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炭鉱の中に入っていくのじゃ
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南の地域に到着したふくとヴォルフ。
ここはかつて鳥人族が統治していた場所であり、大地の至る所が黒く蝕まれていた。
魔物のコアである魔障石から出たどす黒い靄に大地が侵された証でもあり、至る所に生活があった痕跡が残っていた。
「こりゃ酷いな……」
「うむ、セイラのいた地域であるのは間違いないであろう。ライラとガルドを連れてくるべきじゃったか……?いや、国の守りの要として置いておく必要があるしの……困った物じゃ」
「ふくの使う元素魔法は何故か吸収されないしな。どうする?逃げに徹するか?」
「あり得ぬの。わしは魔物のを倒し、民を……お前の作った世界を守る役目があるのじゃ。最近はそのために来たのではないかと思うておる。玉藻が生きられなかった分、わしが……」
「……そうだね。それに、もしかしたらアイツらが【太陽】を強くしたら、魔物に対して何かチカラを手にするかもしれないし、頑張ろっか!」
元気付けようと気を遣うヴォルフに微笑み、頭を撫で、首周りのもふもふに顔を埋める。
「ありがとう、大好きじゃ……」
ふくはヴォルフに聴こえないような声で呟いた。
それはヴォルフの耳にはしっかりと届いており、聴こえないように呟いたことにも気付いており、あえて表情や仕草に出さないようにしたのであった。
しばらく歩いて探索していると洞窟を発見する二人。
看板のようなものが建てられてあり、それには文字が描いてあった。
「なんじゃ?この言葉は……?」
「……炭鉱らしいよ?」
「ぼるふは分かるのかの?」
「多少は。でも、文字を扱うのは稀な種族だよ。もしかしたらふくや犬っころ、ニャンコ、ツノマルみたいにこの世界に落とされたニンゲンがいるかもしれないね」
「……綱彦じゃ。まあ、死んだやつは良い……。そうか……別にわしらだけの特別なものではないじゃろうの」
「ふくは特別だよ?」
ヴォルフがふくのことを特別扱いすることに疑問に思い、首を傾げる。
「この世界に来たニンゲンはこの世界のものを食べると獣人になるんだ。えっと、草を食べたら草食動物になるし、肉を食べたら肉食動物になる……みたいな?」
「……なんじゃそれは。……キノコを食べたらどうなるのじゃ?」
「キノコ……?うーん……鹿?多分なんでも食べられるやつになるんじゃないの?」
ふくはそれを聴き、安心すると共にもう一つの疑問を思い浮かべた。
「わしはこの世界で初めて口にしたのは水じゃが……これは食べ物ではないから変化しなかったのかの?」
「きっとそうだろうね。ふくと出会った時はまだニンゲンだったし、最初に食べたのはオレの血だよ。だから、神に近い存在になったんだと思う」
「ぼるふの血が最初の食事となったのか……。まあ良い、お前とこうして二人で歩けるのじゃ。感謝しておるぞ?」
「えへへ……嬉しいや」
「……なんじゃ、気持ち悪い笑いをしおって」
「えぇ……!?」
ふくはヴォルフの頬に軽く口付けをする。
突然のことでボーっとしていると先を歩いていたふくが振り返る。
「何をしておる。早く行くのじゃ」
「ま、待ってよ!」
先々進むふくの後を走って追いかけるヴォルフ。
彼の速さなら直ぐに追いつくので問題はなかった。
坑道のなかは非常に暗くふくの目をもってしても視認することが不可能であった。
「『光よ、周りを照らせ』」
ふくが詠唱をすると坑道の中に配置された石が光り始めた。
自分の周りだけを明るくする予定だったが、突然石が共鳴したことで戸惑っていると、ヴォルフがふくの手を握る。
