選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

文字の大きさ
13 / 88

13.知らない真実

しおりを挟む
みんな食事が終えると、またソファー席に移動して、昨日と同じように座ると祖父が話し始めた。

「ナタリー、話せる範囲でいい。
今までどのように過ごしてきたのか、君の事を聞かせて貰えないかい?」

そういわれてどう答えればいいのか戸惑いながら私は今までの事を話した。
途中何を言えばいいのか迷うと、お祖父様が質問し、続きを促してくれる。
途中おばあさまにも質問されながら話していく。

もういいのか、話が止まり、お祖父様とお祖母様が震えている気がする。
あまりの私の不甲斐なさに呆れていらっしゃるのかしら……

呆れられていても仕方がない。
貴族なのにその責任さえ果たせていない。

社交界にも出る事ができていないし、辛うじてマナー教育は終えてはいるけれどそれを活かすこともできていない。
それだけ教育費も無駄にしてしまっているという事。

考えれば考えるほど自分が情けない。

そう考えているとお祖父様が口を開いた。

「ルド!」

あぁ………執事に頼んで私は家に送り返されるのだろうか。
こんな娘、マリアの子ではないと罵られるかしら。
それとも………

ギュッと目をつむり、お祖父様の次の言葉を待っていると私の予想とは反した言葉が紡がれる。

「今すぐにパレドス家の実情を調べてくれ。
領地経営から財政状況、使用人たちに後妻の女にその娘。すべてに関して調べてくれ。
それからナタリーがいない事で問題が起こっているのなら、我が家で保護していると伝えてくれ。必要なさそうなら伝える必要はない」

その言葉に反応してルドさんはすぐに部屋を出ていく。
どういう事だろうと祖父を見ると、私の覚悟した呆れたような視線ではなく、変わらず優しい視線を向けてくれていた。

「ナタリー、これからは私たちの話を少し聞いてもらえるかい?」

そう言って話された内容は私が覚悟していた内容とはまったく異なるものだった。

義母と籍を入れると言ったとき、猛反対してくれていたこと。
後妻を迎えるつもりなら私は引き取ると伝えたこと。
でも、私が新しい母を望んでいると聞いたから許したのだという事。

母が亡くなってからもずっと祖父母は手紙を送り続けていてくれていたこと。
母の月命日には流行りのケーキを調べては送り、領地で取れる新鮮なフルーツも一緒に送ってくれていたこと。

誕生日には毎年ドレスを送ってくれていたこと。

返ってくることはなかったがそれでも月に2度は手紙を送っていたこと。
そのたびに逢いたい旨を書いていたという事。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!

さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」 「はい、愛しています」 「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」 「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」 「え……?」 「さようなら、どうかお元気で」  愛しているから身を引きます。 *全22話【執筆済み】です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/09/12 ※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください! 2021/09/20  

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

さこの
恋愛
恋がしたい。 ウィルフレッド殿下が言った… それではどうぞ、美しい恋をしてください。 婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました! 話の視点が回毎に変わることがあります。 緩い設定です。二十話程です。 本編+番外編の別視点

処理中です...