伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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娘が・・・行方不明だ・・・

仕事第一の父さんを・・・許してくれ・・・

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 「今、帰ったぞ。」と、玄関を開けるフォン・ゲルマニュウム男爵だ。
「・・・・・」もう、侍従や家政婦は帰宅したり、就寝している時間だ。
 雇われ人だから、時間どうりなのだ。(サービス残業は、日本くらいなのだ。)
そして、娘であるエリザベート嬢が待っていてくれたのだ。
 だから、ゲルマニュウム男爵は陸軍の将軍として・・・身を粉にして務めていられたのである。
そう、仕事第一主義のゲルマニュウム男爵なのである。
 廊下や居間に常夜灯が点いてるだけの、ひんやりとした屋敷である。
「ん、エリザベート・・・どこに居るんだ。」と、探す・・・
 しかし、見つからない。
私室も、ノックして返事がないから・・・開けてみたが・・・いないのだ。
 仕方がない、侍従の部屋を・・・「エリザベートが居ない、知らないか?」と、聞く。
「いえ、なにもうかがってはおりませんが。」と、侍従も起きて・・・家探しである。
 室内に荒らされた跡もなければ、争った跡もない。
玄関は男爵がカギで、自ら開けたのだ。
 「そういえば、玄関には、カギが掛かっていた・・・」
「なら、賊ではありませんな。」と、侍従がいう。(賊なら、破壊して入ってくるだろう。)
 「おまえ、心当たりは・・・」「いえ、ございません。」
「ううむ、どうしたものか。」
 地元警察へ捜索願いを出せば・・・騒動になりかねない。
身内の恥だが・・・エリザベートが心配でもある。
 陸軍の将軍の娘が・・・行方不明・・・あってはならないことでもあるのだ。
仕事第一主義で家族を顧みないで・・・それが、裏目の出てしまったのか・・・
 「おそらく、自ら出て行ったのであろう・・・」と、想像ができるゲルマニュウム男爵であるのだ。
「警察では・・・このことが公になってしまう。」と、「しかし、そんなことも言ってはいられんぞ。」
 「ここは、ゲシュタポが妥当だと。」と、侍従がいいだした。
「あそこなら、公には公表されませんので。」と、いいだす侍従だ。
 「そうだな、そうするしかないか・・・」
こうして、ゲシュタポ警察へ電話を掛けるゲルマニュウム男爵であったのだ。

 ゲルマニュウム男爵のご令嬢が失踪したことは、ゲシュタポ警察内の事とされて・・・
検問所や国境警備隊へ内密の下命が・・・あくまで、内密ということだ。
 ちなみに、ゲシュタポ警察はドイツ帝国の秘密組織であり・・・
裏の闇社会の汚れ仕事、つまり暗殺や謀略、スパイ活動を行う部署である。
 つまり、情報部であり、暗殺隊であり、スパイ組織なのである。
陸軍の将軍という地位のゲルマニュウム男爵は、それなりに自由にゲシュタポ警察を使うことができたのである。
 しかし、非常線が張られたのは・・・エリザベート嬢がランチでエルベ河を下りはじめた頃である。
すでに、お寿司だったのだ。
 翌日も陸軍の作戦会議など・・・暇が無いゲルマニュウム男爵である。
「ゲルマニュウム様、この侍従めが何が何でもお嬢様を探し出してごらんにいれまする。」
 「ゲルマニュウム様、お嬢様は私めにお任せを・・・」と、侍従が懇願するのだ。
「ここは、ゲシュタポ警察と侍従である、私へお任せを・・・」
 「ううむ、心苦しいが頼むぞよ。」と、苦渋の決断をするゲルマニュウムであった。
マジノ要塞攻略の重要な時であるのだ。
 私事にかまってはいられないのである。
フランスとの開戦は・・・迫っているのだ。
 開戦は、まだ決定はしていないが・・・その用意はしておかねばならない。
戦争は、即、始められるものではないのだ。
 常日頃からの準備と備えが必要なのである。

 「こんなフネが、フランスにあるんですね。」と、驚くエリザベートである。
「艇長のシトロエンと申します。」「ボルドーまで、お送りいたします。」
 「感謝に耐えませんわ。」と、返すエリザベートである。
そのとき、ソナー員が警告を!
 「艇長、フネです。」
「急速潜航、トリム下げ、いっぱいだ。」「モーター最大出力だ。」
 「方向は、わかるか。」「ホクホクセイです。」
「追ってきたのか?」 シトロエンは追ってかと思惑が・・・
 「艇長、海底が近いです。」と、ソナ―員が叫んだ。
「トリム戻せ、モータ停止、なんかに摑まれっ!」と、叫ぶシトロエン艇長だ。
 やがて、海底へ滑り込む潜水艇1号だ。
そして、海底のヘドロへ鎮座する潜水艇だ。
 やがて、スクリューと機関音が近づいてくる。
探査用のアクデブ・ソナー音は聞こえない。
 どうやら、普通のフネのようだ。
すくなくても駆逐艦ではないようだ。
 「警戒解除だ。」「海底から離脱するぞ。」
「ベント開け。」「モーター始動だ。」
 「おい、ベント開け。」「それが、開いてるのですが。」
「海底に摑まったか・・・」と、不安がよぎるシトロエン艇長だ。
 あまりに急に海底へ・・・すると、海底の泥へハマってしまうのだ。
すると、最悪は浮上ができなくなるのだ。
 「モーター停止。」 無駄な蓄電池を使うわけにはいかない。
「ベント開いて、手動で空気をタンクへ注入しろ。」「ダッコー。」
 機関員やポンプ係が手動でメインタンクから海水を吐き出して・・・浮力を潜水艇へ・・・
しかし、なかなか海底から離脱しないのだ。
 海底のヘドロへ潜水艇の底が、つかまったのである。
空気を潜水艇と海底のヘドロへ入れればいいのだが・・・そんなことは、できはしないのだ。
 深度計の針は40メートルを指している。
どうする、非常信号のブイは深度40なら、海上まで届きそうだ。
 そのブイから救助信号を・・・しかし、それがドイツ帝国へ感ずかれると・・・最悪だ。
エリザベート嬢が乗っているのだ。
 それも、ドイツ帝国の陸軍の軍事情報を持ってだ・・・
「現在地位は?」と、航海士へ・・・
 海図では、ドイツのエルベ河の河口から・・・約、100キロほどの沖合いだ。


 
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