大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

日没と英雄

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暗い闇の中、しかし一切の不信感を与えるどころか、むしろ安息すら感じる、そんな不思議な闇色の泥。
その中で俺は揺蕩たゆたっている。
久しぶりの休憩、もっと言えば睡眠。
身体の端から今まで溜まっていた疲労が抜け、身体の芯からゆっくりと、この心地よいえも言われぬ感覚が……。
待て、今どこでどうなっている?
あの牛魔獣の群れは?
首筋に強い衝撃を受けて…落ちた?
なら俺はもしかして死んだ?
いや、そんな訳が無い!
そう叫ぶと同時に、ガバッと起きると…ここは馬車の中?
寝汗はぐっしょり、息も荒い。およそ最悪の寝起きだろう。
外からはもう既に戦いの音は聞こえておらず、外は今にも日が落ちようとしている。
それなのに、馬車の中には俺一人と銀剣、あとはオードラル先生が俺達のために積んでおいてくれた食料やら何やらがあるのみ。
みんなはどこへ行った?
現在地は?結界まであとどのぐらいかかる?一時間か?それともあと五分?
わからないが、とにかく外に出てみるとわかるか?
身体をおこし、銀剣を掴みながら外へ出る。
「…何度も言っているように、お前達をここから先へ行かせる事は出来ん」
「けれど僕達はどうしても…」
「くどい!」
あん?何事だ。
外へ出ると、六つの人影。
どうやらもめているらしく、鎧を着たガタイのいい男とラウクムくんが言い争っているらしい。ちなみにもう一つの人影は、フードを被っておりわからない。
はて、こんなところへ一体誰が。
そっと近づき、ユーリアに聞くか。
「よおユーリア。何事だ?」
「お前もここを通ると言うのか?ダメだ。今すぐ引き返せ」
ユーリアに聞いたのに、男の方に返された。けど、この一言で何が起きたかわかった。
多分、結界まで行こうとする俺達を止めているんだろう。けど、何でまた。それにコイツらは誰だ?
ふいと男の顔を見る………と同時に全身を駆け巡る拒絶感、嫌悪感。
間違いない。コイツは英雄だ。
というか、入学式の時にスピーチをしていたあの英雄。名前は…たしか、フィール・ハウナだったか。
しかし、そばのフードの人影は誰だ?
「…英雄様がなんでここに?」
「英雄の仕事に決まっているだろう。結界に綻びがないか調べていた。見た所、異常はなく、今から王都へ戻る所だ。お前達も早く学校へ戻れ。さもないと、俺がお前達を無理矢理捕まえて送るぞ」
へぇ、マトモに返してくれるんだな。
「ふーん。結界が脆弱になって来てるから、そこの聖女サマを連れて結界のチェック、その帰りにウチの学校から矢文が飛んできて俺達の捕獲を頼まれたところに偶然俺達と鉢合わせた。仕方ない、なら連れて帰ってやるか。って所か?」
「何のことだ?」
英雄様は素知らぬ顔。
けど…甘いな。
「なるほど、英雄様はポーカーフェイスも一流らしい。けどな?そこのフード被ってる方は明らかに動揺してたぜ?なぁ、聖女サマ?」
言うが早いが俺は髪の毛を数本使い、フードを一気に引っぺがす。
俺の髪の毛の長さは、一本あたり三メートルと二十一センチ。フードの所までなら、簡単に届く。
日が落ちるその瞬間、一際強く輝いたその日が、フードの下に隠れていた金に輝く髪と、蒼く透き通る目を強く輝かせた。
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