「大丈夫。これは魔道具だよ。【光】の魔法や【光源】の魔法で反応する種類のものだと思う。鳥人族はこんなものまで作っていたのか……」
「奴らは鳥目じゃろ?鳥は闇を見ることができぬと聞いたことがあるのじゃ」
「あれはね、ニワトリ位だけだよ。他の鳥は多少苦手意識はあるけど夜に飛ぶことができる。ニワトリは夜は見えないから眠るだけなんだよ。夜中にハトが鳴いたりするでしょ?」
「そ、そうじゃったのか……!?」
ふくが驚くとヴォルフは頷き、鳥人族は夜でも動くことができる種族であることを同時に分からせられる。
明るくなった坑道を見渡すと、どす黒い靄の影響が及んでおり、設備は殆ど朽ちて使えなくなっていた。
光を放つ魔道具も所々侵食されドロドロに溶けた跡があり、それは使い物にならないものになっている。
坑道を進んでいき、広い場所に出てくる。
それまでの坑道のような風景とは違い遺跡のような広大な採掘場であった。
やはりと言うべきか、どす黒い靄は採掘場にも侵食は進んでおり、靄も釜場に溜まっており、侵入することを拒んでいるようだった。
「『浄化の光よ、悪き塊を打ち払え』」
ふくは豆粒のような光を採掘場に投げ入れ、爆散させる。
全ての靄は浄化の光に打ち払われ消滅すると、漸く採掘場に入ることができるようになり、ヴォルフに跨る。
「さあ、ミスリルを手に入れてとっとと戻るのじゃ!」
「ミスリルってこれの事かい?」
「「!!?」」
穴の底から声がし、二人は臨戦態勢をとる。
カツカツとした音が採掘場の壁を反響し、ふくはゴクリと唾を飲み込む。
「返事もしてくれないのか……。さっきの光は凄かったね。ボクらの成功者、【新人類】が作った黒い靄を簡単に打ち消すとは……。キミたちは一体何者?」
「……お前こそ何者じゃ?わしらの国に何の用じゃ!」
「おおっ!絶滅危惧種の言葉『~じゃ』だ!ボクらのいた時代には、もう聴くことができないからね。感動モノだよ!」
一人で盛り上がっている【それ】を他所に、ヴォルフは絶対零度の冷気で採掘場ごと、凍らせる。
恐るべき速さで凍らせ、一瞬でも魔力による防御が遅ければふくでも凍る程の攻撃だった。
ここはかつて鳥人族が統治していた場所であり、大地の至る所が黒く蝕まれていた。
魔物のコアである魔障石から出たどす黒い靄に大地が侵された証でもあり、至る所に生活があった痕跡が残っていた。
「こりゃ酷いな……」
「うむ、セイラのいた地域であるのは間違いないであろう。ライラとガルドを連れてくるべきじゃったか……?いや、国の守りの要として置いておく必要があるしの……困った物じゃ」
「ふくの使う元素魔法は何故か吸収されないしな。どうする?逃げに徹するか?」
「あり得ぬの。わしは魔物のを倒し、民を……お前の作った世界を守る役目があるのじゃ。最近はそのために来たのではないかと思うておる。玉藻が生きられなかった分、わしが……」
「……そうだね。それに、もしかしたらアイツらが【太陽】を強くしたら、魔物に対して何かチカラを手にするかもしれないし、頑張ろっか!」
元気付けようと気を遣うヴォルフに微笑み、頭を撫で、首周りのもふもふに顔を埋める。
「ありがとう、大好きじゃ……」
ふくはヴォルフに聴こえないような声で呟いた。
それはヴォルフの耳にはしっかりと届いており、聴こえないように呟いたことにも気付いており、あえて表情や仕草に出さないようにしたのであった。
しばらく歩いて探索していると洞窟を発見する二人。
看板のようなものが建てられてあり、それには文字が描いてあった。
「なんじゃ?この言葉は……?」
「……炭鉱らしいよ?」
「ぼるふは分かるのかの?」
「多少は。でも、文字を扱うのは稀な種族だよ。もしかしたらふくや犬っころ、ニャンコ、ツノマルみたいにこの世界に落とされたニンゲンがいるかもしれないね」
「……綱彦じゃ。まあ、死んだやつは良い……。そうか……別にわしらだけの特別なものではないじゃろうの」
