大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

自己嫌悪と休憩

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最悪の気分だ。
もう何もかも、いろんな意味で最悪の気分。
なんと言うか…無気力感とでも言うのか?とにかくやる気が出ない上、自分の行動を振り返ってみて、尚更最悪の気分に浸っている。
一度寝てみれば多少なりとも忘れられるかと思っていたが、かえって鮮明になってひどい思いを今している。
何?人は自由だ、とか。
何が後衛は臆病者、だ。
全部図書館にあった本のもろパクリじゃねぇか。
ちなみに、前者は何とかって名前のオッサンが書いた詩集か何かで、後者は脳筋前衛のススメとかいう本から。
ま、どうでもいいか。
それに、臆病者は俺だ。
自分で勝手に聖女サマをカテゴライズして、それに合わなかったから、俺の思い描いていた聖女サマとはかけ離れていたから、あんな風に殴った。蹴った。
こんなの、俺の知ってる聖女じゃない。
ものを知らない小さな糞ガキのように。
全く…聖女がどんなものかもロクに知らないでおきながら、なんとも自分勝手なことを思ったものだ。
その感情が暴れた結果があのボロボロになった聖女サマ。
勝手に幻想ユメいだいておきながら、勝手に幻滅した。
これが俺じゃなく、他の誰かで、俺がそれを見ていたら確実に殴っていただろう。
ふざけんな、勝手にそんなモン押し付けんじゃねぇ。とか言うセリフ付きで。
「ぅあーーーーー………」
思わず声が出た。
声は掛け布団に当たり、くぐもった声になって漏れ出ていく。
最低下劣、ここに極まれり。
「………おかあさん、おきた?」
「…ん、起きたよ。どのぐらい寝てたか分かるか?」
ベッドの掛け布団からずるずると顔だけ出し、天井をじっと眺めながらシエルにそう聞いてみる。
「大体一時間程度です。あの…大丈夫ですか?」
「んー………ん?」
ギギ、ギ、ギ、と油の切れた蝶番よりもぎこち無く首を横に倒す。
視界に入ったのは、部屋に置いてある椅子に座り、シエルを膝に乗せて絵本を読んでいる聖女サマ。
…ふむ、窓から差し込んでくる陽の光を反射して、金の髪が純金で編まれているようにも見える。どこぞの高名な画家が描いた一作品にありそうだな。
そこまで考えて。
「……………………スマン、まだちょっと寝てるらしいからもう一回寝てくる」
「あぁっ!待ってください!夢じゃありません!」
既に白の私服に着替えた聖女サマが慌てて俺を揺さぶって起こしにかかる。
「わかったわかった、起きるからちょい待ってくれ」
ダルい身体を起こし、とりあえずベッドから降りる。
服のあちこちにシワが出来ていたが、仕方あるまい。着替える暇もなく寝たからな。
「で、何用?」
「特に何用という訳では無いのですが…用がなければ来てはいけませんか?」
「…む。別に構わねぇけど…」
訓練はしねぇの?と聞いてみると、少し休みましょう、と返ってきた。
「二人共…休息が必要でしょうから」
聖女サマはそう言うと、シエルを再び膝の上に乗せて絵本を読み始めた。
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