4 / 99
御曹司との出会いは突然に
3
しおりを挟む
料理を十分堪能して、私は店を出た。
冬を迎える直前の肌寒い夜の空。
ずいぶん暗くなって、ずっとずっと高いところから私を見下ろしている。
「帰りたくないな」、そんな思いが湧き出した。
その時だった、
「ちょっと待って」
誰かが私を呼び止める。
あまりにも色気のある男性らしい声。
「えっ?」
さっき「灯り」にいた人だ。
初めて見かけた人だけど、嫌でも視界に入ってしまう程素敵な男性で、そこだけ違うオーラが放たれていた。
私なんかには「全く縁のない人」。
瞬間的にそう脳が判断した。
そんな人が私に何の用?
もしかして忘れ物したかな?
「呼び止めて悪いな。さっきの話が気になって」
「え? さっきの話?」
いきなり何を言うのかと、思わず怪訝な顔をしてしまった。
「いや、プライベートなことだとはわかってる。でも……」
そう言いかけて、男性はほんの少し私に近づいた。
店から漏れ出す灯りに照らされたその顔は、この世のものとは思えない美しさだった。
綺麗……
思わずため息を漏らしそうになり、すぐにハッとして我に返った。
「あ、あの、あなたは……」
「そうだな、まずは名乗るべきだな。俺は、常磐 理仁(ときわ りひと)」
「常磐……さん?」
「ああ、父が『灯り』の大ファンなんだ。今日は父に勧められて初めてきた」
「そうだったんですか」
「で、さっきの話。男性が何か以前あったことについて話してただろ? 結婚詐欺とか何とか」
さっきからずっと敬語も使わずタメ口とは。
本当に一体何なの?
でも、そう思いつつ、この見た目のインパクトのせいで何も文句を言えない自分がいた。
「あ……ああ、はい」
「余計なことかも知れないけど、でも、君がとても悲しそうな顔をしてたから。何か君の力になりたい」
まさか、そんな言葉が飛び出すなんて。
あまりに予想外なことが起こって動揺し、挙動不審なくらい目が泳いでしまってるのがわかった。
「そ、そんな……み、見ず知らずの人に助けていただくことではないので……」
冬を迎える直前の肌寒い夜の空。
ずいぶん暗くなって、ずっとずっと高いところから私を見下ろしている。
「帰りたくないな」、そんな思いが湧き出した。
その時だった、
「ちょっと待って」
誰かが私を呼び止める。
あまりにも色気のある男性らしい声。
「えっ?」
さっき「灯り」にいた人だ。
初めて見かけた人だけど、嫌でも視界に入ってしまう程素敵な男性で、そこだけ違うオーラが放たれていた。
私なんかには「全く縁のない人」。
瞬間的にそう脳が判断した。
そんな人が私に何の用?
もしかして忘れ物したかな?
「呼び止めて悪いな。さっきの話が気になって」
「え? さっきの話?」
いきなり何を言うのかと、思わず怪訝な顔をしてしまった。
「いや、プライベートなことだとはわかってる。でも……」
そう言いかけて、男性はほんの少し私に近づいた。
店から漏れ出す灯りに照らされたその顔は、この世のものとは思えない美しさだった。
綺麗……
思わずため息を漏らしそうになり、すぐにハッとして我に返った。
「あ、あの、あなたは……」
「そうだな、まずは名乗るべきだな。俺は、常磐 理仁(ときわ りひと)」
「常磐……さん?」
「ああ、父が『灯り』の大ファンなんだ。今日は父に勧められて初めてきた」
「そうだったんですか」
「で、さっきの話。男性が何か以前あったことについて話してただろ? 結婚詐欺とか何とか」
さっきからずっと敬語も使わずタメ口とは。
本当に一体何なの?
でも、そう思いつつ、この見た目のインパクトのせいで何も文句を言えない自分がいた。
「あ……ああ、はい」
「余計なことかも知れないけど、でも、君がとても悲しそうな顔をしてたから。何か君の力になりたい」
まさか、そんな言葉が飛び出すなんて。
あまりに予想外なことが起こって動揺し、挙動不審なくらい目が泳いでしまってるのがわかった。
「そ、そんな……み、見ず知らずの人に助けていただくことではないので……」
32
あなたにおすすめの小説
怜悧なエリート外交官の容赦ない溺愛
季邑 えり
恋愛
NPO団体に所属し、とある国で医療ボランティアに携わっていた美玲。そんな彼女は急に国外退避の必要が出た中、外交官の誠治に助けてもらい、彼に淡い想いを抱く。そして帰国後、再会した彼にぐいぐい迫られ結婚を前提とした交際をすることに。その後、初めての夜も過ごし、順調に関係を築いていく美玲と誠治。とうとうプロポーズの話が出たけれど、誠治の母と婚約者を名乗る二人が現れ、実は彼には子供がいるなどと言い出して……愛の深いスパダリ外交官との極上溺愛ロマンス!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーンにも投稿しています》
年上幼馴染の一途な執着愛
青花美来
恋愛
二股をかけられた挙句フラれた夕姫は、ある年の大晦日に兄の親友であり幼馴染の日向と再会した。
一途すぎるほどに一途な日向との、身体の関係から始まる溺愛ラブストーリー。
明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)
松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。
平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり……
恋愛、家族愛、友情、部活に進路……
緩やかでほんのり甘い青春模様。
*関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…)
★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。
*関連作品
『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点)
『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)
上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。
(以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
地味女だけど次期社長と同棲してます。―昔こっぴどく振った男の子が、実は御曹子でした―
千堂みくま
恋愛
「まりか…さん」なんで初対面から名前呼び? 普通は名字じゃないの?? 北条建設に勤める地味なOL恩田真梨花は、経済的な理由から知り合ったばかりの次期社長・北条綾太と同棲することになってしまう。彼は家事の代償として同棲を持ちかけ、真梨花は戸惑いながらも了承し彼のマンションで家事代行を始める。綾太は初対面から真梨花に対して不思議な言動を繰り返していたが、とうとうある夜にその理由が明かされた。「やっと気が付いたの? まりかちゃん」彼はそう囁いて、真梨花をソファに押し倒し――。○強がりなくせに鈍いところのある真梨花が、御曹子の綾太と結ばれるシンデレラ・ストーリー。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる