1,833 / 2,040
本編
告白と血
しおりを挟む
『つっても、大体気づいてるだろ?』
誰も彼もが寝静まった夜、俺が目覚めて一日経ってからシャルが『約束の通り、例の件について教えに来た』と珍しく自分から言って来たのだ。いつもならこの手の話題は俺が聞いてやらないと絶対答えないのに。
そして、今のセリフを言ったのだ。
「三割ぐらいなら」
『分かってねぇのと同じじゃねぇか。まぁ普通じゃ有り得ないことだったしな』
その言葉は、普通ではないことが起こったという事を裏から肯定する。
『アーネは恐らく俺の…孫にあたる血筋だ』
その答えに、俺はやはりという感想と何故、という疑問が同時に湧いた。
普通のヒトは《勇者》の血に耐性がない。というか、仮にも神の力なのだから、普通のヒトは絶対に耐えられない。《聖女》は非常に特殊なケースだと言える。
なら何故アーネは俺の血に耐性があったのか。
何かしらの特殊ユニットの力が働いているか。
あるいは、アーネ自体が特殊ユニットなのか。
可能性は二つ。しかし前者は、誰がどういう意図でただの個人にこんなピンポイントな能力を与えているのかという疑問が。後者は神の数が絶対に合わなくなるのでそもそも否定が発生する。
だが、後者の考えに限りなく近い不正解がずっと前から有り、そして否定されていた。
すなわち、《勇者》の子孫。血脈とは全く別、生物の生殖を経てこの世に次を残す手段。
だが。
「おい、でもそれって無理だって話だろ。ヒトと《勇者》とじゃそもそも生物として別物だって」
そう言うと、シャルが答えた。
『誰が《勇者》とヒトの子だって言った。《勇者》と《理》。この二つの間に生まれたのがアーネの母だ』
「……は?」
予想の斜め上をすっ飛んだ答えに、思わず呆けたような声を出す。
「《理》って要は金剣だろ。そんなのとどうやって──」
あぁいや、違った。
今俺の知ってる金剣と、シャルの知ってる金剣はまるで違うのだった。
金剣は姿を変え、ありとあらゆる物になる事が出来たらしい。
たしかその名前は《理》という無機質なものではなく、もっとヒトらしい名前だったか。
『アベル。それが俺の相手だ』
「ヒトのナリした剣……か。それもただの剣じゃねぇ。機人の神の力を受けたれっきとした特殊ユニット。《勇者》に合わせるには充分か」
ヒトと《勇者》では格が違う。だが、《勇者》と《理》──いや、正確には《勇者》と《比翼の剣》か。片割れであったとしても、神の力を持つ特殊ユニットであることに変わりはない。
『いや、特殊ユニットだから成功した訳じゃない。アベル……《理》の能力が無かったら絶対に有り得なかった』
《勇者》に血界、《聖女》に結界、《王》には……そうだな、さしずめ掌握とでも言おうか。ともかく、それぞれの運用に合った能力が与えられる。
当然それは機人の特殊ユニットである《比翼の剣》であっても同様。
『《理》の能力は《全なる一》。《理》自体が世界全てを表し、それを自由に表面化させる能力だ』
「……?」
『まぁ、能力の応用の幅は恐ろしく多岐に渡るから、今回適用された所だけ引っ張ってくると、限定条件下で擬似的に《勇者》にも《魔王》にも、何にでもなれる能力とでも思えばいい。《勇者》と《勇者》。片方が偽物でも、条件としては生殖は可能だろう』
誰も彼もが寝静まった夜、俺が目覚めて一日経ってからシャルが『約束の通り、例の件について教えに来た』と珍しく自分から言って来たのだ。いつもならこの手の話題は俺が聞いてやらないと絶対答えないのに。
そして、今のセリフを言ったのだ。
「三割ぐらいなら」
『分かってねぇのと同じじゃねぇか。まぁ普通じゃ有り得ないことだったしな』
その言葉は、普通ではないことが起こったという事を裏から肯定する。
『アーネは恐らく俺の…孫にあたる血筋だ』
その答えに、俺はやはりという感想と何故、という疑問が同時に湧いた。
普通のヒトは《勇者》の血に耐性がない。というか、仮にも神の力なのだから、普通のヒトは絶対に耐えられない。《聖女》は非常に特殊なケースだと言える。
なら何故アーネは俺の血に耐性があったのか。
何かしらの特殊ユニットの力が働いているか。
あるいは、アーネ自体が特殊ユニットなのか。
可能性は二つ。しかし前者は、誰がどういう意図でただの個人にこんなピンポイントな能力を与えているのかという疑問が。後者は神の数が絶対に合わなくなるのでそもそも否定が発生する。
だが、後者の考えに限りなく近い不正解がずっと前から有り、そして否定されていた。
すなわち、《勇者》の子孫。血脈とは全く別、生物の生殖を経てこの世に次を残す手段。
だが。
「おい、でもそれって無理だって話だろ。ヒトと《勇者》とじゃそもそも生物として別物だって」
そう言うと、シャルが答えた。
『誰が《勇者》とヒトの子だって言った。《勇者》と《理》。この二つの間に生まれたのがアーネの母だ』
「……は?」
予想の斜め上をすっ飛んだ答えに、思わず呆けたような声を出す。
「《理》って要は金剣だろ。そんなのとどうやって──」
あぁいや、違った。
今俺の知ってる金剣と、シャルの知ってる金剣はまるで違うのだった。
金剣は姿を変え、ありとあらゆる物になる事が出来たらしい。
たしかその名前は《理》という無機質なものではなく、もっとヒトらしい名前だったか。
『アベル。それが俺の相手だ』
「ヒトのナリした剣……か。それもただの剣じゃねぇ。機人の神の力を受けたれっきとした特殊ユニット。《勇者》に合わせるには充分か」
ヒトと《勇者》では格が違う。だが、《勇者》と《理》──いや、正確には《勇者》と《比翼の剣》か。片割れであったとしても、神の力を持つ特殊ユニットであることに変わりはない。
『いや、特殊ユニットだから成功した訳じゃない。アベル……《理》の能力が無かったら絶対に有り得なかった』
《勇者》に血界、《聖女》に結界、《王》には……そうだな、さしずめ掌握とでも言おうか。ともかく、それぞれの運用に合った能力が与えられる。
当然それは機人の特殊ユニットである《比翼の剣》であっても同様。
『《理》の能力は《全なる一》。《理》自体が世界全てを表し、それを自由に表面化させる能力だ』
「……?」
『まぁ、能力の応用の幅は恐ろしく多岐に渡るから、今回適用された所だけ引っ張ってくると、限定条件下で擬似的に《勇者》にも《魔王》にも、何にでもなれる能力とでも思えばいい。《勇者》と《勇者》。片方が偽物でも、条件としては生殖は可能だろう』
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる