60 / 253
声を出すなって、言われても・・・
パントマイムは難しいモノだ。
しおりを挟む
「いいか、声を絶対に出すなよ。」と、ハインリッヒ艇長が命令だ。
ここは、ドイツ海軍の潜水艇の中である。
「モーター止めろ。」と、ハインリッヒ艇長が小声で指示だ。
「シュル、シュル、シュル。」と、聞こえていたモーターが停まる。
機関員は、「ヤー。」と・・・「声を出すな。」と、ハインリッヒ艇長が小声で叫ぶ。
機関員は、うなづく。
やがて、ガソリンエンジンの英海軍警備艇の音が、「ブ~~~ン。」と、潜航艇の中でも聞こえる・・・
「いいか、絶対に声を出すなよ。」と、口へ指をあてて、沈黙の合図をするハインリッヒ艇長だ。
なぜなら、英海軍のフネは間違いなく潜水艇を検索していると確信できたからである。
捜索している警備艇と思われるフネの音が、だんだん大きくなるからだ。
まずぃぞ、発見されたら・・・水中機雷なんて兵器がある英海軍だ。
戦時ではないから、まさか攻撃は・・・いや、ここは軍事施設だ。
英海軍のポーツマス軍港という本拠地なんだ。
国際法上、不明な仮想敵には攻撃しても・・・それは、正当な国際行為である。
もし、ここでドイツ海軍が隠密理に偵察してると、明らかになれば・・・国際的な非難は避けられない。
だから、発見されない潜水艇での偵察なのである。
潜水艇内は電球が数個点灯している。
まあ、見えなくはないが・・・明るくもない。
蓄電池の節約だ。
蓄電池の電気はモーター推進に主に使うからである。
それで、薄暗がりで・・・ハインリッヒ艇長はパントマイム(手足のしぐさで言葉を示す。)で、音を出すなだ。
どうみても、軍港内だ海底までは深くない。
つまり、すこし上の海面で、英海軍の警備艇が・・・水中聴音器で潜水艇を捜索してるのだ。
これは、ヤバイのだ。 マジでヤバイのである。
こんなときは、どうすれば・・・そうだ、海底へ鎮座して・・・身をひそめるしかない。
それで、潜水艇を海底へ・・・と、空気弁の係員へ・・・手振りで・・・
なんや、艇長がオレの方へ・・・変な手振りだが・・・「何ですか?」と、声は小さいが・・・出てしまった。
「ん、ドイツ語が聞こえたような。」と、警備艇のソナー員だ。
「なんだと、間違いないか。」と、艇長が問う。
「聞こえたような、聞こえないような、間違いないかと、いわれればなんとも。」
「ううむ、わかった捜索を続行しろ。」「サー。」
ドイツ潜航艇内では、ハインリッヒ艇長が空気弁の係員の耳元で内緒話を・・・
野郎の耳へ・・・内緒話なんて・・・BLかっ、としか思えないが・・・
「いいか、海底へ艇を・・・」と、いう。 ウン,ウンと頷く隊員だ。
やがて、空気のブクブク音が・・・
しまった、メインタンクから空気が・・・まあ、少しだからな・・・
「おい、なんかブクブクと泡の音が聞こえるぞ。」と、英海軍の警備艇のソナー員だ。
「なんかな、魚かな・・・」
英海軍の警備艇のソナー員は新任が多いのだ。
なんせ、水中聴音なぞ始まったばかりの部署だからである。
機械音は判別できるが・・・空気の泡までは・・・まだ、無理かな・・・
無線で探索結果を問う、海軍の軍港司令部だ。
「不審な潜水艇の位置はつかめたか。」である。
「現在、探索中ですが、イマイチ不明で、正確な地点までは・・・」
と、報告する艇長だ。
そのころ、松本艦長が軍港司令部へ出頭だ。
「マツモトですが。」と、敬礼を・・・
「おう、待ってたぞ。」「たぶん、ドイツの潜水艇だと思うんだが・・・」
「捜索してるが、場所の特定に手間取ってるんだ。」と、軍港内の警備主任がこぼした。
「なら、私が指示を出しても・・・」「頼めるか。」
マツモト艦長は無線機のマイクをもらう。
