【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵

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仮面の下で

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あぶねえ! 忘れてた!
カルナヴァルの舞踏会は、年に一度だけ王都の成人した全貴族が集まる大イベントだ。
仮面着用が義務、招待状さえあれば誰でも正体を隠して参加できる。

誰もが対等語り明かし、一緒に踊れる——なんてのはお綺麗な建前。要するに、王族の愛人決定コンテストである。

王族の愛人は、下級貴族との繋がりを強くするサロンの女主人を決めるようなものだ。
成り上がりたい娘たちと王族のボーイミーツガールも、なくはないだろうが……基本は王や官僚、果ては教会関係者まで様々な思惑が交差する魔窟だ。

ある程度の貴族階級の娘たちが何人も顔をそろえ,
その中には当然、ゲームの主人公であるリーゼロッテもいる。
(……あのイベントが始まれば、ゲーム通り婚約破棄ルートが動き出すかもしれん)

正直この段階でリーゼロッテに惹かれる可能性は低い気もしたが、念には年を入れなければ。

「明日の舞踏会、出席するのか?」
「気になる?同行者をつけてもいいって言われているから、君も連れて行けるけど」
「そうか……」

やっぱりな。
普通に入ったら、俺なんて下級魔術師。ダンスホールの端っこでシャンパンを啜るのが関の山だ。けれど、仮面とドレスを着れば——いや、どうせやるなら、もっと完璧に姿を変えたほうがいい。

……やるしかないか。
その後の会話は覚えていないが、アーベルが帰っていった後ーー

俺は徐に棚の奥から、ほこりをかぶった分厚い魔導書を引きずり出した。
「……まさか、これを使う日が来るとはな」

肉体変容の秘術書——一歩間違えば性別すら変わるという代物だ。
ひょこりとペンギン……ああ、いや、ルシファーが顔を出す。

「ほほう。人間界では、だいぶ前に禁じられた秘術となったはずだが……何故こんなものが?」
「知らん。まあ、でも、お前の魔力を使えば唱えられなかないだろ?」
「まあな。失敗してキメラになっても知らんぞ」

ページを開くと、古代文字が薄く光を帯びる。
俺は深呼吸し、指先で魔法陣を描き始めた。
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