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しおりを挟むパーティーから帰ったお父様はそのままの足で執務室に籠り、婚約破棄の書類や婚約破棄に伴う慰謝料請求書、援助金返済要求書などを作成したようです。あわせて、業務提携破棄の請求、店舗移転に伴う従業員の異動要請を執事に指示しておりました。1週間以内にドルマン侯爵領で行っていた20もの店舗を閉店し、その店舗は我が領や他領での開店を行うそうです。
そんなことを帰ってきてからやっている間にもドルマン侯爵が謝罪と称してきっとまたお父様を誑し込みにやってらっしゃいましたが、まず我が家の執事が入れてくれません。
一度目の侵入をかなり悔やんでいた執事が入れるわけがありません。
それにさすがにお父様もあんなことがあった後では泣き落としでも許してくれないと思います!……たぶん。
1時間くらいは粘っていたかと思いますが、諦めたのか帰って行かれたようです。
執事が「ロディ様の左頬が腫れ、不貞腐れていらっしゃいました」と言っていました。
まだ反省はしていないようなので、もういいのではないでしょうか。
翌朝には父が裁判所へ申請書類を提出しに行きました。
これであちらが婚約破棄の書類にサインさえすれば婚約破棄成立です。
あんなに多くの方がいらっしゃる前での婚約破棄宣言だったのでサインしない選択肢はないはずです!
なんだか憂鬱な婚約ではありましたが、困った婚約者程度に思っておりました。ですが、昨日のあれから大嫌いな元婚約者になってしまいましたので一日でも早く婚約破棄されることを願ってしまいます。
翌日馬車で貴族校へ向かい、学校近くで下ろしてもらうと、その先にはロディ様が立ってらっしゃいました。
その姿は目に入りましたが、私には関係のない方です。
そのまま目の前を過ぎようとすると私の名前が呼ばれます。
「サリー」
あら、私の名前覚えてらっしゃったのね。
7年間婚約していましたが、名前を呼ばれた記憶はございませんでした。
「ごきげんよう、ドルマン侯爵令息。大変申し訳ございませんが名前で呼ぶのはご遠慮いただけますか。周りから親しい仲と勘違いされてしまっては不愉快ですので」
「なっ、そ、そういう態度が、侯爵家にはふさわしくないんだ!」
「そうですか。しかし私すでに侯爵家とは何ら関りがございませんので、ふさわしくある必要がございません。」
「ま、まだ私たちは婚約関係にある!」
あんなに人前で堂々と婚約破棄を宣言しておいて恥ずかしげもなくこんなことを言えるだなんて、なんて小さい男なのかしら
「それは書類のみの話でございましょう。先日200名以上の皆様の前で私はロシェンカ男爵令嬢でしたか?あの方から婚約破棄を申し付けられました。その全てが証人とみなされます。その力は書類の効力に匹敵するものです。もしも、書類にサインしていないからまだ婚約関係だなんておっしゃるなら見当外れもいいところですわ」
「っ…………」
あきれた…本当にそんなこと思っていたのね。
そして私一人なら言い含められると思ってこんな時間にこんなところで待っていたのかしら。
本当に馬鹿にしてるわ…
「それでは失礼いたします。」
「まってく
「サリー、おはよう。聞いたわよ、”女性に婚約破棄された令嬢”。一躍時の人ね」
ドルマン侯爵令息が諦め悪くまだなにか言おうとしていると、同じクラスのアイシャが話しかけてます。
「アイシャおはよう。でも時の人になるのはごめんこうむりたいわ…」
「ふふふっ、だって女性に婚約破棄を言い渡されるなんて前代未聞でしょ?私もその場で見たかったわー。それにしても自分で婚約破棄すら言えない方ってなんなのかしら。それにご自身の家の財政状況さえご存じなかったのでしょう?そんな方と結婚する前に婚約破棄できてよかったわよね。
あら?お話し中でしたか?」
アイシャったら絶対確信犯よね。
ドルマン侯爵令息が俯いてプルプル震えていらっしゃるわ。でもアイシャのいうことはなに一つ間違っていないのだから仕方ないわよね。
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