選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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26.デビューの夜

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それからルー伯父様の息子さんたちともあれから何度も食事をともにした。長男のジュード兄様と次男のロドル兄様。ジュード兄様は3か月後に結婚式を控えており、ロドル兄様は第1子が生まれたばかり。

それなのに二人とも暇を見つけては顔を見せにきてくれている。私を妹のようだと可愛がってくれ、ドレスを決めるときには「ナタリーにはこの色が似合う」と別の色を指差し、それぞれのドレスをプレゼントしてくれた。

これからは兄だと思って頼ってほしいと言ってくれる。

本当にこの家にいたら、私はダメになってしまうかもしれないと毎日思うのに、夜寝るときには、その日あったことを思い出しては笑ってしまう。

こんな幸せが私に訪れるなんて想像もしていなかった……



そしてこの家にきて1か月が経った日。
とある夜会に招待されており、みんなで出席することになった。

私はお祖父様とお祖母様が選んでくれたドレスを着て、ロドル兄様にエスコートされて参加している。ロドル兄様の奥様ミランダ姉様は子を生んだばかりで、夜会にはいけないからとロドル兄様がエスコートを買って出てくれたのだ。

私にとってデビューとなる夜会。
本当はもっと華やかな場でしたかったとお祖父様たちは悔しそうにしてくださったけど、こんなに安心できるパーティーがデビューでよかったと思ってしまう。

きっと何があっても大丈夫。だってみんなが一緒にいてくれるのだから。

飲み物を手に取り、談笑していた私の目に、ある人物の姿が入った。
私の身体は思わず震えだす。

恐怖なのか、怒りなのかわからない。
でもそんな私に気づき祖父母が背中をさすってくれる。
まるで何も不安はない。心配するなというように。

私が父の姿に気付いたのにも関わらず、あちらが私に気付いた様子はない。それも仕方がない。
私たちが今いる場所は侯爵家から許されたものしか入ることができない2階スペース。

簡易な休憩室も兼ねた密談場所になっているのだと教えてもらった。

ここからは階下の様子を覗くことができる。

父の隣には義母ヨランダの姿があり、その後ろにはグレン様にエスコートされる義姉アルバの姿があった。

ヨランダとアルバはどちらも胸元が深く空いたドレスを着ており、そこからは胸の筋が全て見えるようなデザインになっており、周りのご婦人方は顔を顰めている。

私はもうあんな二人を義母と義姉なんて呼ばなかった。
私が二人をそう呼ぶたびに祖父母が悲しい顔をするのだから。
これが私があの家から決別する第1歩だった。
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