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本編
メッセージと剣
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誰にも聞かれない場所、と言うのは案外難しいものだ。
今までは「じゃあ夜中の訓練所」と言えたが、研究所が学校の色んな所と通じていると聞いてそうもいかなくなった。シャルやレイヴァーとの会話も訓練所などであまりしない方が良いのだろうが…まぁ、重要なことは頭の中で言えばいいだけか。頭ン中の亡霊に語りかけるだけでいつもこんな所に来るのも面倒だし、一人でやる鍛錬の終わりに言うのが一番楽だ。
部屋を出たのが夜の十時を回ってから。ちなみにティロは俺が風呂から上がる頃には既に部屋にいなかった。アーネから聞いた話だと、なんか慌てて出てったらしいが…なんかあったのかね
あ?で、今どこにいるかって?
寮の屋上。もちろん鍵なんてないから外側からひょいひょいひょいと登ってきた。
毎度思うがマキナの汎用性って異常だよなぁ…空中に浮かせたマキナの破片を連続して踏み、空中を走るようにしてここまで登ってきたのだが、明らかに普通の鎧の用途ではない。
まぁ、いつもメッセージばかり使っているので今更ではあるが。
で、今からまたメッセージを使う訳だ。
「マキナ、時間は?」
『只今・二十二時・二十八分です』
「おっけードンピシャか」
だったら丁度いい。
耳に意識を集中させることで聴力を一時的に強化。辺りの音を聞きつつ、コツコツと爪で地面を叩いて返ってくる音を拾う。
………誰かが隠れているようなことは無さそうだ。
緋眼で見渡しても問題ない。これなら話を聞かれるなんてことはまず無いだろう。
「繋げ」
『了解しました』
しばしの沈黙の後、マキナの向こうからガサガサと言う音が聞こえる。
『…誰?』
いつものように名乗ろうかと思ったが、俺の思っているヤツと違う可能性もあるのか。
「二刀の狼だ」
一瞬考え、頭のいい相手なら何となく分かるだろう答えを返す。
『………………………………………………あぁ、なるほど。一応理解出来たんだ。知能レベルをバカ並みに下げてよかったわ』
この野郎。
「一応確認しておく。研究所のチビだな?」
『そう言うアンタは二つ名持ちのバカね?』
ああいえばこういうと言うのはまさにこう言う事なのだろう。俺一生こいつに口喧嘩で勝てる気しねぇわ。
「で?なんでわざわざラピュセやイーノに隠してまで俺に?」
『その前にアンタ、周りに誰もいないでしょうね?聞かれたら面倒になるのアンタよ。なんせアンタの主装の話なんだから』
「居ねぇ。寮の屋上だ。誰か居りゃすぐ分かる」
『そう…ならとっとと言うわね。私も暇じゃないし、アンタもそっちの方がいいでしょ?』
「あぁ頼む」
『アンタの剣…金剣と銀剣だっけ?それの分析結果よ。二時間じゃ大したことは分からなかったけど、二つは自信を持って言えるわ。まぁ、あなたの知っていることかもしれないけれど…』
ガサガサと何かが擦れる音。いや、これは紙を繰っているのか?
『ひとつはその剣の中…金の方は金の刀身とはまた別に内部に何かあるわね。外側からの観測結果だけど、膨大な魔力も秘めてる。言い換えるなら質量を持った魔力とでも言うのかしら?まぁ、あなたは魔法を使わないから関係ないでしょうけど』
質量を持った魔力…?聖弾は実体を持たない魔法っぽい何かのはずだが。
「それが一つ目か?」
『いえ?銀の方も含めて一つめよ。銀の剣の方についてはどちらかと言うと逆ね。中にまた別のものが入っているのは同じなのだけど、驚く程スカスカね。アンタの脳ミソといい勝負なんじゃない?』
「テメェ次会ったらぶん殴らせろ」
おっと、つい本音が。
『冗談よ。アンタの方がまだマシ。…まぁそれぐらい無いわね。ほとんど空洞。魔力も感じない。異常に重いのは単純にその外身の銀の部分の重さね。何でできてるか分からないのが悔しいけど…まぁそんな感じ。わかった?』
「あぁ」
銀剣が重いのは単純に銀の部分が重いから?
ちょっと待て。いや、そう言えば。
金剣は元々使用者の身体を軽くさせ、受ける相手が逆に使用者の身体を重く感じさせるという能力があった。結果的に怪力と近い能力ではあったが、その本質は微妙に違った。
そして、それは契約の更新前も後も変わらない。《聖弾》の解放後は消えるという違いはあるにしろ、能力は変わらなかった。
だが銀剣は?ほぼ別のものとなった。
自身にとって軽く、相手にとって重い剣は自身にも相手にも重い超重量の双剣となった。
けどそれが間違っている…としたら?