「こちら、警備本部だ。」「3号艇です。」
「うむ、他にフネは居るか。」「4号、5号の前部で3隻です。」
「では、3号艇を残して、エンジン最大馬力で、そこを離れる演技をするんだ。」
「3号艇、了解。」「では、4号離れます。」「5号も行きます。」
やがて、盛大にエンジン音を立てて2隻の警備艇は離れる演技を・・・
そのころ、海底へ鎮座して息を殺していたドイツ潜水艇内では・・・
「艇長、どうやら英国のヤツら、あきらめて離れていきますよ。」と、警備艇のエンジン音が遠のくことを報告だ。
「あ、あ、オレにも聞こえたぞ。」「でも、まだダメだ。」
「まだ、様子を見るんだ。」
ハインリッヒ艇長も、さすがにドイツ海軍の強者なのだ、カンタンには引っかからない・・・
どうやら、ドイツ潜水艇と英海軍警備艇との・・・タヌキとキツネの騙し合いなのである。
そして、現場に残っている3号艇(警備艇)の水中聴音器はフネが停船してるから・・・
水中マイクが海中へ垂れ下がることに・・・そして、その下にドイツ潜水艇が珍座してるとしたら・・・
そうなのだ、潜水艇のすぐ側に、水中聴音マイクが・・・あることになるのだ。
そうとは、知らないドイツ海軍と英海軍である。
潜水艇内にもクロノメーター(正確な時計)は、ある。
「うむ、20分過ぎたな・・・もう、いいかな。」と、ハインリッヒ艇長がささやいた。
とうぜん、その音声は近くにある水中聴音マイクへ・・・
「あれっ、なんか雑音が・・・」「ヒトの声みたいだ。」
「なんだと、まちがいないか。」「なんとも、もうすこし聴いてみる。」
海中では、海上の音はあまり聞こえない。
なぜなら、音波が海面で反射するからだ。
だから、水中聴音器があるのである。
タヌキとキツネの騙し合いは延々と続くのだった。
ここは、ドイツ海軍の潜水艇の中である。
「モーター止めろ。」と、ハインリッヒ艇長が小声で指示だ。
「シュル、シュル、シュル。」と、聞こえていたモーターが停まる。
機関員は、「ヤー。」と・・・「声を出すな。」と、ハインリッヒ艇長が小声で叫ぶ。
機関員は、うなづく。
やがて、ガソリンエンジンの英海軍警備艇の音が、「ブ~~~ン。」と、潜航艇の中でも聞こえる・・・
「いいか、絶対に声を出すなよ。」と、口へ指をあてて、沈黙の合図をするハインリッヒ艇長だ。
なぜなら、英海軍のフネは間違いなく潜水艇を検索していると確信できたからである。
捜索している警備艇と思われるフネの音が、だんだん大きくなるからだ。
まずぃぞ、発見されたら・・・水中機雷なんて兵器がある英海軍だ。
戦時ではないから、まさか攻撃は・・・いや、ここは軍事施設だ。
英海軍のポーツマス軍港という本拠地なんだ。
国際法上、不明な仮想敵には攻撃しても・・・それは、正当な国際行為である。
もし、ここでドイツ海軍が隠密理に偵察してると、明らかになれば・・・国際的な非難は避けられない。
だから、発見されない潜水艇での偵察なのである。
潜水艇内は電球が数個点灯している。
まあ、見えなくはないが・・・明るくもない。
蓄電池の節約だ。
蓄電池の電気はモーター推進に主に使うからである。
それで、薄暗がりで・・・ハインリッヒ艇長はパントマイム(手足のしぐさで言葉を示す。)で、音を出すなだ。
どうみても、軍港内だ海底までは深くない。
つまり、すこし上の海面で、英海軍の警備艇が・・・水中聴音器で潜水艇を捜索してるのだ。
これは、ヤバイのだ。 マジでヤバイのである。
こんなときは、どうすれば・・・そうだ、海底へ鎮座して・・・身をひそめるしかない。
それで、潜水艇を海底へ・・・と、空気弁の係員へ・・・手振りで・・・
なんや、艇長がオレの方へ・・・変な手振りだが・・・「何ですか?」と、声は小さいが・・・出てしまった。
