もう、いいのです。

千 遊雲

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もう、いいのです

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婚約者の王子に、好かれていないと分かっていました。

けれど、嫌われていても構わない。そう思い、放置していた私が悪かったのでしょうか?



用があると呼び出された城の一室、王子に会うのだからと正装をしてきたクレアに、婚約者であるフィル王子は婚約の破棄を告げた。



「すまない、他に好きな人ができてしまった」



言葉は謝っているけれど、どこか苛立ったような表情で私の手から、フィルは婚約指輪を取り外した。

咄嗟のことで防ぐことなんてできなかった。

婚約指輪がなくなった、それだけでまるで世界がひっくり返ってしまったかのような絶望感を感じてしまう。

そんな未練がましい自分のことが、嫌いで仕方なかった筈なのに。



「やめてくださいませ!」



必死で叫べば、なぜかフィルは嬉しそうな顔をした。


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