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本編
人馬と緋眼
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視認した瞬間、違和感を感じた。
その見た目があまりにちぐはぐであること、明らかに自然発生的に生まれた存在ではないことに──ではない。
腕が六本とは言えヒトの上半身を持ち、足が八本あるとは言え腰から下が馬。そして猛烈な程感じる匂いは魔族のそれが非常に濃く、よくよく感じてみれば僅かに別のものを感じ取れる。
これはまさか…狭間の子?
そして今理解した。同時に込み上げてくる吐き気。
『おい、こいつって…』
「多分。いや、間違いない。ラピュセが作ったんだ」
ラピュセは《勇者》を作るためならどんな事でもするだろう。だからなんでもしたのだろう。ヒトと魔獣を掛け合わせるだけでなく、魔族のや肉塊のパーツでさえ組み込んだのだろう。
それが今や廃棄処分で俺と戦わせる為の駒って訳か。
「…ん?」
じっと見れば首になにやら巻いてある。いや、あれは…首輪?真っ黒な金属製の頑丈そうな首輪だ。そして、手足にひとつずつ黒い重りが挟まれている。一つ何キロか分からないが、明らかに重そうな大きさ。ひとつですら持てるかどうか。
その重りが今弾け、ガランゴトンと床に散らばる。奴がそれを不思議そうに眺めた後、首輪も遅れて割れ地に落ちる。
ガン、と床に落ちた瞬間だった。
『Viaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』
およそ人には出せない、馬のような嘶き。思わず耳を押さえる。
奴は首を二、三度横に振り、前足を高く上げて叫びながら宙を走り始めた。
「は!?」
『なんだありゃ…』
まるで重りと首輪から解放されたのが嬉しくてたまらないと言わんばかりに、俺には目もくれず空中を駆け回る人馬。ご丁寧に蹄鉄まで嵌めてあるのが俺の所からも見えるのが笑える。
だが、走っている途中で気づいたのだろう、動きが明らかに変わる。
余裕を持って走り回る遊びの動きから、殺意を持って加速する戦いの動きに。
「気づいたか」
『だな』
奴の動きはもう空中を駆け回ると言った生易しいものでは無い。空中を蹴り、徐々に加速していく。音はバカラバカラからただの破壊音に変わり、その双眸がどこへ行っても俺を見据えているのが分かる。
『止めないのか』
「空中にどうやって行けってんだ。踏ん張れねぇぞ」
奴の走った後には燃える蹄の跡が残り、この空間の気温が上がっていく。
さらに動きが変わった。加速が充分に足りたのだろう、真正面から俺へ向かって突撃してきた。
空を蹴る勢いは凄まじく、加速もまた尋常ではない速度が乗っている。
だが。
「悪いけどそれ、叩き潰すだけなら楽なのよ」
両足から杭のような踏ん張りを床に突き刺し、髪を束ねて第三の足を作る。三脚のように形作った後、突っ込んできた奴の真正面から金剣をぶち当てた。
その見た目があまりにちぐはぐであること、明らかに自然発生的に生まれた存在ではないことに──ではない。
腕が六本とは言えヒトの上半身を持ち、足が八本あるとは言え腰から下が馬。そして猛烈な程感じる匂いは魔族のそれが非常に濃く、よくよく感じてみれば僅かに別のものを感じ取れる。
これはまさか…狭間の子?
そして今理解した。同時に込み上げてくる吐き気。
『おい、こいつって…』
「多分。いや、間違いない。ラピュセが作ったんだ」
ラピュセは《勇者》を作るためならどんな事でもするだろう。だからなんでもしたのだろう。ヒトと魔獣を掛け合わせるだけでなく、魔族のや肉塊のパーツでさえ組み込んだのだろう。
それが今や廃棄処分で俺と戦わせる為の駒って訳か。
「…ん?」
じっと見れば首になにやら巻いてある。いや、あれは…首輪?真っ黒な金属製の頑丈そうな首輪だ。そして、手足にひとつずつ黒い重りが挟まれている。一つ何キロか分からないが、明らかに重そうな大きさ。ひとつですら持てるかどうか。
その重りが今弾け、ガランゴトンと床に散らばる。奴がそれを不思議そうに眺めた後、首輪も遅れて割れ地に落ちる。
ガン、と床に落ちた瞬間だった。
『Viaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』
およそ人には出せない、馬のような嘶き。思わず耳を押さえる。
奴は首を二、三度横に振り、前足を高く上げて叫びながら宙を走り始めた。
「は!?」
『なんだありゃ…』
まるで重りと首輪から解放されたのが嬉しくてたまらないと言わんばかりに、俺には目もくれず空中を駆け回る人馬。ご丁寧に蹄鉄まで嵌めてあるのが俺の所からも見えるのが笑える。
だが、走っている途中で気づいたのだろう、動きが明らかに変わる。
余裕を持って走り回る遊びの動きから、殺意を持って加速する戦いの動きに。
「気づいたか」
『だな』
奴の動きはもう空中を駆け回ると言った生易しいものでは無い。空中を蹴り、徐々に加速していく。音はバカラバカラからただの破壊音に変わり、その双眸がどこへ行っても俺を見据えているのが分かる。
『止めないのか』
「空中にどうやって行けってんだ。踏ん張れねぇぞ」
奴の走った後には燃える蹄の跡が残り、この空間の気温が上がっていく。
さらに動きが変わった。加速が充分に足りたのだろう、真正面から俺へ向かって突撃してきた。
空を蹴る勢いは凄まじく、加速もまた尋常ではない速度が乗っている。
だが。
「悪いけどそれ、叩き潰すだけなら楽なのよ」
両足から杭のような踏ん張りを床に突き刺し、髪を束ねて第三の足を作る。三脚のように形作った後、突っ込んできた奴の真正面から金剣をぶち当てた。
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