大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

突破と見張り

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へーぇ、結構やるなぁ。
結界内とは言え、自分達より二回りは大きい魔獣二体を三チームでそれぞれ交代しつつ、危なげなく倒したか。
結界の外では当然このチームでの協力が出来なくなるのだが、それを差し引いても充分じゃなかろうか。ちなみに相手は猫の魔獣と猿の魔獣だった。
その後は特に魔獣の襲撃を受けることも無く夜になり、今日は終わり。進行速度的に、明日の朝早くに出れば十時頃には結界の外へ着くだろう。
…にしても、やっぱり魔獣少なくない?
一日馬車三つ走らせてたった二匹?結界の境界付近だと言うのにこの数は正直少なすぎる。
前にも言ったと思うが、この結界は強大な力を持つ敵…強力な魔獣や魔族の侵入を拒むのには向いている。
だが、そこまで強くない魔獣だったりすると、少し無理をすれば結構抜けてくる。
つまり、結界の外に近づけば近づく程魔獣が増えるのが当たり前なのだが、何故か魔獣の気配がほとんど無い。当然襲撃回数も少ないし、今日だってさっきの猫と猿の魔獣しか襲撃してこなかった。
何かが起きているのか、それとも何かが起きたからこうなっているのか。
その辺はまだなんとも言えないが、異常なのは確かだ。
それに、去年の今頃にも魔族からちょっかい出されてたし、時期的にまた何かあってもおかしくない。
魔族を手引きしたと思われる誰かも未だに見つけられていないのだから、やはり魔族絡みで何かあったとみてもいいだろう。
…ところで。
荷物に積んであった簡易テントが小さすぎないか?これ明らかに一人用なんだが。
『元々お前一人の予定だったんだから仕方ないんじゃないか?いや、でもそうなら移動用の魔導具の数は二つだったし…』
先生のうっかりなのか何か知らんが、どの道この場に他のテントがないことに変わりはない。
「アーネ、お前寝とけよ。魔力結構使ったろ」
「それはありがたいんですけれど…貴方は?」
「俺は起きて見張りでもしとくさ」
「でもそれだと貴方が眠れないのでは」
「大丈夫、しばらくしたらマキナと代わるから」
と言っても、マキナを待機状態でそこら辺に置いとくだけだけど。アーネがかなり多めに魔力をくれたお陰で、このぐらいなら出来る余裕が出てきた。
え?俺が起きてる必要ないって?まぁぶっちゃけ無いよ。
でも何か引っかかる。一番嫌な予感がするのは魔獣がいない事だ。
それ自体は別に問題じゃない。むしろ喜ぶべき事だ。
だが、何故を考えた時に一番不味いのは、とかそういう理由で来ていない場合。
そういう時に寝ていたら、身体のギアが上がる前に致命傷を負いかねない。
だから少しでも起きていて、そういう可能性を減らしておきたい。
『本音は?』
勘。よく分からんが身体の警戒が解けん。こういう時は無理に寝るより少し待ってみる方がいい。
「貴方がそういうのなら構いませんけれど…きちんと寝てくださいましね?」
「もちろん寝るさ。じゃなきゃ身体が持たないしな」
と言ってアーネをテントに入れる。
さて。とりあえず零時ぐらいまでは待ってみますか。
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