【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵

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短いお別れ

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咲き乱れる花々に爽やかなまだ冷たい風が吹く4月
イースターの日、学園は祭りのような賑わいに包まれていた。

あちこちで歓声が上がる。

イースターの祭りでは、昼間に学園のあちこちへ色とりどりの卵が隠され、それを生徒たちが探し回る。そして、同じ柄の卵を拾った者同士は特別な縁で結ばれる——そんな言い伝えがあるのだ。

「これって本当に当たるのかな?」
「去年の先輩たちは、ちゃんと恋人同士になったらしいよ!」

そんな噂が飛び交う中、広場には屋台も並び、甘い焼き菓子やフルーツの詰まったパイ、珍しいスパイスの入った紅茶などが振る舞われていた。
美味しいご馳走を中心に和やかな笑い声が響く。

——華やかで、甘く、どこか浮ついた雰囲気。

立学園の寮の一室にて、俺——リュシアン・ルルワは、机の上にずらりと並べられたカラフルな卵を見下ろしていた。

「よし……完璧だ」

祭りで使われるイースターエッグは、あらかじめ様々な絵柄がプリントされている、俺の作戦は単純明快。卵の柄を偽造して、その卵をアーベルに握らせる。

普通の生徒たちは、自分が見つけた卵と同じ柄を持つ相手を探し、カップル成立——というのがこの祭りの恒例。しかし、アーベルが持つ卵に一致する柄のものが存在しなければ、誰ともペアになれない。

「これなら、絶対に聖女リーゼロッテとマッチングすることはない……!」

俺は筆を取り、慎重に細工を施す。

まず、基本となる白い卵に、細かい金の模様を描く。これは貴族の子息たちに人気のあるデザインだ。その上に、鮮やかな青で聖職者たちが好む聖紋を重ね、さらに庶民向けのシンプルな花柄、異国風の渦巻き模様まで詰め込んでいく。

「……設定を盛り込みすぎのような気もするが……まあ、この時代は割とゴテゴテしたものが好まれるしな?」

柄が多すぎて視界がチカチカするが、狙い通り誰の卵とも完全一致することはないはずだ。

「これを……当日、うまくアーベルに掴ませれば……!」

計画は完璧だ。

あとは祭り当日、うまくアーベルを誘導し、この運命から逃れるための卵を手に取らせるだけ。

「さあ、決戦の日だな」

俺は満足げに頷きながら、そっと卵を箱にしまった。
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