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駆け抜ける想い
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『俺…向こうで成長して、仕事も出来て、人に信頼されるような人間になりたいと思ってる。いつになるかわからないけど…そうなった時に雫ちゃんに告白する…なんて、そんなバカなことは言えないけど…でも、ただ1つだけ…お願いがある』
『お願い…?』
うなづく慧君。
真剣な顔…
切なげな表情を浮かべて、じっと私を見て動かない。
私も…
そんな慧君から視線を外せなかった。
そうやって見つめ合ったまま…
数十秒が過ぎていった。
「ねえ、どうするの…?」
そう思った瞬間、慧君は、私を…
ギュッと抱きしめた。
体が強く締め付けられる。
2人の時間が、そこからしばらくの間…止まったみたいに感じた。
慧君の優しさ…
それが、今は男の強さに変わって…
たくましささえ感じた。
「誰が見てようが、そんなことは関係ない」
そんな風に思わせるような、熱く激しい情が、私の心にダイレクトに伝わって来て…
慧君の想いに触れて、自然に涙が溢れた。
『ほんの少しだけ…そしたら…俺、北海道に行っても頑張れるから…例え、雫ちゃんがいなくても…この温もり…絶対に忘れない』
声…震えてる。
きっと…
泣いてる…
そんな慧君に、かける言葉が見つからなくてすごく切なかった。
私は…
こんなにも自分を大切に想ってくれてるこの人のことを、突き放すことが出来なかった。
私の中には、祐誠さんがいる。
他の男性を、男として好きだと思うことはない…
だけど、ずっと励ましてくれた仲間としての深い友情みたいな感覚は…やっぱり失いたくないって思った。
『…ごめん…こんなことして…ルール違反だよな…』
私は、首を横に振った。
『北海道に行っても…ずっと想ってる。勝手に想ってるだけだから、気にしないで…雫ちゃんのこと忘れない。とにかく、あと2ヶ月。最後まで頑張るから、よろしく…』
慧君は、ニコッと笑いながら帰って行った。
「最後だなんて…言わないでよ」
きっと…
慧君は、ここで私を待っていてくれたんだろう…
うぬぼれかも知れないけど、そんな気がしてならなかった。
その想いに、私は応えることは出来ないけど…
それでも今日、ちゃんと話せて良かったと思った。
北海道はすごく遠い…
だけど、慧君の夢が叶うのは…
そんなに遠い未来じゃないと…そう思った。
『お願い…?』
うなづく慧君。
真剣な顔…
切なげな表情を浮かべて、じっと私を見て動かない。
私も…
そんな慧君から視線を外せなかった。
そうやって見つめ合ったまま…
数十秒が過ぎていった。
「ねえ、どうするの…?」
そう思った瞬間、慧君は、私を…
ギュッと抱きしめた。
体が強く締め付けられる。
2人の時間が、そこからしばらくの間…止まったみたいに感じた。
慧君の優しさ…
それが、今は男の強さに変わって…
たくましささえ感じた。
「誰が見てようが、そんなことは関係ない」
そんな風に思わせるような、熱く激しい情が、私の心にダイレクトに伝わって来て…
慧君の想いに触れて、自然に涙が溢れた。
『ほんの少しだけ…そしたら…俺、北海道に行っても頑張れるから…例え、雫ちゃんがいなくても…この温もり…絶対に忘れない』
声…震えてる。
きっと…
泣いてる…
そんな慧君に、かける言葉が見つからなくてすごく切なかった。
私は…
こんなにも自分を大切に想ってくれてるこの人のことを、突き放すことが出来なかった。
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だけど、ずっと励ましてくれた仲間としての深い友情みたいな感覚は…やっぱり失いたくないって思った。
『…ごめん…こんなことして…ルール違反だよな…』
私は、首を横に振った。
『北海道に行っても…ずっと想ってる。勝手に想ってるだけだから、気にしないで…雫ちゃんのこと忘れない。とにかく、あと2ヶ月。最後まで頑張るから、よろしく…』
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「最後だなんて…言わないでよ」
きっと…
慧君は、ここで私を待っていてくれたんだろう…
うぬぼれかも知れないけど、そんな気がしてならなかった。
その想いに、私は応えることは出来ないけど…
それでも今日、ちゃんと話せて良かったと思った。
北海道はすごく遠い…
だけど、慧君の夢が叶うのは…
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