大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

血と取引

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「あの人の、孫…?」
「あぁ、血脈と言ったがそういうモンじゃない。別に弟子って訳でも無い。俺達はただ受け継いで来ただけの、そう言うモンだ。お前が言う『あの人』はもういないが、それと同じ力はここにある。力は絶えていないし、心も死んでいない」
血界を解除し、腕を下ろす。
「ついでに言おう、アンタの研究は半ば以上、別の奴の手で完成してる。さっき二代目の聖女がここの研究を盗んだって言ったな」
「…えぇ。それが何か?」
「その当人が完成させたよ。狙ったスキルを持った、ヒトの手によるヒト。ホムンクルスって呼んでたな。俺の育ての親だ」
「………ッ!?」
驚き、懐疑、戸惑い、様々な感情が渦巻き、そして残ったのは──羨望だろうか。
「嘘、嘘よ。あの子がそんな事出来る訳が無いもの…」
「嘘じゃないさ。証拠は無いが。強いて言うなら俺が証拠かね?出身は紅の森だ」
「口からならなんとでも言えるわ!それに、肉体とスキルが用意出来ても、それに耐えうる魂がないじゃない!」
あるいは金剣か銀剣を出せばよかったかもしれないが、そもそも盲目の彼女に見せてもわかるものなのか。
「言っただろ、心も死んでないって」
「──え?」
俺達《勇者》は死後も記憶と人格を保有し続け、他の魂とは違い隔離された空間へと送られる。
それは次の《勇者》の中。次世代の《勇者》を育てる傍ら、自身の力をただひたすらに磨き続ける。そのため、魂の強度が他の魂と比べて圧倒的に高いのだろう。でなければ死後も人格や記憶を個別に保つのは難しいらしい。
「俺の育ての親のホムンクルスはお前が言ってる『あの人』と同じだ。確かシャルレーゼ、って名前だろ。名前を変えて、今は紅の森で毎日、結界を抜けてきた魔獣と戦ってる」
「嘘、嘘…」
そう言って膝から崩れ落ちるラピュセ。
「別にいいじゃねぇか。お前が完成させた訳じゃないが、お前の技術は役立ってんだ。多分、二代目聖女がシャルレーゼを使って結界の守りをさせて無かったら、とっくの昔に魔獣に結界を破られて他かもしれないんだしさ」
そう言ってやると、ラピュセが傍の机に手を触れ、無理矢理起こすように立ち上がる、
「はっ、何言ってるのよ。お前の努力は無駄じゃなかったって言って適当に終わらせる気?冗談じゃないわ。私の努力は私が実らせたいの。他の誰かが成功してようが、私の幸せにはならないのよ。そこは履き違えないで」
「そんなことを言うつもりは毛頭無いさ。さて、そこで取引だ」
「取引?」
「あぁ、アンタはシエルに金輪際関わらない。そうするなら、俺は自分の血を少しだけサンプルとしてやる」
元々俺の怒りをぶつけてどうにかしてやろうと思っていたが、その気も失せた。なら確実に、次をさせない方向に持っていこう。
「あの聖女でさえ血による魔法は再現出来なかった。やってみるか?」
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