伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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ドイツ軍の配置図を手に入れる。

恋は盲目というのである。

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 「おとうさま、おはようございますわ。」「あはよう、エリザベート。」
フォン、ゲルマニュウム男爵の朝は早い。
 幹部たるのも、ヒトの上に立つモノは・・・まあ、人生訓は置いておいて・・・
昨夜の会議で使った書類を机の上に・・・
 「そうだ、ワシは急がねばならん、エリザベート整理しておいてくれ。」
「ハイ、おとうさま。」
 陸軍の将軍である男爵は、玄関で待たせている送迎のクルマへ急いだ。
「もう、イヤんなりますわ。」と、ブツブツ言いながら・・・書類を重ねて引き出しへ・・・
 「あら、これですわ。」と、ほほ笑んんだエリザベートが1枚を引き抜いて・・・たたんでポッケへ・・・
それは、フランスのマジノ要塞への対抗するドイツ軍の配置図だ。
 それも、昨夜の会議で決まった最新版だ。
ドイツ軍がフランスのマジノ要塞の情報をいかに掴んでいるのかがわかる貴重な情報だ。
 その優劣なぞ、しらないエリザベートは、彼を助けるためのカンタンな話だと・・・
フランスのベルサイユ宮殿での出会いは・・・夢のようであったのだ。
 「あ、あ、オーギュスタン、また会えるのね。」と、書類を胸に・・・
オーギュスタンはフランス貴族の末裔だ。
 フランス革命で王家はギロチンの露と消えたが・・・貴族連中は、しぶとく残ったのである。
欧州は身分社会だ。 それは、現在でも同じである。
 階級で使う酒場も違えば・・・ホテルも違うのだ。
同じなのは、乗る乗り物くらいだ。(もちろん、1等2等の差はあるが。)
 それで、ベルサイユ宮殿の舞踏会での出会いは貴族には欠かせないモノなのである。
双方が同じ階級だと、交際も問題がないからだ。
 やはり、身分相応はあるのである。
それに、貴族は体面を重視するからね・・・

 家柄は双方は問題がなかったのだが・・・エリザベートはドイツ陸軍の将軍の娘だ。
そして、オーギュスタンはフランス陸軍の作戦参謀部の少尉である。
 そうなのだ、仮想敵国の犬と猿だったのである。
身分的には問題は無いのだが・・・なんでドイツの、それも陸軍の将軍の娘なのだ。
 他に、フランスの貴族の娘もいるじゃないか・・・
反対されると、かえって熱くなるのが恋というものなのか・・・
 双方は親族一同の反対を・・・
反対を抑え込んで・・・恋を成就させるには・・・法外な手柄か・・・逃避行しかないのだ。
 逃避行は両方がしなくても・・・片方でもOKである。
そう、手柄となる有益な情報が手土産ならだ。
 そして、エリザベートがマジノ要塞のドイツ側の情報を・・・
そうなれば、フランス陸軍はマジノ要塞の再構築が完璧となるからだ。
 オーギュスタンはエリザベートへ約束を取り付けるのである。
「しかし、ドイツからの道が無い。」と、困窮するオーギュスタン少尉だ。
 有益な情報が入るのだ、フランス軍の協力は得ることができるのだ。
ドイツとフランスの国境は有刺鉄線が張られて・・・検問所以外は女性が通過できるものではないのだ。
 検問所では、将軍の娘であるエリザベートは軍人には顔が知られてるから・・・ダメである。
それで、海路しかないのだが・・・客船では顔バレだ。
 かと言って、空路は・・・
当時は、まだ飛行機は危険な乗り物だったのだ。
 そんなときに、オーギュスタン少尉へ潜水艇がキール軍港への偵察に成功との話が入ってきたのである。
もちろん、軍事機密である。
 ドイツと英国で揉めてるらしいのだ。
フランス海軍が英国から輸入した潜水艇だ。
 ウワサでは、日本製と・・・あの日本から英国まで航行できた潜水艇とも・・・マジで、ウワサだが・・・
そして、英国王室の姫の救助まで・・・
 なら、エリザベートも救出できるんじゃねぇ・・・となるのだ。

 「それで、どこまで話は進んでいるのだ。」と、潜水艇の司令官ボルドー大佐が聞いた。
「え、え、彼女はハンブルクに住んでるのです。」「ほう、ならエルベ河を下ればいいな。」
 「そうです、100キロ下れば河口へでますから。」
「では、エルベ河の河口で拾うことにしよう。」と、ボルドー大佐だ。
 「配置図は間違いないんだね。」と、再度確認する大佐だ。
「え、え、手に入れたようですから、時間がありません。」
 「なら、早急に潜水艇を廻すが・・・河口までは、足はあるのか?」
「え、え、侍従に信用できるモノがいるそうです。」と、オーギュスタン少尉が答える。
 「必ず、河口で拾うから、時間だけは間違いないように伝えるのだぞ。」
「わかりました、協力ありがとうございます。」
 「うむ、マジノ要塞は防衛の要(カナメ)だからな。」
フランス軍はマジノ要塞をドイツ軍を防げるものだと踏んでいるのだ。
 史実では、あっけなくヤラれるのだが・・・
「いいか、潜水艇は河では潜れないから、必ず河口で。」
 「わかりました、必ず伝えます。」
潜水艇や潜水艦は水深が深くないと・・・下手に水深が浅いところで潜ると・・・底の泥に埋まってしまい・・・
 身動きが取れなくなるからである。
船底にヘドロが喰いついて・・・思わぬ事故へ・・・
 そして、潜水艇へ会合する暗号信号を互いに打ち合わせをするボルドー大佐とオーギュスタン少尉であった。



 
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