大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

魔法と開戦合図

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ウィルが応えた直後、合図が鳴った。
合図が鳴った直後、雨のようなが降ってきた。
「「はぁっ!?」」
「おのれ西学共!!」
焦る《不動荒野》と吼える《逆鱗》。
それもそうだ。魔法には普通、詠唱が必要なものだ。
無詠唱も可能と言えば可能だが、威力は落ちる
そしてこの威力、絶対に詠唱無しで撃てるものでは無い。
もし撃てるとすれば、それは既に英雄という頂に片手をかけている者だ。
となると、非常に簡単な答えが出る。
誰でもわかる、簡単で明快な答えが。
「アイツら、既に詠唱してたな?」
『な?邪道だろ?』
あぁ同意。
「《不動》!アンタの魔法で押し返せるか!?」
「無理!時間足んない!!」
まぁ…だよなぁ。
シャル、《血鎖》を──。
『ダメだ。目撃者が多過ぎる。使用は許さない』
クソ、なら《千変》をもう一度変形させて──!
「下がれ。私が斬る」
そう言って一歩踏み出したのは《逆鱗》。
手首に巻いてあった鎖を千切ると、みるみるうちに大きくなっていく。
いつだったかに見た、超巨大なあの大剣だ。
「全員、衝撃に備えろ」
そう言った時には、既に《逆鱗》は剣を振っていた。
一瞬だけ、彼が振ったその豪剣が青く発光したかと思うと、次の瞬間には空を覆うような魔法は全て切り裂かれていた。
「本来、魔法というものは斬れない」
《雷光》が小さく呟く。
「しかし、魔法に魔法をぶつければ相殺出来るように、剣そのものを魔法にすれば、それは不可能ではなくなる…全く、耳長種エルフの技をどうやって習得したのか…羨ましいものだ」
なるほどな…一人心当たりがある。
「仕返しだ!!ぶちかませ!」
誰が、なんて聞いたりはしない。
「「了解!!」」
答えたのは《荒野》…のみならず、《不動荒野》。
バチバチと本人達自身が帯電している程の雷をその身に宿し、今まさに撃とうとしていた。
二人がそっと手を合わせ、逆の手のひらを西学側へと向ける…おっと、射線上だった。
「《ツインブラスト・ライトニング》!!」
──オッ!!
音は遅れてやって来た。
天から堕とされ地を這う一対の雷龍は、地面を抉りながら、暴れ回りながらも着実に西学の生徒達の方へと向かい、その距離をまたたく間に食い潰していく。
『…あんなもの、到底《魔法返し》じゃあ打ち消せないぞ…《血鎖》でも怪しい…』
ゾッとした。
明らかに人が人に向かって撃っていい魔法じゃない!!
「おい!死人が出るぞ!!」
「騒ぐな、《緋眼騎士》」
《臨界点》が懐をまさぐりながら俺をなだめる。
「不意打ちを用意しておった連中じゃぞ?当然──仕返しの対抗策もあろうて。ほれ、周りを見てみぃ」
言われて見てみれば、既に《逆鱗》、《勇者》、《雷光》が構えている。
「《不動荒野》、よくやった。後ろからの援護に専念していろ」
「「了…解…」」
二人の返事をかき消す爆音が、さらに鳴った。
『今度は何だッ!?』
目をやると、雷龍を喰らおうとする炎鳥が取っ組みあっていた。
「は…ははっ」
笑えてくる。
どっちも化物揃いじゃないか。
ふと、ついさっき戦った巌のような大男の言葉を思い出した。
なるほど、確かに化け物揃いだ。
雷龍が炎鳥を締め上げ、炎鳥が雷龍の首へ食らいつく。
やがて雷龍の首が千切れると同時に、その千切れた首が正確に炎鳥の方へ向き、同じ雷の息吹ブレスを吐く。
両者が空中で爆発し、本当の開戦合図が鳴った。
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