1,283 / 2,040
本編
気分と訓練所
しおりを挟む
「なぁレィア、少し聞きたい事があるんだが」
「あぁ?何だ?」
訓練所の端で腕組みしながら一際大きく張られたフィールドを眺める。隣で同じような格好で話しているのは紫の髪をした耳長種。ユーリアだ。
「なんかレィアの機嫌、悪くないか?」
「…それを直接本人に確認するのがお前らしいよな。ホント」
「否定はしないのだな」
「合ってんだから否定をする訳にゃいかんだろ…おっ」
フィールドの中で、特大の爆煙が上がる。フィールドの中なので怪我はないだろうが、多分直撃した奴は戦闘不能にはなってるだろう。
今フィールドの中で行っているのは、五対五のチーム戦。俺とユーリアは先に個人的な一戦をやっていたので、それが終わったら他の奴が場所を貸してくれと言ってきたのだ。
昼間っから独占するのもアレだし、じゃあどうぞとどいた所、今のようになっている訳だ。
その結果、特にやることも無くぼーっとフィールドの中の戦いを眺める二つ名持ちの雑談コーナーが出来上がった訳だ。
「今の火力は…アーネだな?まともにフィールドに当たっていたら砕けかねない威力だったぞ」
「おいユーリア、実はあれでもアーネはかなり抑えて撃ってんだぜ?本気で撃ったら余波で俺達も危ない」
「はは、流石にそれは冗談だな?フィールドは破れるかもしれないが、流石に余波では………え、本気?」
「本気だ。《圧縮》で元々高火力を持ってる炎の魔法の火力をさらにはね上げてんだよ。多分、この学校で単発の火力を競うならアーネより高い奴はいないだろうよ」
「そうなのか?いやでも、レィアが言うならそうなのだろうな」
とは言っても、この学校の知り合いの大半が魔法より剣派なので、俺も結構勢いで言ってたりするのだが。
「で?」
「で?って何だよ」
「いやほら、機嫌の話だ。何かあったのか?」
「あぁ、そこまで戻るのか」
と言ってもうーん、どこから話せばいいのか。そもそも話していい話だっけこれ?ダメな気がする。
「まぁ、厄介事の種を一年が持ってきそうな感じだって話だ」
「へぇ、一年生が。ふぅん…ん?なんで君に一年生が?接点が無いだろう?」
「その辺は色々あったんだよ。本当に色々な」
「ふぅむ、まぁいいか。で?なんと言ってきたんだ?」
「いや、内容聞く前に逃げた。何か言うなら今晩にでも来いって言ってな」
ここで再び爆音が。もうじき向こうも終わるだろう。そうしたら、入れ替わりで俺達がまたフィールドに入る。
「…せめて、内容ぐらい聞いてやってもよかったんじゃないか?」
「嫌だよめんどくせぇ。あの手の輩は話聞いたらひと段落するまで結構かかるんだ」
「なるほどな。しかも、君も結構お人好しだから断らないだろうしな」
「…お人好し?俺が?」
「なんだその心底意外そうな顔は。もしかして気づいてなかったのか?」
三度爆炎。と言うか火柱。吹き上がった炎がフィールドの天井を焼き、しかし貫く程ではなかったか消えていく。
「お、丁度終わったみたいだな。行くか?レィア」
「…行くか」
納得できない所もあるが、ひとまずそう言って壁から背を離す。
「ところでユーリア、なんで俺がお人好しだと思うんだ?」
「ん?そんなことか。そもそもお人好しでもなければ、いくら実力があっても出会ってひと月程度の同室を助けに結界の外へ出たり、瀕死の一年生を助けにデーモンと一対一の戦いに挑んだりしないだろう?」
「…テメェちゃんと知ってるじゃねぇか」
フィールドに入り、銀剣──ではなく金剣を抜く。
「む、私の双剣に合わせてくれないのか?」
「うるせぇ。ちょっとムシャクシャしてるからそれなりに本気だ」
マキナも起動。まだ血のストックは少ないが、纏って戦う分には問題ない。
「俺に銀剣出させてみろよ《貴刃》」
「私はその名前、あまり気に入ってる訳では無いのだがな《緋眼騎士》」
俺もだよ。
「あぁ?何だ?」
