黒い石の魔力解放をさせないためであり、まだ逃げていないふくを助ける目的でもあった。
ヴォルフは特異な嗅覚で【それ】のニオイを嗅ぎ、全ての個体が、どす黒い石を持っていることに気が付いた。
(ふくの【浄化】がないと、村はもう二度と使い物にならなくなってしまう……。早くふくを見つけないと……!ん?この感じ……何だろう。ヤバい気がする……!)
ヴォルフは魔力の感知をした方角へ向かった瞬間、強力な魔法に巻き込まれた。
その魔法は村を吹き飛ばし、【それ】の肉体を粉々にした。
石も砕いたが、どす黒い魔力が漏れ出し、周囲を汚染していく。
今までは単独だったが、十体の【それ】が同時に放出し、竹林地帯はもう二度と使いものにならなくなった。
衝撃波は犬族の集落にまで及び、皆はそれに耐えていた。
そして、何かが飛んできてコリーの家が倒壊する。
衝撃波が収まり、飛んできたものを確認しに行くと、瀕死の重傷であるヴォルフだった。
「ヴォルフ様!?何があったのですか!?みんな!ヴォルフ様を助けるんだ!絶対に殺すな!薬草もすべて持ってくるのだ!」
「ふ……く……」
ヴォルフの意識がそこで飛んでなくなった。
それでもヴォルフは興味がないのか振り向きもしない。
「アンタ、なんでここにいんだよ!?アタシの村を助けてくれるんじゃないのかよ!?」
「……村なら、ふくと野狐のオスが解決するだろう……」
「できるわけないだろ!アンタも見ただろ!?あの大量の気持ち悪いヤツ!あの数を二人でこなせるわけないじゃないか!」
イナホは息を切らしながらヴォルフを責める。
何を言っても響かないヴォルフに見かねたコリーはイナホに詳しい話を聞く。
「キツネのお嬢さん、村のヒトに戦闘員はいたかな?」
「……殆ど戦闘員だよ。だから、あいつらは死ぬまで命令に背かない!でも、神のアンタが首領の命令を解いてくれれば違ったのに……」
「ん?ではヴォルフ様がいれば村人の避難ができると?」
「だからそう言ってるじゃないか!」
コリーはイライラしているイナホに背を向け、ヴォルフを見る。
目も合わせようとしないヴォルフに大きな声で告げる。
「氷狼:ヴォルフ!いつまでくじけているのだ!今すぐに野狐族の村に行き、民を助けるのだ!それがお前の使命であろう!それに話を聞く限り、ふく様もその男に命令されているかもしれない!早く行って、お助けしてくるのだ!ここにキサマの居場所はない!」
突然の大きな声でヴォルフはびっくりして耳を寝かせる。
そして、綱彦の魔法で操られている可能性があると聴き、立ち上がる。
コロンはヴォルフの首に抱きついて、呟く。
「ふく様はヴォルフ様のこと好きだって言ってたもん。見ず知らずの野狐のオスを好きになる事なんてないよ?」
「……みんなすまない。行ってくるよ。ちびちゃん、アリガト……」
ヴォルフは脚に力を入れて走っていった。
誰の目にも負えない速さで、瞬間移動のように消えていた。
§
ふくは焦っていた。
ヴォルフがいないだけでこれだけ戦闘ができなくなるものだと、痛感していた。
蟻のように集団で向かってくる習性はふくとは非常に相性が悪いものだった。
【守護】の魔法で攻撃こそ受けないものの、反撃できずに、いたずらに魔力を消費していく。
魔法の効果が切れ、攻撃が届きそうになった瞬間、綱彦が受け太刀をし、守る。
「お前は強いのではないのか?」
「お前がわしを守らぬからじゃろう」
「数が多いな。広範囲に強い魔法を放ってくれ」
「ならば時間を稼ぐのじゃ——」
綱彦に突然キスをされ、ふくの手はだらんと垂れ下がる。
濃厚で舌を絡ませ、ふくの思考を止めた。
「ふく、『一番強い魔法で奴らを殺せ』」
ふくはうつろな目で右手を出す。
そして、小声で詠唱していく。
「……『力の源よ、全てをわが指先に集め、それは何も染まらぬ純粋なものとなる。そして星の力を持ってわが敵を滅ぼせ。ヒトも物も敵も、全ては我の手により……消えよ』」
指先に黒くも白くも輝く魔力が集まり、小さな魔力塊が形成される。
そして指をパチンと鳴らすと、吹き飛んだ。
そう、文字通り村も【それ】も吹き飛ばしていった。
ヴォルフは【それ】に囲まれているところを見付け、全てを凍らせていく。
そして、すかさず吼える。
「ウウォォォォォォォォォォッ!」
その咆哮は簡単な洗脳を解くことができたようで、村人は正気に戻る。
それを確認したヴォルフは野狐たちの目の前に出る。
「背中に乗って!早く!」
「えっ!?えっ!?じゃ、邪神……!?」
「ええい!時間がないんだよ!」
狼狽える野狐たちを咥え、背中へ放り投げる。
すべての村人を乗せると、非常に速い速度で村の外の更に遠くの小川まで走った。
野狐族はそもそも数が少ないので、二十人ほど助けると、全員そろったようだ。
「な、なにが起こっているのですか?」
「早く離れて!犬族の村まで行ったら仲間がいるから!ふく……今行くよ!」
そう言ってヴォルフは再び野狐族の村まで走っていった。
「まだ、お礼も言えていないのに……」
「い、今はあの邪神様の言う通りにしましょう!きっと何かあって逃がしているんだわ!」
そう言うと、野狐族は犬族の村まで速足で向かっていくのであった。
今まで出してこなかった神速のような速さで走り、ヴォルフはふくのことで頭がいっぱいだった。
(ふくが操られているんだとしたら、あのオスは一体何が目的なんだ!?)
ヴォルフは凍らすだけ凍らせて、止めは刺さず、あえて再生の余地を与えていた。
それはどす黒い石の魔力解放をさせないためであり、まだ逃げていないふくを助ける目的でもあった。
ヴォルフは特異な嗅覚で【それ】のニオイを嗅ぎ、全ての個体が、どす黒い石を持っていることに気が付いた。
(ふくの【浄化】がないと、村はもう二度と使い物にならなくなってしまう……。早くふくを見つけないと……!ん?この感じ……何だろう。ヤバい気がする……!)
ヴォルフは魔力の感知をした方角へ向かった瞬間、強力な魔法に巻き込まれた。
その魔法は村を吹き飛ばし、【それ】の肉体を粉々にした。
石も砕いたが、どす黒い魔力が漏れ出し、周囲を汚染していく。
今までは単独だったが、十体の【それ】が同時に放出し、竹林地帯はもう二度と使いものにならなくなった。
衝撃波は犬族の集落にまで及び、皆はそれに耐えていた。
そして、何かが飛んできてコリーの家が倒壊する。
衝撃波が収まり、飛んできたものを確認しに行くと、瀕死の重傷であるヴォルフだった。
「ヴォルフ様!?何があったのですか!?みんな!ヴォルフ様を助けるんだ!絶対に殺すな!薬草もすべて持ってくるのだ!」
「ふ……く……」
ヴォルフの意識がそこで飛んでなくなった。
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