「ん、ドイツ語が聞こえたような。」と、警備艇のソナー員だ。
「なんだと、間違いないか。」と、艇長が問う。
「聞こえたような、聞こえないような、間違いないかと、いわれればなんとも。」
「ううむ、わかった捜索を続行しろ。」「サー。」
ドイツ潜航艇内では、ハインリッヒ艇長が空気弁の係員の耳元で内緒話を・・・
野郎の耳へ・・・内緒話なんて・・・BLかっ、としか思えないが・・・
「いいか、海底へ艇を・・・」と、いう。 ウン,ウンと頷く隊員だ。
やがて、空気のブクブク音が・・・
しまった、メインタンクから空気が・・・まあ、少しだからな・・・
「おい、なんかブクブクと泡の音が聞こえるぞ。」と、英海軍の警備艇のソナー員だ。
「なんかな、魚かな・・・」
英海軍の警備艇のソナー員は新任が多いのだ。
なんせ、水中聴音なぞ始まったばかりの部署だからである。
機械音は判別できるが・・・空気の泡までは・・・まだ、無理かな・・・
無線で探索結果を問う、海軍の軍港司令部だ。
「不審な潜水艇の位置はつかめたか。」である。
「現在、探索中ですが、イマイチ不明で、正確な地点までは・・・」
と、報告する艇長だ。
そのころ、松本艦長が軍港司令部へ出頭だ。
「マツモトですが。」と、敬礼を・・・
「おう、待ってたぞ。」「たぶん、ドイツの潜水艇だと思うんだが・・・」
「捜索してるが、場所の特定に手間取ってるんだ。」と、軍港内の警備主任がこぼした。
「なら、私が指示を出しても・・・」「頼めるか。」
マツモト艦長は無線機のマイクをもらう。
「こちら、警備本部だ。」「3号艇です。」
「うむ、他にフネは居るか。」「4号、5号の前部で3隻です。」
「では、3号艇を残して、エンジン最大馬力で、そこを離れる演技をするんだ。」
「3号艇、了解。」「では、4号離れます。」「5号も行きます。」
やがて、盛大にエンジン音を立てて2隻の警備艇は離れる演技を・・・
そのころ、海底へ鎮座して息を殺していたドイツ潜水艇内では・・・
「艇長、どうやら英国のヤツら、あきらめて離れていきますよ。」と、警備艇のエンジン音が遠のくことを報告だ。
「あ、あ、オレにも聞こえたぞ。」「でも、まだダメだ。」
「まだ、様子を見るんだ。」
ハインリッヒ艇長も、さすがにドイツ海軍の強者なのだ、カンタンには引っかからない・・・
どうやら、ドイツ潜水艇と英海軍警備艇との・・・タヌキとキツネの騙し合いなのである。
そして、現場に残っている3号艇(警備艇)の水中聴音器はフネが停船してるから・・・
水中マイクが海中へ垂れ下がることに・・・そして、その下にドイツ潜水艇が珍座してるとしたら・・・
そうなのだ、潜水艇のすぐ側に、水中聴音マイクが・・・あることになるのだ。
そうとは、知らないドイツ海軍と英海軍である。
潜水艇内にもクロノメーター(正確な時計)は、ある。
「うむ、20分過ぎたな・・・もう、いいかな。」と、ハインリッヒ艇長がささやいた。
とうぜん、その音声は近くにある水中聴音マイクへ・・・
「あれっ、なんか雑音が・・・」「ヒトの声みたいだ。」
「なんだと、まちがいないか。」「なんとも、もうすこし聴いてみる。」
海中では、海上の音はあまり聞こえない。
なぜなら、音波が海面で反射するからだ。
だから、水中聴音器があるのである。
タヌキとキツネの騙し合いは延々と続くのだった。
1
あなたにおすすめの小説
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
現在1945年夏まで執筆
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる