【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵

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どうしてこうなった

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「君は……」
「え……?」

アーベルの指先に、ぎゅっと力がこもった。

「僕のこと……どう思ってる?」

その言葉と同時に、彼の手が俺の手をとって、そのまま頬へと当てる。目を閉じるアーベルの表情は、どこまでも真剣で、どこまでも無防備だった。

(――これって、ゲームのスチル……まさか本当に再現するとは……)

でも俺は、女じゃない。ましてや、ヒロインでもない。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

反射的に声を上げると、アーベルは手を離し、少しだけ寂しそうな顔をした。

「……いきなりで混乱してるかもしれないね」

「いや、違うんだ。それは……その……」

言い淀む俺に、アーベルは微笑んだ。

「大丈夫。答えが出るまで、ちゃんと待つから」

その笑顔に、胸が強く締めつけられる。
こんな風に一途に好意を向けられたのは前世からも初めてだった。
しかもこんな美形に。

(いやいやいや、何考えてんだ。断れ。男同士だぞ。そうすれば、婚約破棄はなかったことになるかもしれない。俺の死亡フラグも――消えるかもしれない)

でも。

(アーベルは……どうなる?)

彼は恋を失って、政略結婚に戻って……傷ついたまま、王女と式を挙げるのか?

俺のこと、こんな風に一途に思ってくれているのに。

なんだ、この気持ちは。

まっすぐな青い瞳が、俺を捉えて離さない。鼓動がうるさい。自分の感情がわからない。この立場で、どうやって伝えればいい?

「……やっぱり混乱してるよね。ごめん」

アーベルはすっと立ち上がり、俺に背を向けた。

「でも……考えてくれると、嬉しい」

そう言って、彼は俺の指先にそっと唇を落とした。

「好きだよ。リュシアン。」

月光のもと、バラのアーチの下で、彼は静かにそう告げ、
迷路の奥へと歩き去っていった。

俺はただ、その背中を呆然と見つめるしかなかった。

***
どうやって帰ったのか覚えていない。気づけば俺はベッドに倒れ込み、そのまま眠って
夢を見ていた。

「……なあ、これ……どういう状況だよ?」

夢の中、例の女神(♂)が額に手を当てて深いため息をついた。

「ほんっとに気づいてなかったの?あんた、相当鈍感ね」

「気づくわけねえだろ……!」

「婚約は破棄されたわよ。つまり、あんたの死亡フラグはまだ立ったまんま」

「はあああっ!?」

「王子の想いが誰かにバレるのは、時間の問題。だいたい他の貴族の耳にはもう噂が飛んでるわ」

「ま、待て、王子が男に懸想してるとバレたら――」

言いかけて俺は黙る。そう、この国のほとんどが信仰するユニベルシダ教。教会は同性愛を禁じている。

「アーベルは大丈夫。権力と血筋で守られて、表向きは何事もなかったかのように生き延びるわ」

「……それなら……」

「ただし、あんたは目の前で斬首ね」

「だ、よ、なあああああああっ!!」

「断ればいいじゃない」

「え?」

「そういう対象として見てないんでしょ?断ればいいじゃない」

「いや、まあ、それはそうかもしれんが…あいつ、俺のこと好きなわけだろ?」

地味なモブ顔の俺には「告白」なんてずっと縁がなかった。
当然のことながらあんな風に情熱的に想いを告げられたのは、人生2回やっても初めてなわけで…

「そんな簡単に断るのは勿体無いというか何というか…」

「あんたねえ…いい加減に…」

女神の言葉が終わるか終わらないかのうちに、背筋にぞわりと悪寒が走った。
女神も何かを察したらしい

「……今、あんたの部屋に刺客がいるわよ」

「な――」

その瞬間、現実の感覚に引き戻された。
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