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本編
連絡と戦況
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「大丈夫ですの!?」
「あぁ大丈夫だ。傷一つ受けちゃいない」
マキナを解除させ、腰に戻す。
しかし、こんな序盤で金剣を使い切ったのは正直手痛いな。丸一日は刃が出てこないだろう。
一度休憩したいが、ここで座り込んだらそのまま動けなくなりそうなので、立った状態で色々確認して行く。
「あれだけ炎や爆発を受けていましたのに…本当に大丈夫なんですの?」
「勇者ってのはそういうモンなんだって。…マキナ、学校長からメッセージとかあったか?」
聖学から結構離れちゃいるが、このぐらいの距離なら届く可能性は充分にある。術者によって距離は変わるから、俺の側から飛ばすのは難しいかもしれんが。
『はい。接敵し次第、敵と現在地の情報を送るよう指示がありました』
「出したのか?」
『はい。戦闘開始直後の事です』
体感だが、魔族と戦っていたのは十分程度。ここに来るまでもそのぐらいだったから、じきに誰か来る…いや。
「なぁおい《亡霊》さんよ、周りに魔族は?」
『あ?あぁ…居ねぇな。俺の感知範囲なんざたかが知れてるが』
「なるほど、居ないのか。なら一旦学校に向かって戻──」
『メッセージです。学校長から』
いいタイミングだ。即座に繋ぐように言う。
ついでなので、マキナを一部アーネ渡し、聞こえるようにしておく。彼女が喋っても向こうに聞こえはしないが。
『まだ生きていましたか』
「あぁ勿論。こっちにゃ優秀な魔法使いもいる。生き残るぐらい訳ないさ」
『アーネ・ケイナズですね。先程も言いましたが、勝手に生徒を連れ出して行くなど、本来あってはならない行為──』
「必要だったからだよ。実際いなけりゃ死んでた…かもしんねぇ」
肩を竦めてそう言う。
「で、本題は?」
『各所で戦闘が開始されました。その地点から移動し、魔族の撃破に当たってください』
「なんともまぁ簡単に言ってくれるねぇ。こっちだって必死だってのに」
『戦況はかなり逼迫しています。戦局を左右出来うる二つ名持ちである以上、戦闘には参加してもらいます』
「……今、他はどうなってる」
『私の魔法で荒野を俯瞰し、魔族の大まかな位置を把握しています。あなたを除く四名の二つ名持ちは既に交戦中、さらに生徒の中で優秀だと判断した生徒も参加してもらっています』
「先生達は?」
『半分程前線に出ています。残り半分は聖学と残った生徒の防衛でこちらに』
聖学の生徒はせいぜいが百人程度。学校長の言う優秀な生徒や前に出られる先生が何人いるか、どの程度の事を指すのか分からないが、魔族には魔法ではなく魔術がある。場合によっては魔族に対して倍の数を用意してもあっさりと消えかねない。
学校長は何人まで死ぬ事を許容するつもりなのだろうか。
メッセージ相手である彼女にも聞こえるよう、大きく溜息をついた。
聖学に入った時点で、彼らも死ぬ事があるかもしれないと覚悟はしていただろう。
だが、だからと言って彼ら自身が全員、死ぬ事を甘んじて許容するような事はあろうはずがない。
アーネの方を向いて、どうだ?と目線で聞くと、彼女は頷いた。
「で、どこに行きゃいい」
『じきそちらにオードラル先生が着きます。彼に運んでもらってください』
「ん…あぁ、来た」
そう言うと、学校長はメッセージを切る。随分と急いでいる様子だ。
「よう!久しぶりだな!二人とも元気そうで良かった!」
ゲラゲラと笑いながら来た先生は、そう言って後ろに乗れとスレイプニルの後ろを指さす。
まぁ、八足もある馬だから多少は胴が長いのだが…三人は流石に結構ギリギリか。
「目的地までどんぐらいだ?」
「一分もかからんぞ。なんせ一番早い奴をクードラルから借りたからな!落ちないよう、気をつけろよ」
そう言ってオードラル先生が手綱を鳴らすと、スレイプニルが嘶き、猛然と駆け始める。
一分か…せめて五分ぐらいあれば一眠り出来たんだがな…
