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総帥、死亡する!
とても悲しいことだが、これは、事故である。
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クレムリンのシナリオはこうだ。 独逸帝国総帥は老人院や孤児院、また傷病兵の慰問を常に絶やさない。 独逸帝国は広大であり、病院や施設は星の数ほどある。 それを、計画を立てて1棟、1棟の全病室や施設の部屋を廻るのである。 とうぜん、寄付金持参である。 総帥は、見える福祉事業に熱心であった。 なぜなら、国民の同意を得やすいからだ。 不幸なヒトを、金を持って慰問する、それに反対する者はいなかった。 もちろん、金は税金である。 つまり、外出の多い総帥を傀儡国家で狙うのである。 詳しい話までは著者も把握していない。・・・・ 使えない秘書(総帥の遠い親戚らしいから、しかたなく雇っているのだ。)が、ドアを少し開けて、「本日は、フランス共和国にある、傷病兵の施設への慰問で、9時にクルマを廻しておきます。」 「うむ、わかった。」 使えない秘書が顔をドアを閉めて引っ込めた。 総帥は、そのたびに思うのだ、空母のお局士官が秘書に欲しい。 日本との和解が済んだら、あいつを首にして、あのお局士官を・・・・・総帥に遠慮なくモノをいったお局士官が、ご意見番として是非にでも欲しいのだ。 差しさわりの無いことしか、言わない使えない秘書を、絶対に交換してやると決意を新たにする総帥である。 ん、そろそろ時間か。 総帥はクルマに向かった。 クルマは独逸帝国ご自慢の装甲リムジンだが、あれ今日は違うのか。 運転手が、「総帥、いつものクルマがエンジントラブルで、臨時のリムジンですが。」 「うむ、それなら仕方がない。」 と総帥は、違うリムジンに乗る。 総帥のクルマの前後を独逸帝国近衛機動隊の側車付きのバイクが警固する。 前に2台、後ろに2台だ。 運転手の他に、リムジンには手土産を持つ係りの武官が同乗した。 そして、バイクの後ろに装甲指揮戦闘車が続く。 万一のとき、軍を指揮するための無線指令車である。 独逸帝国旗をたなびかせてクルマは独逸帝国国境をすぎて、フランス共和国に入った。 傷病兵は、テロなどで、傷を負った兵隊達である。 独逸帝国がフランスへ進攻するまでは、テロが頻発したのだ。 さすがに、Ⅳ号戦車がフランスの街角に居座るとテロも、なりを潜めた。 戦車相手は、テロも分がわるいからだ。 現在は、テロも影を薄めて平穏なフランス共和国である。 やがて、車列は高架に差し掛かる。 鉄道線路の陸橋の下を通過するのだ。 そのころ、線路の上をばく進する貨物列車があった。 積荷は材木である。 その材木の貨車を6両引いて、蒸気機関車が蒸気を上げて進んでいる。 すこし勾配があるので、シュポ、シュポとエントツから白煙が噴出して、線路に動輪の滑り止めの砂がまかれる。 日本と違い諸外国の鉄道ダイアは心が大きい。 つまり、数時間の遅れなど、範囲内である。 途中の駅で、タンクに給水するのに、ジャマが入り遅れた。 まあ、いい、機関士は、いつもの事だと、汽笛を鳴らしながら思う。 なんで、タンクに水を入れようとしたら、給水塔がカラなんだ。 おかげで、30分余分にかかってしまった。 蒸気機関車は石炭より水が大切である。 けっこう水を使うのである。 テンダーは石炭が上にのせてあるが、ほとんど水タンクだ。 最近は独逸帝国からデーゼル機関車が入ってきた。 すごく使いやすい、石炭がいらない、水もいらない。 軽油がいるだけだ。 そして、助手がいらない。 ススで、服が汚れない、顔にススが付かない。 しかし、デーゼルは特急用に使われて、貨物には廻ってこない、機関士は顔のススを拭った。 もうじき陸橋だ。 ふと、あたりを見る。 眼下の道路に、リムジンが走ってる。 警備の側車付きバイクがいるから、VIPでも乗ってるのかな。 ・・・・ ガタンと衝撃だ。 トッサにブレーキを掛ける。 しかし、蒸気機関車は80トンあまり重さがあるのだ。 かんたんには停まらない。 「オイ、緊急の合図だ、オレは緊急ブレーキを掛ける。」 助手に機関士が叫ぶ。 「ボーーッ、ボボボッ。」汽笛がむなしく叫んだ。 線路から機関車の先輪が外れた。 「いかん、脱線するぞ。」 「何かにつかまれ。」 記憶が飛んだ。 意識が飛んだ。・・・・・・
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