伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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キール軍港での駈け引き・・・

ドイツ海軍V日本海軍(英海軍は付録かよ・・・)

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 そして、潜行したままキール軍港へ向かう、マーガレット2号だ。
もちろん、それは日本海軍の優秀な潜水艦専門の航海士が居るから成せる技である。
 魚雷用に造ったジャイロを潜水艦用ジャイロコンパスとして魔改造した羅針盤があるから可能なことなのだ。
そのジャイロコンパスはマーガレット2号にも備えられている。
 その使い方を訓練がてら指導する1等航海士だ。
「アランキャツプ、そろそろ・・・」と、松本艦長が・・・
 「潜望鏡深度へ。」「アイアイサー。」
「深度20です。」
 潜望鏡が海面から・・・顔を出した。
おもむろに、キャプテンハットを後ろ前にする。
 そして、両側のレバーを倒す。
接眼レンズを覗くアラン艦長だ。
 潜望鏡が1周する。 そして、松本君と交代だ。
「おお、バッチリだな。」と、松本艦長が航海士を誉める。
 マーガレット2号は、キール軍港の信号灯台の正面へ・・・ドンピシャなのだった。

 「そうだ、潜望鏡カメラの用意だ。」と、アラン艦長が偵察カメラを準備である。
これは、ちくま2号の偵察の教訓から造られたカメラである。
 なんせ、ちくま2号の偵察では、スケッチだったのだ。
松本艦長は画才が、乏しいのだ・・・それで、カメラならとの要望が・・・
 しかし、当時のカメラはレンズも暗いし、フィルムの感度も低いのだ。
潜望鏡からの画像を記録するには・・・能力がなかったのだ。
 それで、ちくま2号には、間に合わなかったのだが・・・
明るいレンズと高感度フィルムが潜水艦用に日本光学で開発されたのである。
 ちなみに、マーガレット2号の潜望鏡は英国製でロス・ロンドン社製である。
松本中尉も覗いてみたが・・・なかなか、バカにできない見え味だそうだ。
 このマーガレット2号では、潜望鏡カメラと無線機、水中聴音器などの電子部品は日本製である。
魚雷を日本へ輸出する代わりに、日本が英国へ輸出したのである。

 「よし、キール軍港へ侵入を試みるぞ。」と、アラン艦長が決断する。
「5ノットで、深度30を維持だ。」と、指示を出す。
 「ソナー員は、スクリュー音を探知したら、即応だ。」と、注意喚起だ。
「いまのところ、推進音は聞こえません。」と、ソナー員が答える。
 ソナー員は2名で、片方が日本人だ。
航海士がキール軍港の見取り図から、マーガレット2号の現在地を予想する。
 「艦長、そろそろ深度が浅くなります。」
「機関停止だ。」「アイアイサー。」
 モーターの動力音が止む。
「だいぶ、港内へ侵入したぞ。」と、小声のアラン艦長だ。
 艦内が静かだと・・・声も小さくなるものだ。
「潜望鏡深度まで、あげろ。」と、アラン艦長が指示する。
 「空気弁、少し開け。」「ゴボ、ゴボ。」と、空気が出る音が聞こえる。
「深度10です。」と、深度計係が伝える。
 「よし。」と、アラン艦長が潜望鏡を廻す。
「なんだ、変なフネが居るぞ。」と、つぶやく艦長だ。
 「松本キャップ見るか?」と、潜望鏡を渡すアランだ。
「ふむ、あのフネか。」と、潜望鏡のレンズへ・・・
 「煙突がないぞ。」と、松本君だ。
「あれは、潜水艇じゃないか。」と、アランへ潜望鏡を渡す。
 「うむ、煙突が無いということは、潜水艇にまちがいないな。」「写真を撮るぞ。」と、カメラをセットする。
「パッシャーン。」と、シャツター音だ。
 ついづいて、数枚撮影する。

 「スクリュー音、近づきます。」「12時、方向です。」
「潜航しろ、深度30だ。」「アイアイサー。」「まだ、モーターはダメだぞ。」
 潜望鏡を収容する。
でないと、潜望鏡に船が当たるやもしれないからだ。
 やがて、潜水艦マーガレット2号の上を機関音とスクリュー音が通りすぎたのだった。
「ふう、ヒヤリだぜ。」と、アラン艦長が額の汗を拭いた。
 「音から、駆逐艦クラスだな。」と、日本軍のソナー員だ。
「なら、モータはしばらくダメだぞ。」と、松本君だ。
 ドイツの駆逐艦なら水中聴音器はあるだろう・・・なら、今は動くのはまずいのだ。
モーターを停めておいてよかったのだ。
 ドイツ軍でも、当時はアクテブソナー(音響探信儀)は開発中なのだ。
もっぱら、音を出して、その反射音で判断する、アクテブシナーは開発中なのである。
 それで、駆逐艦は音を聞くだけの水中聴音器のみだったのだ。
音を潜水艦が出さなかったら、発見されることはないのだ。
 「ソナー員。」「機関音などは聞こえません。」
「よし、モーター始動、5ノットまで加速しろ。」「アイアイサー。」
 マーガレット2号はキール軍港から脱出する航路へ・・・

 「水中聴音器には、何も聞こえないか。」「艦長殿、いまのところは・・」
「ふむ、引き続き、些細な音も聞き逃すなよ。」「不審なモノを見たとの目撃情報があったのだ。」
 駆逐艦艦長のアルベルト少佐がソナー員へ注意喚起だ。
英国のポーツマス軍港では、水兵の目撃は後からだったが・・・
 そこは、さすがというか・・・ドイツは危機管理が徹底しているようだ。
不審物の目撃の報告から即、駆逐艦での検索なのでから。
 油断ができないドイツ海軍のようである。
日本海軍の潜水艦乗りのカンで、危険を乗り切った英海軍のようだ。
 そうとは、知らない潜水艦マーガレット2号は、キール軍港の出口へさしかかったようである。
「艦長殿、もし潜望鏡なら敵の潜水艇ということも・・・」
 「そうだな、それで防潜網は張ってあるな。」
「ハイ、軍港の出口には、潜水艦が抜けられないように網を張るように指示をだしました。」
 「なら、いいんだ。」と、アルベルト少佐がニャリと・・・
「おそらく、英国の潜水艇だろう・・・、逃がさんぞ。」
 どうする? マーガレット2号。 どうする、松本君とアラン艦長!

 


 

 
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