after the rain

ノデミチ

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32. 秘めたる想い

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「あら、いらっしゃい、亀沢君、文香」
「おひさ、イインチョ」
「え?ホントに?祐美ンチなの?」

 もうすぐ夏休み、って頃。
 2度の週末~半同棲を迎えた俺と金井カナブンは、とある学校帰りに『麺や マエハラ』へ来たんだ。

 入る前、看板を見て「え?マエハラ⁉︎」と言った金井カナブンに、「イインチョんち」と言って入る俺。
 入ると店名エプロン付けた看板娘の前原祐美イインチョが迎えてくれたんだ。

「ふーん。とうとう私のトコもデートスポットにしちゃうんだ」
 カウンターに着く俺達に、お冷持ってきた前原イインチョ
 厨房から奥さん前原ママも、
「まぁ、今日は彼女連れ?祐美、ホントにアナタの彼氏じゃなかったの?結局アタックしなかったの?」
 なんて言ってくるから。
「え?ユキヤ、常連なの?」
「そりゃまぁ、バイト帰りにラーメン屋、寄る事あるし。ここに配送する事もあったし」
「結構、親しい仲だったのよ。あー、それなのに」
「ちょ?祐美ちゃん⁉︎」
「は??」
 学校クラスじゃなくラーメン屋店内だったからか、俺はつい前の呼び掛けをやっちゃって。
 金井カナブンも聞き逃してはくれなくて。
「だから、結構親しい仲だったのよ、文香」
「え、ちょっと?ね?ユキヤ?」
「そりゃ、まぁ、常連なって1年ちょっとだし」
「うーん⁉︎むう!」
「妬かないの、文香。今更、貴女達に割って入ろうなんて思わない…かな?」
「祐美!絶対ワザとやってるでしょ」
「あはは。バレた?って、そんなくっ付かなくても」
 金井カナブンは、デッカい胸を擦り付ける様に俺の腕を抱えた。ってか、谷間に腕が挟まってる?
「祐美にアタシが勝てるモノって、ココくらいだもん。後何がある?」
「うーん、何だろ?」
「「いや、彼氏?言い切れよー」」
 ハモった。
「勝てない?でも、祐美には渡さない!」

 あの日の夜は、中々納得満足しなくてさ。
 危うく腹上死(笑)かと思ったんだ。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 7月入ってすぐ。
 線状降水帯?ゲリラ的とも言える大雨の日。

 文香と亀沢君は、って聞いた。

 面には出さなかったけど、前原祐美にとって、かなりショックだったのを憶えてる。

 私って、亀沢君の事、案外好きだったんだなぁ。

 亀沢君が手弁当持って来た月曜日。
 直ぐに気付いた柳谷君が騒ぎ出して。

 ふと見ると、文香とお揃い色違いの弁当入れ。そしておかずも一緒。それとなく?聞けば「うん、アタシが作って渡した」って、アッサリ認めた。

 いつの間に?

 あの雨の日。外出してた文香は、帰れなくなって亀沢君んちに泊まったらしい。ってコレも確定か。文香言ってたし。
 そのお礼だと。
 尤も、2人は同じ中学で、2年時も同じクラス。そして、亀沢君のバイト先に文香のママもいるんだとか。あ、でもまどかんちでのバイトだから、これはアドバンテージになるのかな?
 中3時にも色々あったって聞いた。
 ある意味、生命の恩人だと。

 でも、この日から、クラスの人気者とその他大勢モブとの関係は、普通に夫婦へと変貌を遂げた。

 その他大勢。
 一人暮らしで、バイトしてる事もあり放課後の付き合い、甚だ悪し。
 また、同じ中学の者も少ない為か、他の男子とも積極的に関わろうとせず、行事参加も最低限。

 それまでの亀沢君の評判。
 まぁ、自分語りする様な人じゃないよね。

 それでも、私だけには語ってくれてた、と思ってたのだけれど。
 文香は、私の知らない亀沢君を知ってる。
 やっぱ、恋人には色々自分語りするんだ。

 後でわかった。
 文香は、ママから色々聞いたと。
 同じ情報を兎波まどかも知ってたから。

 2人の共通点。
 それは、2人のママが、亀沢君をよく知ってるって事。

 文香のママは同じ職場の同僚って間柄。
 まどかのママは、雇主で尚且つ後見人保護者同然

 だから、亀沢君自身からじゃない。ママを通じて彼の事、詳しく知ってるんだ。

 …羨ましい。

 時々考える。
 あの日、って。
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