あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

桜の季節、それぞれの想い

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『初めまして。榊と申します』


2人にも名刺を渡す祐誠さん。


『すごいんですね、榊さん。あの榊グループの社長とか…本当にすごい』


希良君が言った。


『理科の先生になりたいって、頑張ってるんですよ』


私が言うと、


『理科の…すごいね。大学はどこに？』


祐誠さんが尋ねた。


『近くの東英大学です』


『渡辺君は優秀なんだね。あの大学なら理系が強い。立派な理科の先生になれる。君なら夢は必ず叶う』


『ありがとう…ございます。そうなれるように頑張ります』


なんだか、嘘みたい…


祐誠さんが希良君を励ましてる。


希良君も笑顔で答えて…


この空間、不思議だ。


『じゃあ、俺達は失礼します』


慧君…


祐誠さんとは話さないんだね…


東堂社長と慧君は、みんなに挨拶してから店を出た。


それから、祐誠さんと希良君は、カフェの離れた席に別々に座ってパンを食べた。


2人の他にもお客様が来て、また少しだけ慌ただしくなって…


そして、気づけば閉店時間になってた。


『雫さん、ちょっといいですか？』


『…どうかした？』


カフェの片付けをしてたら、果穂ちゃんに声をかけられた。


『あの…』


果穂ちゃん、いつもと様子が違う。


ちょっと…深刻そうな表情をしてる？


『昼間、みんなが集まりましたよね。榊社長さんとかイケメン大学生君とか…』


『うん、そうだね』


『雫さんって…いったい誰が好きなんですか？』


え？


いきなりの質問に驚いた。


『果穂ちゃん…どうしたの？誰が好きって…』


『この前、イケメン大学生君とここでニコニコ話してて、榊社長さんにはパンの配達もして。それに…慧さんとも仲良しで…』


いつもの元気な果穂ちゃんと声のトーンも違うし、少し…怖いよ。


『私…イケメンの男性達に媚び売ってる雫さんのこと、見ててイライラするんですよね』