訓練所の端で腕組みしながら一際大きく張られたフィールドを眺める。隣で同じような格好で話しているのは紫の髪をした耳長種。ユーリアだ。
「なんかレィアの機嫌、悪くないか?」
「…それを直接本人に確認するのがお前らしいよな。ホント」
「否定はしないのだな」
「合ってんだから否定をする訳にゃいかんだろ…おっ」
フィールドの中で、特大の爆煙が上がる。フィールドの中なので怪我はないだろうが、多分直撃した奴は戦闘不能にはなってるだろう。
今フィールドの中で行っているのは、五対五のチーム戦。俺とユーリアは先に個人的な一戦をやっていたので、それが終わったら他の奴が場所を貸してくれと言ってきたのだ。
昼間っから独占するのもアレだし、じゃあどうぞとどいた所、今のようになっている訳だ。
その結果、特にやることも無くぼーっとフィールドの中の戦いを眺める二つ名持ちの雑談コーナーが出来上がった訳だ。
「今の火力は…アーネだな?まともにフィールドに当たっていたら砕けかねない威力だったぞ」
「おいユーリア、実はあれでもアーネはかなり抑えて撃ってんだぜ?本気で撃ったら余波で俺達も危ない」
「はは、流石にそれは冗談だな?フィールドは破れるかもしれないが、流石に余波では………え、本気?」
「本気だ。《圧縮》で元々高火力を持ってる炎の魔法の火力をさらにはね上げてんだよ。多分、この学校で単発の火力を競うならアーネより高い奴はいないだろうよ」
「そうなのか?いやでも、レィアが言うならそうなのだろうな」
とは言っても、この学校の知り合いの大半が魔法より剣派なので、俺も結構勢いで言ってたりするのだが。
「で?」
「で?って何だよ」
「いやほら、機嫌の話だ。何かあったのか?」
「あぁ、そこまで戻るのか」
と言ってもうーん、どこから話せばいいのか。そもそも話していい話だっけこれ?ダメな気がする。
「まぁ、厄介事の種を一年が持ってきそうな感じだって話だ」
「へぇ、一年生が。ふぅん…ん?なんで君に一年生が?接点が無いだろう?」
「その辺は色々あったんだよ。本当に色々な」
「ふぅむ、まぁいいか。で?なんと言ってきたんだ?」
「いや、内容聞く前に逃げた。何か言うなら今晩にでも来いって言ってな」
ここで再び爆音が。もうじき向こうも終わるだろう。そうしたら、入れ替わりで俺達がまたフィールドに入る。
「…せめて、内容ぐらい聞いてやってもよかったんじゃないか?」
「嫌だよめんどくせぇ。あの手の輩は話聞いたらひと段落するまで結構かかるんだ」
「なるほどな。しかも、君も結構お人好しだから断らないだろうしな」
「…お人好し?俺が?」
「なんだその心底意外そうな顔は。もしかして気づいてなかったのか?」
三度爆炎。と言うか火柱。吹き上がった炎がフィールドの天井を焼き、しかし貫く程ではなかったか消えていく。
「お、丁度終わったみたいだな。行くか?レィア」
「…行くか」
納得できない所もあるが、ひとまずそう言って壁から背を離す。
「ところでユーリア、なんで俺がお人好しだと思うんだ?」
「ん?そんなことか。そもそもお人好しでもなければ、いくら実力があっても出会ってひと月程度の同室を助けに結界の外へ出たり、瀕死の一年生を助けにデーモンと一対一の戦いに挑んだりしないだろう?」
「…テメェちゃんと知ってるじゃねぇか」
フィールドに入り、銀剣──ではなく金剣を抜く。
「む、私の双剣に合わせてくれないのか?」
「うるせぇ。ちょっとムシャクシャしてるからそれなりに本気だ」
マキナも起動。まだ血のストックは少ないが、纏って戦う分には問題ない。
「俺に銀剣出させてみろよ《貴刃》」
「私はその名前、あまり気に入ってる訳では無いのだがな《緋眼騎士》」
俺もだよ。
0
あなたにおすすめの小説
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる