あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

散歩と初めての会話

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本当に…


あんなことさえなかったら、今頃もう少しまともな恋愛をして、結婚だって…してたかも知れないのに…


「トラウマ」


そんな言葉で私の人生を縛りたくはない…


出来ることなら、私に取りついてしまった重苦しさをさっさと消し去ってしまいたい。


「美味しいよ。毎日、雫が焼くパンを食べたい」


ある意味…プロポーズだと思った。


涙が出るくらい嬉しくて、私は彼に抱きついた。


まさか…


私以外にも付き合ってる女性がいるなんて、微塵も思ってなかったから。


「本当はパンよりご飯の方が好きなんだ」


彼は美人の彼女を連れて来て、私に言い放った。


ご飯屋さんで働く彼女と結婚したいと思ってるって…


そう聞かされた時は、あまりの衝撃に、しばらく体が動かなかった。


日にちが経っても、なかなか立ち直れなくて…


ただ、悲しくてつらくて…


私は、もう二度と恋なんかしないって…


誓ってしまったんだ。


落胆した私に、あんこさんはたくさんパンを作ってくれて…


美味しいパンと周りの人の励ましで、私は何とか元気を取り戻すことが出来た。


本当に…


みんなには感謝してる。


そのおかげで、少しずつ、本当に少しずつだけど新しい恋愛もしなきゃって…


思えるようになってきたから…


恋なんかしないって言うバカな誓いは、そんな周りの人の優しさで破られて…


だけど、実際は、なかなか勇気が出なくて1歩踏み出せない。


まだまだ怖いけど…


もう私は25歳の大人なんだから…


胸がドキドキするような…


そんな恋愛小説や漫画みたいなキラキラした恋をしてみたい。


恋の1つや2つに、ちゃんと向き合ってみたい。


まあ…


結局は、こんな私を好きになってくれる人がいれば…の話しだけど…