キツネの女王

わんころ餅

文字の大きさ
108 / 108

『えぴろおぐ』なのじゎ

しおりを挟む
 ここは地底世界にある国。
 二度国が崩壊しかけ、立ち直った国であり、国民のほとんどがケモノの姿をしている。
 犬、猫、ネズミ、ウサギと様々な種族が手を組んで作り上げた国でお互いが助け合う理想の国である。
 以前は全てを使い物にならない暗黒に染める魔物が存在していたが、この国の王と女王の二人によって、根絶やしにした。
 王の名はヴォルフ。
 彼はこの世界を作り上げた神であり、元々この国の王であった。
 しかし、彼の間違えた政策で国は荒れ果て、崩壊寸前であった。
 そんな時、一人の人間の女がこの世界に堕ち、彼と手を取り合って国づくりをしていった。
 人間の女はヴォルフの力を受け継ぎ、姿をキツネの女へと変貌させた。
 神を調伏し、手懐け、世界を回り、理を知った。
 初めての国はネズミと手を取り合うも、邪な存在である魔物に国を半壊させられ、建て直す為犬族と野狐族と手を取り合う。
 しかし、野狐族の野望によりキツネの女は操られ、ヴォルフが国を守る要となった。
 ヴォルフは野狐族からキツネの女を取り戻し、再び旅に出る。ウサギ族を連れ、竜人族と出会い、魔物を倒す鍵を見つけ、攻勢に転じた。
 犬族と猫族の男女と竜人族、鳥人族により魔道具を発明し、【太陽】は輝きを取り戻す。
 ヴォルフとキツネの女は手を取り合い、大穴より這い出る招かれざる客人を追い返し、大穴を聖なる力で閉じた。
 キツネの女はヴォルフと共に魔力を共鳴させ、『豊穣の儀』を行い、この国に緑と新たな命を生み出したのだった。


「以上がこの国の女王であるふく様のお話です。ここ、テストに出るのでしっかりと覚えておくように。それと、この学園最初の生徒であるみんなに一つ課題があ――」

 ――キーンコーンカーンコーン

 授業の終了を知らせる鐘が響き渡り、生徒たちは立ち上がって帰宅の準備をする。

「あ、ちょっと……!まだ途中なのだけど……!!」

「先生、授業の時間は終わったので帰ります」

「そーですよ!あたしたちはこれから魔獣狩りに大人と出掛けるんだから!」

「……すみません」

 生徒たちはそう言ってそそくさと教室を出ていった。
 一人教室の教壇で佇む猫族の教師。
 彼女の名は『にゃん』。
 この学園『フォクノナティア学園』の教師で主に文字と歴史を教えている。
 文字は彼女の元の国である『ニホン語』を教え、平仮名とカタカナを生徒に教えていた。
 それはこの国の女王『ふく』の生まれ故郷が『日本』である事が一番の要因だった。
 文字の普及率はそれほど高くはないが、書物に魔法を残したり、魔道具の制作法などを残したりと色々役に立っている。
 ポチおは魔道具の発明と製作を行っており、学園の一角で生徒に制作法を教えていた。
 基本的に高出力の魔道具は作れないので、彼の指導を受けるヒトはそれほど多くはない。
 それでも、彼の作った魔道具は町のインフラを担っているため、技師にとっては憧れの的になっていた。
 ライラは魔法の根源や発動の訓練を担う教師に抜擢され、活躍していた。
 彼女の授業はとても人気であり、特に対人戦闘の訓練が人気である。
 娘のレプレも学園に入学しており、日々訓練に励んでいるようだった。
 ガルドはヴォルフと共に近衛師団を結成し、竜騎士として名を馳せていた。
 唯一の竜人族という事もあり、彼と手合わせをしたがる同僚が多く、戦闘技術を上げていた。
 ウルはヴォルフと離れ、衣料品の製作に携わっていた。
 ポチおの発明で従来の糸にミスリルを組み込ませる事で簡易的な鎧のような服が出来上がり、学園の制服に採用されている。
 そして、ガブは学園で生活しており、学業が終わると王の住む浮き島へと戻り、ヴォルフから戦闘訓練を受け、ふくから政治を学ぶのであった。

 ふくとヴォルフは浮き島にある自宅から基本的に出てこない。
 執務スペースがあるため、そこで書類などを処理していた。
 因みにヴォルフは基本的に寝てばかりでいるが、魔獣や龍が襲来した時、彼が先陣を切って出る。
 彼の能力や魔法が強いため、近衛師団の出る幕がないのが残念である。
 
 ふくは書類を片付け終わり、背伸びをする。
 ヴォルフがそれを察して、側に寄る。

「ふく?外に出よっか?」

「そうじゃの。少しくたびれてしもうた」

 昼間の【太陽】はとても輝いており、ふくは目を細めて光の加減を制御する。
 次第に光に順応し、島の淵から町を眺める。

「のう」

「?」

「学園の中で優秀なヒトを選抜して、鳥族の大穴を封じ込めようと思っておる。じゃが、わしやぼるふは忙しくて叶わぬ。生徒だけで行かせても良いかの……?」

「……犬っころと猫ちゃん連れて行けば大丈夫でしょ?アイツらまた変な魔道具作ってるみたいだし。それも、魔物を斃す事ができる機能付きだって」

 ふくは難しい顔をするが、ヴォルフの信頼を得ているポチおとにゃんのことを聴き、ため息を吐く。

「そうじゃの。心配してもしょうがないじゃろうな。あとは上手く彼奴らがやってくれる事を期待しようかの」

「そうだよ。ずっとオレらに頼りっぱなしだと、オレらがいない時に国が壊れてしまうしな」

「うむ。にゃんにはもう伝えておるから、いずれ報告が来るじゃろう。一先ず、わしは休憩じゃ――んむ」

 ヴォルフはふくに口付けをし、ふくもそれに応える。

 ふくの冒険は女王となった事で終わりを告げた。
 しかし、彼女の国をより良くしていきたいという気持ちは、国民にしっかりと伝わっており、国は発展を続けた。
 彼女が来なければ、もっと早くにこの世界が滅んでいたかもしれなかったと考えると、運命だったのかとふくは考える。
 これまでも、これからもふくは『キツネの女王』として、国民の先頭に立って国を発展させるのであった。


「ふく?」

「ぼるふ。わしはお前に会えて良かったの。大好きじゃ」

「えへへ……嬉しい!」

「なんじゃ、気持ち悪い」

「えぇ……」

 キツネの女王 完



 あとがき
 
 ここまでご愛読ありがとうございました。
 次回作も製作中ですので気長にお待ちくださいね!
 応援してくれた方、たくさん読んでくれた方、とても励みになりました。
 末筆ではありますが、お礼を申し上げます。
 ありがとうございました!
 
                  わんころ餅
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

処理中です...