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シュリーマンの行方?
逃げのびたシュリーマン。
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ここは、独逸帝国ではない。 ローランドの国内だ。 いま、1台の小型セダンが走っている。 あれ、どこかで見たような。 そうだ、独逸帝国ベルリンの総帥府から地下道を抜けて、農家の艤装した倉庫から逃走したセダンだ。 ニタニタ笑った、初老のオトコが運転している。 ローランド国内は平穏で、軍人や警察官の姿はほとんど見ない。 ローランドでは、あまり見かけない独逸帝国製のセダンを物珍しそうに見る市民はいるが、不審に思うわけでもない。 なんで、性能がいい日本のクルマを買わないんだ程度の様子である。 やがて、小型セダンはガソリンスタンドで給油すると、店員に道を聞いて北の方向に走っていった。 ソ連に入ればシュリーマンも再起の可能性があるのだ。 シュリーマンは総帥として独逸帝国の国防から通信網、暗号など把握していたのだ。 シュリーマンは手提げカバンに主な情報をソ連に手土産とするべく持ってきたのである。 手土産なしでは、ソ連クレムリンもシュリーマンを粗雑に扱うだろうからだ。 抜け目のないシュリーマンである。 自国の情報を手土産にするなど愛国心のカケラも無いオトコであった。 独逸帝国はシュリーマン事件を他国に報道などしなかった、いやできなかった。 自国のトップが暗殺されて、その事件に、次のトップが関わっていたなど恥の上塗りでしかないのだ。 それで、ローランドへはシュリーマン逃走の手配など出来なかったのだ。 それに、親交国でもないからだ。 ローランドやラィツランドは独逸帝国とソ連の緩衝(互いに接していないほうが、国どうしはうまくいくのである。)になっていたのである。 それで、シュリーマンは、まんまとローランドのソ連国境へとやってきたのだ。 最後の関門だ。 ローランドとソ連の国境は独逸帝国とローランドより厳重であった。 なぜなら、独逸帝国はローランドへ進攻したことは無い。 しかし、ソ連は以前から狙っており、日本の介入でストップをかけたほどである。 それで、ローランドとソ連国境は鉄条網が張り巡らされて、アリの這い出るスキもないのだ。 定期的に巡回の兵もいるのである。 つまり、満州国とソ連やシナの国境と同じ程度であるのだ。 しかし、シュリーマンはアテがあるのか、平然とクルマを運転していた。 やがて、1軒の、ごく普通の農家に入っていった。 玄関前にクルマを止めると、玄関のドアに、トン トントン トン トントン と暗号みたいな信号を送る。 「どなたさまで。」 家の中から太い声だ。 「独逸帝国のシュリーマンだ。」 「お早い、お着きで。」 ヒゲづらのオトコが出迎える。 「とりあえず、前金だ。」 シュリーマンは袋に入れた金を渡した。 「ありがとうごぜえます。」 オトコは受け取る。 どうやら、オトコは工作員のようだ。 シュリーマンは、ヒヤヒヤの逃走劇に一段落ついたか、「ふう。」と言ってソファーに横になった。 「そうだ、ソ連への工作はできているか?」 「ヘイ、なんとか連絡はいたしやした。」 「ごくろう、そうか、やっとひと息つけそうだ。」 シュリーマンは寝不足からか、運転疲れか、やがてイビキをかいて寝てしまった。 ・・・ 数時間後、工作員に起こされたシュリーマンは、農家を工作員の案内で出発する。 やがて林の中の古井戸に案内された。 工作員が懐中電灯を渡した。 「あっしが、案内できるのは、ここまでです。」 「そうか、ごくろう。」といって残金を渡す。 工作員は、「ありがとうごぜいます。」といって受け取った。 シュリーマンは工作員の手伝いで、古井戸の下に降りていった。 底に横道が見えた。 シュリーマンは手土産のカバンを持ち、懐中電灯を点けた。 結構奥が深い。 行き止まりが見えない。 「まあ、いいか、ここは、行くしかない。」 そう納得したシュリーマンはソ連を目指して地下道を歩き出したのだ。
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