「ふくは特別だよ?」
ヴォルフがふくのことを特別扱いすることに疑問に思い、首を傾げる。
「この世界に来たニンゲンはこの世界のものを食べると獣人になるんだ。えっと、草を食べたら草食動物になるし、肉を食べたら肉食動物になる……みたいな?」
「……なんじゃそれは。……キノコを食べたらどうなるのじゃ?」
「キノコ……?うーん……鹿?多分なんでも食べられるやつになるんじゃないの?」
ふくはそれを聴き、安心すると共にもう一つの疑問を思い浮かべた。
「わしはこの世界で初めて口にしたのは水じゃが……これは食べ物ではないから変化しなかったのかの?」
「きっとそうだろうね。ふくと出会った時はまだニンゲンだったし、最初に食べたのはオレの血だよ。だから、神に近い存在になったんだと思う」
「ぼるふの血が最初の食事となったのか……。まあ良い、お前とこうして二人で歩けるのじゃ。感謝しておるぞ?」
「えへへ……嬉しいや」
「……なんじゃ、気持ち悪い笑いをしおって」
「えぇ……!?」
ふくはヴォルフの頬に軽く口付けをする。
突然のことでボーっとしていると先を歩いていたふくが振り返る。
「何をしておる。早く行くのじゃ」
「ま、待ってよ!」
先々進むふくの後を走って追いかけるヴォルフ。
彼の速さなら直ぐに追いつくので問題はなかった。
坑道のなかは非常に暗くふくの目をもってしても視認することが不可能であった。
「『光よ、周りを照らせ』」
ふくが詠唱をすると坑道の中に配置された石が光り始めた。
自分の周りだけを明るくする予定だったが、突然石が共鳴したことで戸惑っていると、ヴォルフがふくの手を握る。
「大丈夫。これは魔道具だよ。【光】の魔法や【光源】の魔法で反応する種類のものだと思う。鳥人族はこんなものまで作っていたのか……」
「奴らは鳥目じゃろ?鳥は闇を見ることができぬと聞いたことがあるのじゃ」
「あれはね、ニワトリ位だけだよ。他の鳥は多少苦手意識はあるけど夜に飛ぶことができる。ニワトリは夜は見えないから眠るだけなんだよ。夜中にハトが鳴いたりするでしょ?」
「そ、そうじゃったのか……!?」
ふくが驚くとヴォルフは頷き、鳥人族は夜でも動くことができる種族であることを同時に分からせられる。
明るくなった坑道を見渡すと、どす黒い靄の影響が及んでおり、設備は殆ど朽ちて使えなくなっていた。
光を放つ魔道具も所々侵食されドロドロに溶けた跡があり、それは使い物にならないものになっている。
坑道を進んでいき、広い場所に出てくる。
それまでの坑道のような風景とは違い遺跡のような広大な採掘場であった。
やはりと言うべきか、どす黒い靄は採掘場にも侵食は進んでおり、靄も釜場に溜まっており、侵入することを拒んでいるようだった。
「『浄化の光よ、悪き塊を打ち払え』」
ふくは豆粒のような光を採掘場に投げ入れ、爆散させる。
全ての靄は浄化の光に打ち払われ消滅すると、漸く採掘場に入ることができるようになり、ヴォルフに跨る。
「さあ、ミスリルを手に入れてとっとと戻るのじゃ!」
「ミスリルってこれの事かい?」
「「!!?」」
穴の底から声がし、二人は臨戦態勢をとる。
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「返事もしてくれないのか……。さっきの光は凄かったね。ボクらの成功者、【新人類】が作った黒い靄を簡単に打ち消すとは……。キミたちは一体何者?」
「……お前こそ何者じゃ?わしらの国に何の用じゃ!」
「おおっ!絶滅危惧種の言葉『~じゃ』だ!ボクらのいた時代には、もう聴くことができないからね。感動モノだよ!」
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