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本編
敵と理想2
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七合、八合、九合、十合。
剣が打ち合い、火花を散らす。
十一、十二、十三──蹴り。
剣を打ち払い、即座に回避行動。狙いは俺の足を鋭く払う足払い。
本来両者の間合いは大剣。どうしたって浅い足掛けにしかならず、その程度の攻撃ならむしろ、掛けた側が不利になる。
しかし。
相手の持っている武器はレプリカとはいえ金剣。
もしも受ければ確実に体勢を崩し、追撃となる剣の一撃を受けて絶命──そこまで一瞬で見えた。
だが──
「遅い」
右から左へと払われた足目掛けて銀剣を思い切り振り下ろす。
刃は下を向き、当たれば確実に奴の足を断つ。
タイミングは完璧。勢いからして、急停止することも出来ない。
だから俺は即座に回避行動を取った。
爆発音は敵の左足、その踵から。
四肢に仕込まれたギミックもそのままか!厄介な!!
瞬間的に速度を増した足掛けを紙一重で避けるが、それは俺の体勢が崩れた事も意味する。
下手に振られた銀剣を敵の剣が素早く弾く。
金属同士がぶつかり合い、響くのは切なさすら感じる音。
『不味い、《血刃》を──』
「要らねぇ!!」
シャルの言葉を遮り、一度バックステップで距離を取る。
即座に距離を詰めてくる相手に、折れた右腕を真っ直ぐ伸ばして掌底。鼻っ面に叩き込みたかったが流石に避けられる。僅かに横に跳ね、地面を踏むと同時に水面を切る石のように俺の方へ跳ね戻る──渾身の力を込めた剣と一緒に。
しかし、その動きは俺も読んでいる。
「白銀の腕──変形」
想起するのは鋭く硬く大きく、そして決して折れない爪。
一度掴めば絶対に離すことはなく、それどころか握り潰してしまうような、凶悪とも言える鬼の爪。
しかしそれは美しく気高い白銀によって形作られ──敵の剣を片手で掴む。
「白鬼ノ大爪」
掴むと同時に尋常ではない重量が押し付けられる。金剣のレプリカが能力を発揮した。
明らかに人体が耐えきれる重量ではない。しかし、即座に身体を捻り、本人の重さに半ば振り回されるように一回転しつつ、相手が地面に足をつけ、踏ん張るより前に──投げる。
「ッッ!!ラァッ!!」
髪で強化された腕力で全力投擲。この時ばかりは俺も非力とは言えない。
残像すら残るような勢いで吹き飛び、衝撃と共に壁に蜘蛛の巣状の亀裂が入る。訓練所の壁は厚いため、抜けはしないだろう。
出来た僅かな隙。飛びつくように銀剣を拾うと、既に敵が剣を振りかぶっている。
『早すぎるだろうが!!』
シャルが驚くが、俺から見たらナナキはそう言った存在だ。
決して膝をつくことはなく、隙あらば喉笛を噛みちぎってでも敵の息の根を止める。
そして俺が決して敵わないような、生涯の手本──
正直に言おう。
俺はこの戦いに勝てる気がしない。
剣が打ち合い、火花を散らす。
十一、十二、十三──蹴り。
剣を打ち払い、即座に回避行動。狙いは俺の足を鋭く払う足払い。
本来両者の間合いは大剣。どうしたって浅い足掛けにしかならず、その程度の攻撃ならむしろ、掛けた側が不利になる。
しかし。
相手の持っている武器はレプリカとはいえ金剣。
もしも受ければ確実に体勢を崩し、追撃となる剣の一撃を受けて絶命──そこまで一瞬で見えた。
だが──
「遅い」
右から左へと払われた足目掛けて銀剣を思い切り振り下ろす。
刃は下を向き、当たれば確実に奴の足を断つ。
タイミングは完璧。勢いからして、急停止することも出来ない。
だから俺は即座に回避行動を取った。
爆発音は敵の左足、その踵から。
四肢に仕込まれたギミックもそのままか!厄介な!!
瞬間的に速度を増した足掛けを紙一重で避けるが、それは俺の体勢が崩れた事も意味する。
下手に振られた銀剣を敵の剣が素早く弾く。
金属同士がぶつかり合い、響くのは切なさすら感じる音。
『不味い、《血刃》を──』
「要らねぇ!!」
シャルの言葉を遮り、一度バックステップで距離を取る。
即座に距離を詰めてくる相手に、折れた右腕を真っ直ぐ伸ばして掌底。鼻っ面に叩き込みたかったが流石に避けられる。僅かに横に跳ね、地面を踏むと同時に水面を切る石のように俺の方へ跳ね戻る──渾身の力を込めた剣と一緒に。
しかし、その動きは俺も読んでいる。
「白銀の腕──変形」
想起するのは鋭く硬く大きく、そして決して折れない爪。
一度掴めば絶対に離すことはなく、それどころか握り潰してしまうような、凶悪とも言える鬼の爪。
しかしそれは美しく気高い白銀によって形作られ──敵の剣を片手で掴む。
「白鬼ノ大爪」
掴むと同時に尋常ではない重量が押し付けられる。金剣のレプリカが能力を発揮した。
明らかに人体が耐えきれる重量ではない。しかし、即座に身体を捻り、本人の重さに半ば振り回されるように一回転しつつ、相手が地面に足をつけ、踏ん張るより前に──投げる。
「ッッ!!ラァッ!!」
髪で強化された腕力で全力投擲。この時ばかりは俺も非力とは言えない。
残像すら残るような勢いで吹き飛び、衝撃と共に壁に蜘蛛の巣状の亀裂が入る。訓練所の壁は厚いため、抜けはしないだろう。
出来た僅かな隙。飛びつくように銀剣を拾うと、既に敵が剣を振りかぶっている。
『早すぎるだろうが!!』
シャルが驚くが、俺から見たらナナキはそう言った存在だ。
決して膝をつくことはなく、隙あらば喉笛を噛みちぎってでも敵の息の根を止める。
そして俺が決して敵わないような、生涯の手本──
正直に言おう。
俺はこの戦いに勝てる気がしない。
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