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本編
鎧と変更確認
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ようやく俺の元に戻ってきた鎧《千変》ことマキナ。
ここ数日会ってなかったからか、俺にべったりなシエルを抱っこしながらアーネを含めた三人で部屋に戻り、指先に傷が出来るようイメージ。するとスキルによって、指先にイメージしたものと全く同じ傷が出来、そこから血の雫が一滴、待機状態のマキナへと落ちる。
前から薄らとあったマキナとの繋がりに反応があったことを意識のどこかで確認し、さらにもう一滴、二滴と落とす。
「起きろ、マキナ」
もう充分動けるだろうと判断したところでそう言うと、聞き馴染みのある、しかし聞き慣れない俺の声が聞こえた。
『了解・起動します。マスター』
鎚型の待機形態がどろりと一度溶け、銀色の水溜まりが出来上がる。
そして次の瞬間、それは一気にせり上がり、立ったままの俺の目線と全く同じ位置に二つの小さな魔法陣がクルクルと回転しながら浮かび上がる。
そこから順に周りを形作るように瞼、鼻、眉、頬と出来上がっていくのは俺と全く同じ顔、同じ背丈の女。
いや、ヒトではないのだから『女』と言うのは語弊があるが、見た目で唯一ヒトと違うのは、瞳のかわりにくるくると回る魔法陣があることぐらい。見ただけではほとんどの人が「可愛い女の子」と言うだろう。
あぁ、それ俺と全く同じ顔なんだけどな。
『お待たせ致しました・マスター』
「元気そうでなにより。まぁ、メンテに出しといて壊れそうだったら大問題だがな。ベルのところであちこち弄られたそうだが、具体的にどう変わった?」
現状見てわかる程度に変わったと判断できる所はない。
強いて言うならまだ違和感が多少残るものの、喋りが流暢になった…というか、より人に寄ったと言うべきか。独特の硬っ苦しさが和らいでいる。
『主に各機能の向上です。消費魔力の効率化・通称《魔機成》を現在のマスターの為に最適化・血の容量の上限値上昇・重力魔法の効率化・及び重力魔法の出力上昇・《千変》の分化数の上昇・特異変形武装の──』
「要は全体的に底上げされたってことか」
まだまだ続きそうだったのでそうまとめると、マキナは無言で頷く。
しかしそうか。どれぐらい性能が上がったかは知らないが、その程度か。これならとっととマキナを回収しておいて、銀剣の練習に馴染ませた方が良かったかもしれないな。完全に結果論ではあるがそう思わざるを得ない。
底上げって言われても…こんだけ多岐に渡れば微々たるものになるのは仕方ないだろう。戦闘ではその微々たるものの差がハッキリと出る場合もあるが、こんな事なら一点特化してどこかを超強化してもらった方が良かったな。
「…まぁ過ぎた事は仕方ない。他になにか伝えることはあるか?」
『二点あります』
「言え」
膝に乗っかってきたシエルの為に座り直し、あぐらの上に乗せてから話を聞く。
『一点目は過去にストックしてあった血を全て使用したため・現在私の中に血はストックされていないということになります』
「おい待て、どんだけあったと思ってる」
《血海》を併用して、かなりの量の血を溜め込んでいたはず。少なく見積ってざっと五十リットルはあったはず。それがなんでまたこうもあっさりと消えるのか。
『クランベルナ様の研究・及び実験の結果・全て消費されました。調整に時間がかかった原因の一つです』
「あぁクソ、じゃぶじゃぶ使いやがって。また貯め直しかよ」
まぁ仕方ない。次。
「で、もう一個ってのは?」
『クランベルナ様からの伝言になります。今すぐ確認しますか?』
「頼む」
そう言うと、マキナはくるくると瞳のかわりに輝く魔法陣を回し、ゆっくりと目を閉じてから伝言とやらを俺に伝え始めた。
ここ数日会ってなかったからか、俺にべったりなシエルを抱っこしながらアーネを含めた三人で部屋に戻り、指先に傷が出来るようイメージ。するとスキルによって、指先にイメージしたものと全く同じ傷が出来、そこから血の雫が一滴、待機状態のマキナへと落ちる。
前から薄らとあったマキナとの繋がりに反応があったことを意識のどこかで確認し、さらにもう一滴、二滴と落とす。
「起きろ、マキナ」
もう充分動けるだろうと判断したところでそう言うと、聞き馴染みのある、しかし聞き慣れない俺の声が聞こえた。
『了解・起動します。マスター』
鎚型の待機形態がどろりと一度溶け、銀色の水溜まりが出来上がる。
そして次の瞬間、それは一気にせり上がり、立ったままの俺の目線と全く同じ位置に二つの小さな魔法陣がクルクルと回転しながら浮かび上がる。
そこから順に周りを形作るように瞼、鼻、眉、頬と出来上がっていくのは俺と全く同じ顔、同じ背丈の女。
いや、ヒトではないのだから『女』と言うのは語弊があるが、見た目で唯一ヒトと違うのは、瞳のかわりにくるくると回る魔法陣があることぐらい。見ただけではほとんどの人が「可愛い女の子」と言うだろう。
あぁ、それ俺と全く同じ顔なんだけどな。
『お待たせ致しました・マスター』
「元気そうでなにより。まぁ、メンテに出しといて壊れそうだったら大問題だがな。ベルのところであちこち弄られたそうだが、具体的にどう変わった?」
現状見てわかる程度に変わったと判断できる所はない。
強いて言うならまだ違和感が多少残るものの、喋りが流暢になった…というか、より人に寄ったと言うべきか。独特の硬っ苦しさが和らいでいる。
『主に各機能の向上です。消費魔力の効率化・通称《魔機成》を現在のマスターの為に最適化・血の容量の上限値上昇・重力魔法の効率化・及び重力魔法の出力上昇・《千変》の分化数の上昇・特異変形武装の──』
「要は全体的に底上げされたってことか」
まだまだ続きそうだったのでそうまとめると、マキナは無言で頷く。
しかしそうか。どれぐらい性能が上がったかは知らないが、その程度か。これならとっととマキナを回収しておいて、銀剣の練習に馴染ませた方が良かったかもしれないな。完全に結果論ではあるがそう思わざるを得ない。
底上げって言われても…こんだけ多岐に渡れば微々たるものになるのは仕方ないだろう。戦闘ではその微々たるものの差がハッキリと出る場合もあるが、こんな事なら一点特化してどこかを超強化してもらった方が良かったな。
「…まぁ過ぎた事は仕方ない。他になにか伝えることはあるか?」
『二点あります』
「言え」
膝に乗っかってきたシエルの為に座り直し、あぐらの上に乗せてから話を聞く。
『一点目は過去にストックしてあった血を全て使用したため・現在私の中に血はストックされていないということになります』
「おい待て、どんだけあったと思ってる」
《血海》を併用して、かなりの量の血を溜め込んでいたはず。少なく見積ってざっと五十リットルはあったはず。それがなんでまたこうもあっさりと消えるのか。
『クランベルナ様の研究・及び実験の結果・全て消費されました。調整に時間がかかった原因の一つです』
「あぁクソ、じゃぶじゃぶ使いやがって。また貯め直しかよ」
まぁ仕方ない。次。
「で、もう一個ってのは?」
『クランベルナ様からの伝言になります。今すぐ確認しますか?』
「頼む」
そう言うと、マキナはくるくると瞳のかわりに輝く魔法陣を回し、ゆっくりと目を閉じてから伝言とやらを俺に伝え始めた。
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