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53.毒を盛ったのは
しおりを挟む「すみません、すみません………
申し訳ございません……
ナタリア様に…ナタリア様に毒を持ったのは………
ヨランダ様でありアルバ様であり、そしてその2人に命令された私です。
本当に、本当に、大変申し訳ございませんでしたぁ……」
危機迫るその証言はどこか疑わしく思ってしまうほどその男の状況は異常だった。
その男の異常さに周りは心配そうに見ている中、ヨランダとアルバだけは憎々しげにその男の方を見ていた。
「そうですか。
お二人に依頼されてあなたも殺人未遂に加担していたと自供するのですね」
裁判長はさらに続ける。
「そうです。本当に申し訳ございません。
私は男爵家の出身。
ヨランダ様とは幼い頃から付き合いがありました。
そして私はヨランダ様のことを愛しておりました。
そのためにヨランダ様の犯罪に加担してしまった。今思えばどうしてそんなことをしてしまったのか後悔してもしきれません。
ですがナタリア様まで殺してしまうことがなかったと、そこだけは安堵しております。
早めに皆様が気付いて下さったことに感謝しております。
マリア・パレドス様だけでなく、ナタリア様の命まで奪ってしまっていたのなら私は償っても償いきれません」
突然の証言に裁判所がざわざわと大きなどよめきを上げた。
母を殺した容疑者として、ヨランダとアルバが上がっていたのはもちろんだが、けれどそれを自分が関わっているだなんて発言が飛び出すだなんて。
「ほう、これはまた面白い話が出てきましたね。
それではマリア・パレドス殺害についても教えていただきましょうか」
「はい…………
成人すると同時に家を出された私は医師として、平民街で仕事をしていました。その頃には付き合いもなく、ヨランダ様がどこにいるのかも知りませんでした。しかしたまたま平民街で会う事があり、食事を共にしてからは身体の付き合いもありました。その時、愛してもいない男と婚約させられていると話していて、手に持っていたのがアルジラの花だったんです。
彼女がその時その植物が毒をもっていると知っていたかはわかりません。でも私がその毒を知っていたから過剰反応してしまったんです。その花を奪いとり、”死のうとなんてしちゃだめだ”そう言いました。そしてアルジラの毒の危険について教えました。
それからしばらくして婚約は破棄され、パレドス子爵家の子どもを身籠っていると聞かされました。どうしてそんなことになっているのか。ヨランダ様はいつも私に会うときは私しか頼れる人がいないと言っていたのに、愛しているのは私だけではないのかと困惑しました。でも子どもまで身籠っているのならもうどうしようもできない。そう思ってもう会うのはやめようと。
ですが、同じ平民街で暮らしているとどうしても会ってしまう事があり、その時に泣きながら私にはキージャンしかいないと言われると、応えてしまった。意思が弱かったんです。そのせいで………」
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