伊号式潜水艦。

ゆみすけ

文字の大きさ
66 / 253
ここは、公海ではないか・・・

開き直った、ドイツ海軍だ。

しおりを挟む
 ドイツ国旗を持って、両手をあげて・・・潜水艇のハッチから出るハインリッヒ艇長である。
周りをみると、3隻の英海軍の警備艇が・・・潜水艇を囲んでいる。
 「こちらは、英海軍だ。」「領海侵犯で拿捕、及び臨検する。」と、拡声器がガ鳴った。
周りを見る・・・ハインリッヒ艇長は、「あれっ、ここは公海じやないか。」と、遥か彼方に見えるポーツマス軍港を・・・
 「本職はドイツ海軍の3号潜水艇の艇長。」「ハインリッヒ艇長である。」
「ここは、公海上だが、英海軍の臨検の根拠を示されたい。」と、叫ぶ。
 どうやら、追いかけっこで双方のフネは英国領海をすぎて・・・おおやけの海へ・・・
確かに、公海上での臨検なぞ、戦時ではないから、当然に認められないことである。
 領海侵犯なら、領海内のはずである。
潜水艇は潜航して・・・領海をすぎてから浮上したのだ。
 屁理屈なのだが・・・言うのは、ロハだからである。
この屁理屈には・・・困った英海軍である。
 確かに、公海上だが・・・追跡してきたのだ。
「こちらは、英海軍だ。」「追跡してきたから、文句は言わせないぞ。」と、拡声器が吠える。
 ハインリッヒ艇長も、黙ってはいない。 ドイツ人は屁理屈を言わせると、世界イチなのだ。
下手な法学部の学生以上に屁理屈を言い張るのである。
 
 こうして、ポーツマス軍港沖でのドイツ海軍と英海軍との臨検をする・しないの論争が起こったのだ。
英海軍は日本政府みたいな、遺憾砲で済ますほど、お人よしではない。
 まして、転んでもタダでは起きないドイツ軍が相手である。
しかし、しかしである。
 英海軍もドイツ海軍も、紛争が戦争に発展することは望んではいないのである。
だから、差しさわりのないことの、言い合いになるのだ。
 状況証拠は、ドイツ海軍のポーツマス軍港強行偵察なのだが・・・いかんせん、確たる証拠がないのだ。
追跡を続行してれば・・・しかし、警備艇は水中機雷の調達で追跡を逃してるからだ。
 そのあとに、軍港沖で浮上してる潜水艇を発見したのである。
連続性が無いから、ドイツ海軍に言い訳を与えてしまったのである。
 だが、このままお帰り願っては・・・英海軍の恥である。
そう、メンツ丸つぶれなのだ。
 ドイツ海軍が、後々に腹を抱えて大笑いするのが・・・目に見えるからだ。
だが、時間が経過すれば、するほど・・・落としどころがなくなっていくのだ。
 紛争が起こっても・・・それは、避けたいのだが・・・

 無線でイザコザを知ったアランとマツモト艦長は警備部の予備艇で、やっと現場へ駆けつけた。
遅れたのは、アランが女王陛下の回答を聞いていたからである。
 こいつ何者だ・・・と、マツモト君は思ったが・・・事がおわってからだな・・・
そして、アランが英海軍としてのドイツ海軍への回答をハインリッヒ艇長へ伝えたのである。
 それは、再度の軍港内への潜航しての侵入は撃沈処理が適法とするとの、伝達だったのだ。
ハーグ陸戦条約は潜水艇の潜航しての侵入には対処してなかったからだ。
 当時は、まだ潜水艇は実用化には、まだなってなかったからである。
その取り決めは、おって大使館を通じて締結することとなったのである。
 つまり、ドイツ軍潜水艇は偵察したが、発見されるという汚名を・・・きせることができたのだ。
潜水艇での偵察が敵に発見されたら・・・潜水艇の意味が無いのだ。
 英海軍はドイツ軍潜水艇を開放することで、太っ腹を国際社会へ見せつけたのだ。
まあ、痛み分けという答案を女王陛下は下したのである。
 なかなか、賢明な判断だったと、マツモト艦長は感心したのである。

 「アラン。」「なんだ?」「君は、女王様の何なのさ・・・」と、アランへ詰め寄るマツモト艦長だ。
「あ、あ、まあ身内みたいなモノさ。」と、軽くいうアランだ。
 「まさか、君は王位継承者なのか。」と、アランへ質問だ。
「あ、あ、でも位は14位なので、大したことないぞ。」と、平然というアラン君である。
 つまり、上に14人が居るということらしい。
なら、それほど態度を替えなくてもいいかな・・・「いままでと、変わらない風に頼みたい。」と、アランがいう。
 14位なら、そんなものかな・・・ある意味、安心したマツモト艦長であった。
しかし、アランが王室関係者であったとは・・・まあ、英国王室の皇太子は軍の経験が必要なのだからだが・・・

 英国女王のお情けで紛争を回避して、キール軍港へ帰還できた、ドイツ海軍潜水艇3号だが・・・
紆余曲折はあっても、軍港偵察から帰還できたことはまちがいないのである。
 キール軍港のゴタゴタといい、踏んだり蹴ったりのドイツ海軍にとり、悪い話では無いのだ。
「ハインリッヒ艇長、君にゲルマン3等勲章を・・・」「身に余りある光栄であります。」「うむ、引き続き海軍を頼んだぞ。」「ハ、ハァ~ッ。」と、答礼する艇長だ。
 ちなみに・・・ドイツ軍潜航艇3号が撮影した写真は?
そうだったのだ。 あの、軍港内を撮影したヤツは・・・
 ドイツ軍情報部が、喜んで現像したのだが・・・
「なんだ、これは・・・」「どこを、どう撮影したのだ。」と・・・
 ハインリッヒ艇長がシャッターを押したと同時に、潜望鏡の前を警備艇が通りすぎて・・・
潜望鏡のレンズは口径が小さいのだ。
 つまり、シャッター速度が速く切れないのである。(レンズが暗いヤツなのだ。)
それで、英海軍潜水艦を狙ったんだが・・・警備艇(ランチという小型艇だ。)の胴体が・・・
 つまり、偵察は帰還できたんだが・・・写真は失敗した艇長だったのであった・・・
教訓・数枚撮影するべきだった・・・
 


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

処理中です...