大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

夜闇と侵入

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さてその夜。俺は窓を静かに破壊してとある家に忍び込んでいた。
とある家と言ってもまぁ分かるだろう。つまりは現都市長の家だ。
俺なりに色々聞き回ったりなんなりしてみて、とりあえず情報を集めてみた。と言っても噂話程度なのだが。
結論から言うと、誰に聞いても返事は微妙だった。誰もが口を噤むという訳ではなく、そもそもよく知らないらしい。
というのも、元都市長が捕まった後、王都の方から派遣された者らしく、仕事が忙しいのか外出もほとんどない。結婚もしていないようで、まるで人物が掴めなかった。
ただ、東の領地を任されているだけあって妖精種フェアリーなのは確定している。余談だが、容姿についてもかなり幼いが、二十歳程度らしいという話も聞いた。
実際、俺が今見下ろしている寝顔もかなり幼い。見た目だけなら…そうだな、丁度シエルと同じかそれより少しだけ歳上に見えるか。
先に口をそっと塞ぎ、その上で軽く腹の辺りを叩いて起こす。
無防備に緩んでいた腹が小気味いい音を立て、予想外のダメージに妖精種フェアリーの男が飛び起きようとする。
「──!、………!?──!!」
「静かに。怪しい…だろうが、アンタにゃ危害を加えんよ。騒がれると面倒なもんで、静かにしてくれるか?」
「………。」
男はじっとこちらを睨みつけ、一度コクリと頷いた。
それを信じ、俺が手を離した瞬間に尋常ではない超速詠唱。
「《ボルト》」
短い名称には似合わない、特大の光が零距離で爆ぜた。
幸い、魔法で作られたせいか、音はなく、カーテンは閉めたので光も全く…とは言わないまでも、ほとんどカットされたはず。そう思いたい。
もちろんダメージはゼロ。俺の魔法返しがなんとか持った形だ。
「なっ…」
「生憎と体質で魔法は効かんもんでな。しかし素手で魔法は…あぁ、指輪か、そういうのもあったな」
赤い宝石のついた指輪を奪い、一旦ポケットに入れる。
「さて都市長サン、滅茶苦茶怪しいだろうが、とりあえず話を聞いてくれ。俺は…まぁ、フィーネとでも呼んでくれ。後で指輪も返すし、下手に暴れたりしなきゃ傷も負わせん。ちょいと聞きたいことがあっていても立ってもいられなくって来ちまった訳だ」
「………。」
都市長は黙ったまま。まぁ、現状を飲み込めてないってのと、そもそも喋るのが悪手って判断したんだろうな。そりゃそうなるか。
しかしこうなると絶対喋ってくれなさそうだしな…さて、こういう時は交換条件だが…
「ただ質問に答えるだけだとお前に得が無いし、別に脅したい訳でもないしな……あー、そうだ、質問も兼ねて…これに見覚えは?」
と言って取り出したのは闇色の石。と言っても、明かりが一切ないこの部屋では全く見えない。
見えるのは唯一、おぞましいまでに放たれている超濃度の魔力か。
その石を見た瞬間、都市長の目が一瞬見開かれた。
「お、当たりか。なら話は早い。こいつが欲しいなら話して貰おうか」
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