身体を覆う疲労感がせめて少しでも抜けるよう、俺はゆっくりと目を閉じた。
「あぁ大丈夫だ。傷一つ受けちゃいない」
マキナを解除させ、腰に戻す。
しかし、こんな序盤で金剣を使い切ったのは正直手痛いな。丸一日は刃が出てこないだろう。
一度休憩したいが、ここで座り込んだらそのまま動けなくなりそうなので、立った状態で色々確認して行く。
「あれだけ炎や爆発を受けていましたのに…本当に大丈夫なんですの?」
「勇者ってのはそういうモンなんだって。…マキナ、学校長からメッセージとかあったか?」
聖学から結構離れちゃいるが、このぐらいの距離なら届く可能性は充分にある。術者によって距離は変わるから、俺の側から飛ばすのは難しいかもしれんが。
『はい。接敵し次第、敵と現在地の情報を送るよう指示がありました』
「出したのか?」
『はい。戦闘開始直後の事です』
体感だが、魔族と戦っていたのは十分程度。ここに来るまでもそのぐらいだったから、じきに誰か来る…いや。
「なぁおい《亡霊》さんよ、周りに魔族は?」
『あ?あぁ…居ねぇな。俺の感知範囲なんざたかが知れてるが』
「なるほど、居ないのか。なら一旦学校に向かって戻──」
『メッセージです。学校長から』
いいタイミングだ。即座に繋ぐように言う。
ついでなので、マキナを一部アーネ渡し、聞こえるようにしておく。彼女が喋っても向こうに聞こえはしないが。
『まだ生きていましたか』
「あぁ勿論。こっちにゃ優秀な魔法使いもいる。生き残るぐらい訳ないさ」
『アーネ・ケイナズですね。先程も言いましたが、勝手に生徒を連れ出して行くなど、本来あってはならない行為──』
「必要だったからだよ。実際いなけりゃ死んでた…かもしんねぇ」
肩を竦めてそう言う。
「で、本題は?」
『各所で戦闘が開始されました。その地点から移動し、魔族の撃破に当たってください』
「なんともまぁ簡単に言ってくれるねぇ。こっちだって必死だってのに」
『戦況はかなり逼迫しています。戦局を左右出来うる二つ名持ちである以上、戦闘には参加してもらいます』
「……今、他はどうなってる」
『私の魔法で荒野を俯瞰し、魔族の大まかな位置を把握しています。あなたを除く四名の二つ名持ちは既に交戦中、さらに生徒の中で優秀だと判断した生徒も参加してもらっています』
「先生達は?」
『半分程前線に出ています。残り半分は聖学と残った生徒の防衛でこちらに』
聖学の生徒はせいぜいが百人程度。学校長の言う優秀な生徒や前に出られる先生が何人いるか、どの程度の事を指すのか分からないが、魔族には魔法ではなく魔術がある。場合によっては魔族に対して倍の数を用意してもあっさりと消えかねない。
学校長は何人まで死ぬ事を許容するつもりなのだろうか。
メッセージ相手である彼女にも聞こえるよう、大きく溜息をついた。
聖学に入った時点で、彼らも死ぬ事があるかもしれないと覚悟はしていただろう。
だが、だからと言って彼ら自身が全員、死ぬ事を甘んじて許容するような事はあろうはずがない。
アーネの方を向いて、どうだ?と目線で聞くと、彼女は頷いた。
「で、どこに行きゃいい」
『じきそちらにオードラル先生が着きます。彼に運んでもらってください』
「ん…あぁ、来た」
そう言うと、学校長はメッセージを切る。随分と急いでいる様子だ。
「よう!久しぶりだな!二人とも元気そうで良かった!」
ゲラゲラと笑いながら来た先生は、そう言って後ろに乗れとスレイプニルの後ろを指さす。
まぁ、八足もある馬だから多少は胴が長いのだが…三人は流石に結構ギリギリか。
「目的地までどんぐらいだ?」
「一分もかからんぞ。なんせ一番早い奴をクードラルから借りたからな!落ちないよう、気をつけろよ」
そう言ってオードラル先生が手綱を鳴らすと、スレイプニルが嘶き、猛然と駆け始める。
一分か…せめて五分ぐらいあれば一眠り出来たんだがな…
身体を覆う疲労感がせめて少しでも抜けるよう、俺はゆっくりと目を閉じた。
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