もしかしたら──
『話、続けるわよ?いい?』
「あぁ悪い、ちょいと考え事をしていた。続けてくれ」
『そ。じゃあ続けるわね。二つ目なんだけど、その剣、両方同じ金属で出来てるわ。中身の方は知らないけど。じゃあね』
「あ、ちょっ!?」
『切れました。繋ぎ直しますか』
「…どうせ繋がんねぇしいいよ」
両方同じ金属から出来てる?ならなぜこんなにも性質が違うのか。
なにか可能性があるとしたら──
「文字…ルーン、だっけ?」
剣に刻まれた文字の方だろうか。
今までは「じゃあ夜中の訓練所」と言えたが、研究所が学校の色んな所と通じていると聞いてそうもいかなくなった。シャルやレイヴァーとの会話も訓練所などであまりしない方が良いのだろうが…まぁ、重要なことは頭の中で言えばいいだけか。頭ン中の亡霊に語りかけるだけでいつもこんな所に来るのも面倒だし、一人でやる鍛錬の終わりに言うのが一番楽だ。
部屋を出たのが夜の十時を回ってから。ちなみにティロは俺が風呂から上がる頃には既に部屋にいなかった。アーネから聞いた話だと、なんか慌てて出てったらしいが…なんかあったのかね
あ?で、今どこにいるかって?
寮の屋上。もちろん鍵なんてないから外側からひょいひょいひょいと登ってきた。
毎度思うがマキナの汎用性って異常だよなぁ…空中に浮かせたマキナの破片を連続して踏み、空中を走るようにしてここまで登ってきたのだが、明らかに普通の鎧の用途ではない。
まぁ、いつもメッセージばかり使っているので今更ではあるが。
で、今からまたメッセージを使う訳だ。
「マキナ、時間は?」
『只今・二十二時・二十八分です』
「おっけードンピシャか」
だったら丁度いい。
耳に意識を集中させることで聴力を一時的に強化。辺りの音を聞きつつ、コツコツと爪で地面を叩いて返ってくる音を拾う。
………誰かが隠れているようなことは無さそうだ。
緋眼で見渡しても問題ない。これなら話を聞かれるなんてことはまず無いだろう。
「繋げ」
『了解しました』
しばしの沈黙の後、マキナの向こうからガサガサと言う音が聞こえる。
『…誰?』
いつものように名乗ろうかと思ったが、俺の思っているヤツと違う可能性もあるのか。
「二刀の狼だ」
一瞬考え、頭のいい相手なら何となく分かるだろう答えを返す。
『………………………………………………あぁ、なるほど。一応理解出来たんだ。知能レベルをバカ並みに下げてよかったわ』
この野郎。
「一応確認しておく。研究所のチビだな?」
『そう言うアンタは二つ名持ちのバカね?』
ああいえばこういうと言うのはまさにこう言う事なのだろう。俺一生こいつに口喧嘩で勝てる気しねぇわ。
「で?なんでわざわざラピュセやイーノに隠してまで俺に?」
『その前にアンタ、周りに誰もいないでしょうね?聞かれたら面倒になるのアンタよ。なんせアンタの主装の話なんだから』
「居ねぇ。寮の屋上だ。誰か居りゃすぐ分かる」
『そう…ならとっとと言うわね。私も暇じゃないし、アンタもそっちの方がいいでしょ?』
「あぁ頼む」
『アンタの剣…金剣と銀剣だっけ?それの分析結果よ。二時間じゃ大したことは分からなかったけど、二つは自信を持って言えるわ。まぁ、あなたの知っていることかもしれないけれど…』
ガサガサと何かが擦れる音。いや、これは紙を繰っているのか?
『ひとつはその剣の中…金の方は金の刀身とはまた別に内部に何かあるわね。外側からの観測結果だけど、膨大な魔力も秘めてる。言い換えるなら質量を持った魔力とでも言うのかしら?まぁ、あなたは魔法を使わないから関係ないでしょうけど』
質量を持った魔力…?聖弾は実体を持たない魔法っぽい何かのはずだが。
「それが一つ目か?」
『いえ?銀の方も含めて一つめよ。銀の剣の方についてはどちらかと言うと逆ね。中にまた別のものが入っているのは同じなのだけど、驚く程スカスカね。アンタの脳ミソといい勝負なんじゃない?』
「テメェ次会ったらぶん殴らせろ」
おっと、つい本音が。
『冗談よ。アンタの方がまだマシ。…まぁそれぐらい無いわね。ほとんど空洞。魔力も感じない。異常に重いのは単純にその外身の銀の部分の重さね。何でできてるか分からないのが悔しいけど…まぁそんな感じ。わかった?』
「あぁ」
銀剣が重いのは単純に銀の部分が重いから?
ちょっと待て。いや、そう言えば。
金剣は元々使用者の身体を軽くさせ、受ける相手が逆に使用者の身体を重く感じさせるという能力があった。結果的に怪力と近い能力ではあったが、その本質は微妙に違った。
そして、それは契約の更新前も後も変わらない。《聖弾》の解放後は消えるという違いはあるにしろ、能力は変わらなかった。
だが銀剣は?ほぼ別のものとなった。
自身にとって軽く、相手にとって重い剣は自身にも相手にも重い超重量の双剣となった。
けどそれが間違っている…としたら?
もしかしたら──
『話、続けるわよ?いい?』
「あぁ悪い、ちょいと考え事をしていた。続けてくれ」
『そ。じゃあ続けるわね。二つ目なんだけど、その剣、両方同じ金属で出来てるわ。中身の方は知らないけど。じゃあね』
「あ、ちょっ!?」
『切れました。繋ぎ直しますか』
「…どうせ繋がんねぇしいいよ」
両方同じ金属から出来てる?ならなぜこんなにも性質が違うのか。
なにか可能性があるとしたら──
「文字…ルーン、だっけ?」
剣に刻まれた文字の方だろうか。
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