キツネの女王

わんころ餅

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空に浮かぶ島なのじゃ

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 ふくたちが大穴にたどり着くと、異様な光景が広がる。
 大穴の上空に空に浮かぶ島があり、更に上空にも島があった。
 空を見上げていたヴォルフが何かを感じたのかソワソワする。

「どうしたのじゃ?」

「あの上の島にオレの……【太陽】の魔道具がある」

「ふむ……わしもその下の大きな島に魔法の力を感じるの」

「気に入っていただけたかな?」

 二人は振り返ると、ライラとガルド、ポチおとにゃん、そしてウルが立っていた。
 どうやら二つの浮遊島は五人のやった事だと確信する。
 ウルが前に出て、二つの石を取り出す。

「こちらがレオン様。こちらがコロン様の石です。レオン様は土の魔法をコロン様は島を浮かせる魔法を協力してくれました」

「それをオイラやにゃんさんが【結合】や【変圧】で土を硬く結びつけたよ!」

「ウチも表面の硬度を上げるために火の魔法を使ったよ!」

「私は飲み水の確保をするための水を作った」

「「「「「二人の王が住まう土地をつくらせてもらいました!!」」」」」

 突然二人の住居が出来たと言われ、ふくは困惑する。
 ポチおが前に出て説明をする。

「ってのは建前で……魔道具を使用するにはふく様かヴォルフ様の魔力量でないと発動できないからって事と、その大事な物を護れるのは二人しかいないので、普段から誰にも入られないようにするため、浮き島にしたんだ」

「伝説の聖なる剣のように島に剣(魔道具)を据えて聖なる泉を作り出す……そんな再現です」

「そうか……ならばぼるふ。あそこまで行くのじゃ!」

 ふくはヴォルフの上に跨ると、ヴォルフは走って浮き島に向かう。
 流石のヴォルフでも大穴を飛び越える事は出来ないため、氷の足場を次々と作り出して踏み台にして跳んでいく。
 あっという間に浮き島に到着し、ポツンと一軒屋が建っており、二人で生活するには大きい家であった。
 そして、家の側には【聖泉】の魔道具が置いてあった。
 ふくとヴォルフは魔道具に手を翳し、魔力を込める。
 お互いの魔力を半分ずつ入れることによって、勢いよく水が噴き出る音がした。
 ふくたちのいるところには水が湧き出ておらず、音のする場所に向かって歩く。
 すると、島から外を見ると、大穴に向かって滝の様に水が落ちていた。
 その水量は非常に多く、外から見ると水の柱が立っていた。
 その圧倒的な光景を眺めていると、ライラたちも浮き島に乗り込んでいた。

「どうやって来たのじゃ?」

「ヒトの話は最後まで聞いてよ。魔道具で移動できる様にしているんだよ」

「そういうのは最初に言うのじゃ」

 浮き島から眺める町の姿はとても小さく、ジオラマの様であった。

「凄いの……!町があんなに小さいのじゃ……!では、あの島はどうやっていくのじゃ?」

 ふくは指を上に向けて【太陽】の魔道具がある浮き島に指を指す。

「ああ、それは行けないよ。飛ばすだけ飛ばしていけない様にしたんだ。あれは魔物に壊されたら世界が終わっちゃうし、知らないヒトが触って止まってしまってもいけないから」

「そうか……では、行く方法を調べるのじゃ」

「え!?ヒトの話聞いていた!?」

 ふくは書庫へと向かうため、目を閉じたのだった。

 §

 目を開けるといつもの書庫であり、ふくは『魔法大全』を手に取り、ページを開く。

「どれどれ……遠くの場所に行く魔法は何かないかの――のわっ!??!」

 ふくが呟いた事をきっかけにページが勝手に捲られていく。
 そして、ピタリと止まり、恐る恐るそれを見る。

「……【瞬転】。瞬間的に移動をする魔法。人数制限はなく、物も同時に運ぶことができる。超高等魔法の一つ……。移動するのに制限が殆ど無いものなのじゃな」

 ふくは本を閉じ、棚に戻す。
 基本的に本や書物を見たからと言ってその魔法が使えることはない。
 生まれ持った魔法を自由自在に操ることができること自体が難しく、他の魔法を覚えている余裕はないのだ。
 ふくが簡単に他の魔法を扱うことができるのは他ならぬ書庫の魔法【森羅万象】のおかげである。
 この魔法で『なんでも知ることができる』という破格の性能で他の魔法を操るどころか、その魔法を専門としているヒトよりも強く、早く、柔軟に使えることができている。
 この魔法がなければ、ふくはこの世界で生き残る事は出来なかった。
 ふくが生き残り、この魔法を手に入れられたのは紛れもなくヴォルフだった。

「……ぼるふは世界の生き物を作ったと言っておったが……。わしは……ぼるふの魔法を持っておったのじゃな……」

 お腹に手を当て、この世界に来た時のことを思い出す。
 ふくは愛おしそうにお腹を摩って目を閉じた。

 §

 ふくが目を覚ますとポチおが目の前にいた。

「ふく様?話は聞いてる?」

「聴いてないのじゃ。では皆の者わしに触れるのじゃ」

「えぇ……」

 何処までも話を聴こうとしないふくにポチおはガックリと方を落とし、渋々ふくの肩に手を当てる。
 全員の手が触れた事を確認すると、指をパチンと鳴らす。
 全員の視界がグルンと回り、戻ると、見たことの無い場所に立っていた。

「め、目が回りそうになっちゃった……!」

「頭ぐるぐる……」

「うぇ……何この魔法……」

「どっかで見たことある魔法だな」

「これは【瞬転】の魔法じゃ。行きたいところに一瞬で飛んでいける魔法じゃ」

 そう言うとヴォルフはニコニコしており、他のヒトは目が点になっていた。
 瞬間移動の魔法はこの世界で使い手が一人もいない魔法であり、それを知っているライラはジト目になるしかなかった。
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